銀座の地下コンコースを歩いていたら、ある広告に目が止まった。映画の宣伝らしいが、タイトルは「ブラック・ダリア」。まだ確認していませんが、J・エルロイ原作のあれかな?
一言で言えば、癖の強い推理小説でした。初めて読んだJ・エルロイの作品が「ブラック・ダリア」だったので、尚更かもしれません。それほど感銘を受けたとは思えなかったのですが、なぜか記憶に深く刻まれた作品でした。
犯罪を扱ったものですから当然ですが、暗く輝く夜のアメリカ社会の裏面を鋭く深く抉り出すエルロイの筆の冴えは、時として不快な気持ちにさせられるほどです。輝きがきらめくほどに、その眩しさが作り出す陰の何と濃いことか。華やかな都会の影で、ひっそりと花を咲かせる夜の女たちの悲哀を描き出したのが、表題の作品です。
あの広告の映画が、エルロイの小説をもとにしているのかは知りませんが、もしそうならば、ちょっと観てみたい。ちなみにエルロイの作品は他にも翻訳されて刊行されてますが、どれも癖の強い作品ばかり。多分、「LA・コンフィディンシャル」が一番有名だと思います。暇と気力が十分あれば、英語で読んでみたい作品でもあります。・・・多分無理だろうけどさ。