● この項のタイトル: 運転オペレーター ●
エンジンの運転操作をする人をオペレーターと呼んでいる。
日本での FJR710 エンジンの運転は私がオペレーターを勤めるが、この試験では英国人がオペレーターである。
赤ら顔で長身の老人だが何かアル中みたいな人で、グローブのような大きな手でスロットルレバー (車に例えればアクセルペタルに相当する) を操作する。
では私のミッションは? エンジン・パラメーターを監視し、同時にオペレーターの操作も監視し、必要に応じてアドバイスすることである。
FJR710 エンジンのスタート手順は他のエンジンと違って少し厄介な操作がある。
最初のスタート時、その操作がもたついて排気温度が上昇してしまった。
ジェットエンジンの排気温度には厳しい制限があってその上限を超えることは絶対許されないことなのである。
その時の上昇は制限値を越えそうなので私は "レバーを下げろ" とコールした。
しかし、このオペレーターは頑としてレバーを下げる気配がない。私の指示は通用せず、英国人のコントローラー (試験を統括する人) からの指示でなければ操作しないのである。
これは契約違反なのでこれには日本の試験統括者からもクレームが出たのは当然である。
しかし、考えて見れば英国のオペレーターは可哀想である。自分の意志では操作できないロボットのような存在なのだから。
日本人なら大幅な権限を持たされてエンジン・スロットルレバーを操作する。しかし、ここではコントローラーの指示がエンジン作動を制御しているのだ。
以後、私の監視は厳しくなった。そんな事情もあるので、緊急時には私がレバーを操作できるような位置で監視することになった。
試験も進んでくると現場のメカニックたちとは意気が通じるようになったが、この赤ら顔のオペレーターだけは懇意になることもなかった。
小作りな日本人が操作に口だしすることが我慢できなかったのだろう。でも私にも言い分がある、「俺の言う通りに操作しろ」 と、お説教したかったが、何せその言葉が英語で出てこないからどうにもならない。
でもそんな雰囲気の中で日本人の試験統括者 (この人は私の直属の課長だった) が、英国人の目線に怯むこともなく試験を続けた態度に私は勇気を貰った。素晴らしい統制だった。 (この項終わり)
今日はピンク系統のベゴニアをアップしました。
鮮やかでふっくらと咲いている八重のベゴニアからは優雅で清楚な雰囲気が醸し出されていました。
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