日暮らし通信


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大韓航空機の事故

2016年05月29日 14時48分26秒 | ひこうき雲

日暮らし通信

■□ 写真タイトル と 撮影場所 □■

離陸中の B777-381
(ANA JA757A)

第二ターミナル展望デッキにて
(羽田空港 H201029)



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27日、羽田空港で離陸滑走中の大韓航空機 (ボーイング777、通称トリプルセブン) の第一エンジン (正式にはターボファンエンジン) から出火、同機は滑走路上で緊急停止するトラブルが発生した

航空機事故ではエンジンが原因で起こる確率はあまり高くは無いが、この事故は明らかにエンジンが原因であると思われる

永年、民間企業でエンジンのテストを経験した私は、テレビニュースなどの画像から 「これは高圧系タービンが損傷し、その部品がエンジンのケーシングを突き破った」 と推察した

その理由として、低圧系のファンブレード (エンジン前方に見える) が損傷していないようだし、飛散した部品によりエンジンを覆うカウリングの後部が一部脱落しているなどの状況からの私の推察だった

私は数えきれないほどのエンジンをテストしたが、高圧系タービンが飛散した不具合は経験していない。ただし、ある開発エンジンではテスト中に低圧系のファンブレードが飛んだことは経験している

今日の朝刊社会面には運輸安全委員会の調査で 「大韓航空機 タービンの羽根破損」 が判ったと伝えている

このように説明してもエンジンの構造は理解できないであろうが、ターボファンエンジンでは以下のようなモジュール (部品を組み立てた集合体) が軸流的に組み付けられている

エンジン入口 → ① 低圧系圧縮機 (ファンブレード) → ② 高圧系圧縮機 → ③ 燃焼室 → ④ 高圧系タービン → ⑤ 低圧系タービン → 排気ノズル

② と ④ はシャフトで連結され、① と ⑤ もシャフトで連結しているから、一基のターボファンエンジンはこのように低圧系と高圧系の二つの回転体が存在し、おのおの違った回転数で作動している

従って私たちが空港でエンジン前部を見ること (時には風によって緩やかに回転している) があるが、それは ① のファンブレードだけで ② 、③ は目視できない

 「タービンはどんな仕事をするのか?」 と疑問もあろうが、 「タービンは圧縮機を回すのが仕事です」 と理解してください

即ち、高圧系タービンは高圧系圧縮機を回転させ、低圧系タービンは低圧系圧縮機を回転させている訳です。そのため、燃料さえ供給すればエンジンは限りなく連続運転可能です

大韓航空機のエンジンが何故、損傷したのか? 運輸安全委員会の調査報告が待たれるが、一つは内部異常による部品の脱落、または離陸中はエンジンはフルパワーにセットしているが、そのセットに異常があったのか? 近々にエンジンの換装などが無かったのか? と疑う項目は山ほどあるはずだ

因みに 「ファンブレードが損傷したら、機体に付き当たるのでは?」 との危惧もあるだろうが、それを防止するためにファンブレードが回転するエンジン外周には 「コンテイメント・バンド」 と呼ぶ部厚い金属が組み付けられて外側に飛散しないような措置が講じられている

私のこの説明ではあまり理解できないでしょうから、もっと知りたい方は 「ターボファンエンジン」 と入力してネット検索してください

写真は事故のあったC滑走路を離陸するANAのトリプルセブンです。平成20年11月に撮影したものです