続きです。
何時もながらくだらない話で回り道しちゃってます。話を石段に戻します。
手足を小刻みに振って足元を見つめて石段を登ります。そして石段の中頃の踊り場??に差し掛かりました。
踊り場っと言っも直線の石段ですから踊り場と言って良いのか判りませんが、数メートルの縦幅がある平面な場所です。
私はその石段に足を掛け登り、一、二歩踏み出し頭を上げて正面を見ました。そしたら居ました。私から向かって右側の石段の脇に。身長は180センチ弱。私より10数センチ以上背が高い角刈りの男が立っていました。
着ている服はチョット麻色がかった長袖の開襟シャツ。下は麻のズボン。何か金田一耕助シリーズに出てくる刑事が、夏場に着ている服装っぽいです。昭和初期、戦後直ぐの時代の服装です。今の時代、上下とも白っぽい服着ている奴は少ない筈です。変だなぁーと思いました。
そして顔を直視。歳は40代後半、50歳前後でしょうか。菅原文太を悪相にした様な顔してます。しかも目を見開いたままで私を見ています。確実に言えることは私を歓迎していない表情と言う事です。
人間なのか幽霊なのか。その人物は明らかに固体です。薄れて見えている訳では無いです。しっかりと固体として存在してます。靴は見ていませんが、ちゃんと足はあります。人間の可能性も有ります。
でも不思議なのは、その人物は何となく薄っすらと光っているんです。光っているから服装も顔も確認出来たと言えます。
そこから暫く睨み合いました。私は幽霊なのか人間なのか考えを巡らしました。でも判断付かず。正直、襲ってくる感じがしています。ずっーと目を見開いたままです。何を考えているのか判らない表情で。意思が感じられない顔でです。
私は確かに多少なりとも恐怖を感じてます。でも幽霊であるなら「本当に居たんだ」と嬉しさも感じています。
そして意思が感じられない顔をしていますが、私を歓迎している顔ではない事は確か。「襲ってくる」と思いました。
襲ってくるなら好都合です。私は悪霊には強い恨みがあります。その人物と私との距離は2メートル足らずです。一歩踏み込めはパンチが届く距離です。
そして怒りと共に臨戦態勢を取りました。襲ってきたら殴り返すつもりで。
「早くかかって来い、殴り倒してやる」との思いで私はその人物の顔を睨み続けました。相手も私を見下ろす形で睨んでいます。相変わらず瞬きせず目を見開いたままでです。
どれだけ睨み合ったでしょう。長い時間が過ぎてます。せいぜい1,2分だと思いますが凄く長く感じます。
「如何しようか、如何しようか。何で襲って来ないのだ。こっちから殴りかかろうか。でも人間だったら如何しようか。警察沙汰になるかも。早くかかって来い」等々、意外と頭の中では冷静に考えを巡らせてます。でも、睨み合ったまま進展せず。
こっちから「幽霊なのか、人間なのか」と声を掛けようかとも思いましたが、人間だとしても正気を失っている表情をしています。反応はしないだろうと思いました。
だったら如何しよう。「そうだ、驚かしてやろう」と思いました。
後ろを向いて、一、二歩下がって、「ピヤッ」っと声を出して驚かせば、例え人間でも罪にはならない筈です。もし幽霊なら消えるのではないかと思いました。これしか確認する術は無い。やるぞ。
そして実行。そしたら・・・・・・・・・・・・・、
つづく。