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ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

チャンピオン亀田にみる日本ボクシング界の実態

2006-08-16 13:11:50 | スポーツ

ここ数十年、ずっと沈滞しているのが日本のプロボクシングだ。かつてのガッツ石松やファイティング原田といった名選手を輩出したのは遠い昔の話。少なくとも30年近く、本当に世界に通用する選手は一人も出ていない。

この場合の世界とは、日本で行う世界戦ではなく、アメリカやメキシコ、タイ、韓国といった世界各地で行われる世界戦のことだ。階級を細分化して、新たに作った階級でチャンピオンになった選手もいる。でも、それはあくまで日本国内でのこと。到底、世界に名を響き渡る選手は、ただの一人も出ていない。具志堅はちょっと微妙ですが、それが日本のボクシング界の現実。

正直言ってプロボクシングは貧者のスポーツだと思う。極貧の世界から這い上がるハングリー精神なくして、のし上るのは至難の世界でもある。世界屈指の経済大国の豊かさのなかから、そのような強烈なハングリー精神は、そうそう出てくるものではない。

その上、日本のプロボクシングは選手への利益配分があまりに低く、チャンピオンになっても経済的に恵まれるとは限らない。ほとんどのプロボクシング選手の大半はパートタイムジョブを持つ、掛け持ち選手。

ボクシングという競技は、極めて過酷なトレーニング生活を要するため、妙な幻想を持っている人が多い。曰く八百長がない、曰く真剣勝負だ・・・でも、忘れちゃいけない。プロボクシングは「見世物」仕事、つまり興業です。

安全な観客席から、リングの上で選手が殴り合っている姿に喜ぶ観客の存在あってこそ、成立するビジネスなのです。一部のプロモーター(興業主)と一部のボクシングジムの経営者によって、長年にわたり支配されている特殊な業界です。

彼等にとって、ボクシングはビジネス(金儲け)であって、観客から不満が出ようが、金になればいい世界です。そのためには話題性があり、スポンサーを惹きつける選手がいればいい。ある程度、才能のある選手に弱い相手と戦わせて実績を作り、TVを始としたメディアを巻き込んでの一大ビジネス。それこそが日本のボクシングの実態です。

先週以来、亀田選手の試合がやたらと騒がしくなっていますが、私は亀田選手が金平会長のジムに移籍したと聞いた時から、今日の事態は想定していました。今までも散々同じことがありましたから。

おそらく金平会長は、本当に強い日本人チャンピオンなんぞ育てる気はないと思います。肩書きに弱い日本社会に合わせて、金儲けの手段としてボクシングを利用しているだけじゃないかと、私は勘ぐって居ます。TBSはその状況を利用して視聴率を稼ぎたいだけでしょうし、たいした実力のない若者を煽って、騒いで、その空虚さに気が付かない馬鹿な大衆を騙せば、それで十分成功なのです。

なお、試合について一言だけ書くと、ベネズエラの前チャンピオンは亀田をKO出来なければ、ベルトを失うことは分かっていたと思います。KO出来なかったことが彼の失敗であり、KOされずに持ちこたえたことが亀田の唯一の勝機でした。亀田は勝機を確実に掴んだ。それだけのこと。これが日本のプロボクシングの実態です。

コメント (4)
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