私、大学を卒業して最初に就職した会社は某中堅証券会社でした。もう27~28年前の話です。配属は仙台支店。ちょっと裏業を使い仙台支店勤務になりました。
私の勤めた証券会社は今は無き大手証券の系列で、前年前まで投資信託委託販売会社です。
投資委託販売会社は直接株式を売らずに、株式投資信託や国債、同ファンドを専門に売る会社です。株を売る訳ではないので、客から逆恨みされるケースも少なく、証券系としては比較的トラブルの少ない会社と言えなくも無い会社でした。
しかし、私が入社した年度から総合証券会社に昇格。株式を扱う事になったんです。
いやー私、びっくりしました。だって支店長以下、先輩社員の皆さん等々、株の知識がある人全然居ないんですもん。本当に殆ど素人集団でした。正直、入社したての私の方が株の知識あったと思います。
まあ、何と言いますか、日本の会社ってこんなもんだと思います。大して皆、知識も無く専門家面しているんですよね。私がその後勤めた株の業界紙も同じでしたし。だから私、あんまり専門家とか先生等々も信じない様になりましたね。
それは兎も角、社員全員が株の事知らないのに、「儲かりますよ」とか言ってよく株を勧められると思いましたよ。
時はバブル期直前。段々と日経平均株価が上昇しつつあった時代です。本当に地合の良かったのです。それなのに私が勤めた会社の客は株で損してばかりの人が多かったです。会社の推奨銘柄も発表した時点でどう見ても高値水準でしたし、買った客も大抵は損してましたからね。
当時、株式投資信託で買って損した株を客に売り付けているなんて言われていましたが、私もそう思いました。
支店長なんかは「株なんて3回に1回儲けさせりゃ、客なんて付いて来るもんだ」なんて言っていましたし、所詮、株屋は株屋。競馬の予想屋と同じレベルなんだと思ったものです。
私はそれで会社に幻滅しまして、自分で株を勉強して客に勧めるようになりました。
結果、中々の好成績で客にも喜ばれたのですが、支店長には目を付けられてしまいましたね。「会社の推奨銘柄のノルマで達成してからにしろ」とよく言われました。怒鳴り口調で・・・・・・・。
会社の推奨銘柄が上がるのでしたら私も客に勧めますよ。でも、絶対と言って良いほど下がるんです。怖くて勧められませんよ。
客だって勧められて初めて買った株が下がったら、勧めた証券マンから株なんて買わなくなります。当然です。全ての努力は無駄になります。
だから私は会社の推奨銘柄は勧めたくなかった。そして思ったんです。他人に株を買わせる矛盾を。そして怖さを。
会社の言う事を聞いて、客には恨まれる。これって成立するのだろうか。
そして客に損をさせた時の辛さ。先輩社員はアッケラカァーンのケーロケロの人も居ましたが、私には無理でした。証券マンはアッケラカーンのケーロケロじゃないと続けられないと思い、私はたった1年で証券会社を退社しました。一年で同期の三割は辞めていたみたいですけど・・・・・。
正直、限界でした。辞めた事は今でも全然悔いは残ってないです。続けていたら死んでいたかも知れません。
実は同期の人間が二人死んでいました。一年以内で。交通事故と自殺です。勿論、仕事中です。
私もノイローゼ状態で仕事中バイクを運転し、交通事故を起こしてました。それだけ私には向いていない仕事だったと言えます。
人間、好きな仕事をするのが一番と思いましたね。
もっとも今では、好きな仕事をする大変さを知ってしまいましたが・・・・・・。
つづく。
、