1970年代、少年サンデーに連載され大ヒットした漫画に「男組」がありました。少年刑務所帰りの手錠をはめた拳法使いが主人公という、破天荒な設定が新鮮でした。最後は社会を裏から操る「陰の総理」なる人物へ、死を覚悟の攻撃の場面でエンディングを迎えたはずです。
その成人版もしくは裏版ではないかと、私が考えているのが表題の作品です。「男組」と同じく原作者は雁屋哲、ただし、作画者は変わっています。なにより主人公の設定がまったく違う。「男組」では正義感から、社会の不正の元凶への戦いがテーマになっていました。しかし「野望の王国」では打って変って、裏からの社会掌握を目指しています。
主人公は、やくざの妾腹から生まれ、差別と迫害を受けながら育ちました。その生まれと育ちゆえに、東大でもトップクラスの成績を得ながらも、決して自分が表の世界ではトップに立てないことを自覚している主人公は、覚悟を決めて裏社会からの理想(野望が相応しい)の実現を目指します。暴力こそが、権力の源泉であるとの主人公の叫びは否定しがたいものがあります。
どこが「男組」の成人版なのかと言われそうですが、子供が読む少年誌では描けなかった社会の矛盾、不正、差別。その背後にある、人間のあさましさ、強烈な欲望、野蛮なる暴力、狡猾なる虚栄心、獰猛な金銭欲こそが、世の中を動かす原動力であり、単純な正義感で世の中が変わるものではないという、原作者の強い思いが感じ取れるのです。私見ですが、「男組」の反面教師的なものだったのかもしれません。
掲載誌がマイナーな成年誌だったためか、あまり世に知られた漫画ではありませんが、もし機会がありましたらご一読下さい。現在、書店で売られている可能性は低く、しかもかなりの長編ですから、漫画喫茶あたりで読むのがいいでしょう。
その成人版もしくは裏版ではないかと、私が考えているのが表題の作品です。「男組」と同じく原作者は雁屋哲、ただし、作画者は変わっています。なにより主人公の設定がまったく違う。「男組」では正義感から、社会の不正の元凶への戦いがテーマになっていました。しかし「野望の王国」では打って変って、裏からの社会掌握を目指しています。
主人公は、やくざの妾腹から生まれ、差別と迫害を受けながら育ちました。その生まれと育ちゆえに、東大でもトップクラスの成績を得ながらも、決して自分が表の世界ではトップに立てないことを自覚している主人公は、覚悟を決めて裏社会からの理想(野望が相応しい)の実現を目指します。暴力こそが、権力の源泉であるとの主人公の叫びは否定しがたいものがあります。
どこが「男組」の成人版なのかと言われそうですが、子供が読む少年誌では描けなかった社会の矛盾、不正、差別。その背後にある、人間のあさましさ、強烈な欲望、野蛮なる暴力、狡猾なる虚栄心、獰猛な金銭欲こそが、世の中を動かす原動力であり、単純な正義感で世の中が変わるものではないという、原作者の強い思いが感じ取れるのです。私見ですが、「男組」の反面教師的なものだったのかもしれません。
掲載誌がマイナーな成年誌だったためか、あまり世に知られた漫画ではありませんが、もし機会がありましたらご一読下さい。現在、書店で売られている可能性は低く、しかもかなりの長編ですから、漫画喫茶あたりで読むのがいいでしょう。