ヌマンタの書斎

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NPO法人について 1

2006-08-01 09:38:55 | 経済・金融・税制
1998年に施行されたNPO法ですが、平成18年3月末で、2万7千というNPO法人の数字が挙がっています。これほど急激に増えるとは予想外でした。

 ここで改めてNPOとは何であるか、その現状と問題点等について、私なりの考えを記したいと思います。暫し、お付き合いください。

 NON(非)PROFIT(営利)ORGANIZATION(団体)、合わせると「非営利団体」となり、文字通り利益を目的としない組織を指します。つまり利益追求を目的とする会社ではなく、日本では市民活動やボランティア団体を意味していました。

 しかし、従来のNPOは法人格がないため、契約の主体となれず、多くの場合代表者の個人名で契約などの法律行為をせざる得ず、代表者の負担が大きかった。例えば事務所を借りるにしても、NPOの名称では契約することは出来ず、そのため代表者の名前を使っていたのが実情でした。

 似たような存在として財団法人、社会福祉法人、社団法人などがありましたが、これらは監督官庁の許認可のハードルが高く、また運営そのものが制約が多く、柔軟な活動が出来ない欠点がありました。

 しかし、1995年の阪神・淡路大震災において、ボランティア団体の活動が注目され、これらのボランティア団体に法人格を付与して、活動しやすくすることを目的として、議員立法で98年3月「特定非営利活動促進法」として成立、同年12月に施行されました。

 この法律により法人化したNPOを「特定非営利活動法人」と言います。これが通称「NPO法人」です。あれから7年、まさかこれほど増加するとは思いませんでした。その増加した原因を探ると、まず契約や所有の主体となれること。また助成金や補助金を受けやすく、社会的信用も増すため会員や寄付も募りやすい。更に介護保険事業者、指定業者になれ、行政との協同事業にも参画しやすいことも大きな理由のようです。

 一方、NPO法人のデメリットは、なにより事務作業が煩雑になることです。官公庁への届出に始まり、その運営は法的ルールに従う必要があります。また会計や税務などの専門的知識も必要となり、課税対象として捕捉されるのですが、ここらへんが十分理解されていないようです。

 意外に思われた方も多かろうと思いますが、非営利活動だからといって、非課税になるとは限りません。税法では非課税となる事業を限定列挙しています。またNPOで働く職員に対する給与の支払いは、当然に源泉所得税や社会保険の対象となります。

 実のところNPO法人の多くは、結果として赤字のケースが多いため、これまで課税を免れてきたのが実態です。また支払われる職員の給与も少なく(平均、年130万程度です)ことが、税金の問題を意識しないで済ませていたようです。

 更に困ったことに、NPOの経理事務は非常に適当なことが多いのが実情です。PTAや自治会の経理に毛の生えたものが少なくありません。しかも、公式には会計基準が決まっていません。経理担当者する置いてないことも多く、まともな財務報告書すら作れない場合もあるようです。

 NPO法人は、その財務情報を公開しなければいけない義務がありますが、現状はあまり立派なものではないようです。このあたり、どうしても本来の活動目的である非営利活動に重点が置かれているため、事務経理は後に回されてしまうが故の問題でもあるようです。
コメント (2)
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