サブカルチャーマシンガン

自分だけの「好き」を貫く為のブログ。

東京/きのこ帝国

2014-09-09 | シングル感想








聴いていて思いきり泣いてしまった。










この「東京」は元々今年初頭のワンマンツアーで新曲として披露されてた一曲で
アンコール時ちょっと張り詰めた空気の中、一気に場の雰囲気が温かく滲んだ事を思い出しました
その時も凄い良い曲だなあ・・・って素直に感じたんですけど
音源で聴いたらストレートに泣いちゃいましたね。
名曲だと思います。


透き通るようなコーラスワークに優しさ溢れる歌声、情感を煽るアレンジと
どこを切っても隙のない良質なロックナンバーに仕上がってるんですけど
何が一番良いかって言ったら
すごく「すがりつく」ような感覚が個人的にあって
他者に対して疑念と不安を逐一抱きつつも何とか信じていたい
これで良いと決め付けていたい、これがあれば生きていけると思っていたい―
そういう迷いや不安も優しさ溢れる歌声の中に混じっているからこそ自分はこの曲が大好きで
ある意味そういう不安定さこそ人間の本質だと思うから聴いててかなり頷ける一曲に仕上がってるんですよね
少し満たされた状況に対して疑心暗鬼になったり、「馬鹿げてる」と歌ったり
そういう不安定さを噛み砕いて受け入れたその上で確かに鳴らされているからこそこの曲に物凄く惹かれているのかもしれません

もうひとつ「泣けた要因」を記述するならば、
これまで軋轢や失望を何度も繰り返し歌って奏でて来たきのこ帝国が
こういう強く強く優しさを振りまく楽曲を発表出来たその事実
歌えるようになった変遷を含めて泣けたのかも
また改めて感じたのが佐藤さんの歌がとっても上手いんですよね
ちゃんと丁寧に歌詞の心情をダイレクトに絞り出すことに成功出来ているというか
ある種ボーカリストとしての成長だったり技術的な躍進を感じられるシングルにもなってます

歌い手の優しさや歓び、(他者に対する)愛おしさが真っ直ぐに伝わって来る楽曲になってますが
それと同時にそこに付随する不安や迷いも確かに歌い上げ、
最終的には傷付く事すら覚悟して終わりに向かう
凄く「今」にすがりつくような
刹那的な感覚がありつつもその「切実さ」に泣けてしまう一曲になってるかと
この曲を聴いてるとその切実さに胸打たれて感情が揺さぶられてしまうのが個人的にツボです
なんと100円で売ってるので店舗限定ですが、シングルでしっかり向き合って欲しい楽曲なので、是非。


秋にはニューアルバム発売、
更にその後東阪ツアーも控えてるのでその辺も楽しみですね
ある種の決定打とも思えるシングルでした。








日々あなたを想い描く
ただそれだけで息をしている
馬鹿げてる馬鹿げているけど
あなたをみつけた
この街の名は、東京


完全に、満たされることに慣れてない人の歌として歌われてるのが素敵だなあ、と。