ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

「ネコソギラジカル 上中下」 西尾維新

2006-08-14 09:20:07 | 
ごく稀に、降りるべき駅を乗り過ごすことがある。原因は、ほぼ間違いなく読書。夢中になっていて、降りる駅のアナウンスすら耳に入っていないからだ。

でも、それは幸せな証拠。それほどまでに夢中になれる本に出会える機会は、そう多くはない。本当に滅多にない。

もっとも、これで遅刻しても洒落にならない。幸い、日頃から少し早く時間に間に合わせるようにしているので、あまり恥ずかしい思いはしていない。でも、ちょっとなら我慢したい。なにしろ、夢中になれる本との出会いって、年々減っているから。

で、西尾維新の「戯言シリーズ」だが、久々に乗り過ごしても仕方ないと思える本だった。当初は、その日本語の使い方が面白く、その登場人物の奇妙奇天烈さが鮮烈だった。若さからくる感性のみずみずしさが、不快でなく、新鮮に感じた。久々に感じるジェネレーション・ギャップが快感だった。

よく本の帯に「青春エンタ」なるタイトルが踊っているが、当初は腑に落ちなかった。読み進めていくうちに、それなりに納得できる表現だと思った。若い人に大人気らしいが、大人も是非読んで欲しいと思う。

それにしても、ヒロインがこれほど登場しないのも珍しい。それなのに存在感、抜群。私個人としては、「僕様ちゃん」の友よりも、「私」の友の活躍を読みたかった気もする。また、あれだけ長い話であるのに、謎の多い主人公の幼少期の背後関係が不鮮明なのも不満だが、それもまた作品に深みを与えていると、好意的に解釈してもいいかな。

文句あれども、納得のいくエンディングでした。あ~いい気分。私にとっては、幸せな夏の始まりでした、満足満足。
コメント
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