世界中で売れに売れた「ハリーポッター」シリーズですが、実は一部のキリスト教関係者の間ではあまり評判は良くない。アメリカの一部の州では発行禁止だの、不買運動だのと騒ぎがあったのですが、その後どうなったことやら。
なぜかって?そりゃ魔法なんぞ、聖書には書かれていないからです。いや冗談でなく、マジメな話です。アメリカには聖書に書かれている一言一句を、その通りに信じている宗派が相当数存在します。ファンダメンタリストなんて言い方をされていますが、どうも日本語に末オづらい。私は勝手にキリスト教原理主義派なぞと呼んでいます。
この宗派は、ハリーポッターどころか、ダーウィンの進化論すら信じていません。なぜって、人間は神が創ったのであって、猿から変化したなんて聖書のどこにも書いてないからです。
現代の常識的感覚からすると、奇異に感じるかもしれませんが、キリスト教の歴史を知っていれば、それほど違和感はありません。
もともと現在の中近東にて生まれたキリスト教ですが、ローマ帝国の庇護を受けるようになり、その勢力をローマ帝国の植民地に広げていくようになりました。しかし西ローマ帝国の滅亡とイスラム教徒の拡大で地中海を失い、西ヨーロッパに限定された形で布教を進めていかざる得なくなりました。
前回書いた森の消失も、キリスト教布教のための一方策でしたが、それと平行して行ったのが、異教徒、異文化の根絶でした。しかし、これはなかなかに難しかったようで、結局異教は根絶させたものの、土着文化には妥協せざる得なかったようです。北欧の世界樹をクリスマスツリーに転化させたり、女神信仰をマリア信仰に衣替えさせたり、様々な小細工を弄しています。しかし、失われた伝承、童話、説話は数知れず。まこと、文化破壊者としてのキリスト教の暗い側面を示しています。
しかし、その努力も宗教革命による権威の喪失と科学の発達が妨げになり、苦労して根絶した異教徒の物語、土着文化がグリム兄弟やアンデルセン、イソップといった人々の努力により、童話として蘇ってしまったのです。挙句の果てには、ドラキュラやフランケンシュタインといった怪物も創出される始末。私はこれをキリスト教の文化支配からの脱却・解放だと理解しています。
それでもキリスト教は、より先鋭的になり反宗教革命というか、反攻を開始し、宣教師を先頭にアジア・アフリカへも出向いて、世界各地の異文化異教徒を滅ぼし、文化的ジェノサイド(虐殺)を遂行してきたのです。一方新大陸アメリカでは、聖書そのものを神聖視して、その一文字一文字を厳密に信じる新しいキリスト教派が生まれ、今日に至っています。
しかし現代人に深く根付いてしまった科学信仰は、もはや宗教に文化の独占を許しませんでした。特に欧米では、剣と魔法の物語が愛好されるようになり、キリスト教の反対も虚しく、魔法使いやらドラゴンやらが娯楽として人気を得ています。十字架が弱点だったはずのドラキュラさえ、その十字架を握りつぶす有様です。
偏見かもしれませんが、かつて異文化ジェノサイドをやってのけた欧米のキリスト教社会が、その思惑とは裏腹に、ハリーポッターのようなアンチ・キリスト教的性格を持つ娯楽本を生み出したことに、少々皮肉な感慨を持たざる得ません。
それにしても、面白いファンタジーである「ハリーポッター」くらい、もっと素直に楽しめないものかなあ~。どうも余計な知識が多すぎる気がするゾ、あたしゃ。
なぜかって?そりゃ魔法なんぞ、聖書には書かれていないからです。いや冗談でなく、マジメな話です。アメリカには聖書に書かれている一言一句を、その通りに信じている宗派が相当数存在します。ファンダメンタリストなんて言い方をされていますが、どうも日本語に末オづらい。私は勝手にキリスト教原理主義派なぞと呼んでいます。
この宗派は、ハリーポッターどころか、ダーウィンの進化論すら信じていません。なぜって、人間は神が創ったのであって、猿から変化したなんて聖書のどこにも書いてないからです。
現代の常識的感覚からすると、奇異に感じるかもしれませんが、キリスト教の歴史を知っていれば、それほど違和感はありません。
もともと現在の中近東にて生まれたキリスト教ですが、ローマ帝国の庇護を受けるようになり、その勢力をローマ帝国の植民地に広げていくようになりました。しかし西ローマ帝国の滅亡とイスラム教徒の拡大で地中海を失い、西ヨーロッパに限定された形で布教を進めていかざる得なくなりました。
前回書いた森の消失も、キリスト教布教のための一方策でしたが、それと平行して行ったのが、異教徒、異文化の根絶でした。しかし、これはなかなかに難しかったようで、結局異教は根絶させたものの、土着文化には妥協せざる得なかったようです。北欧の世界樹をクリスマスツリーに転化させたり、女神信仰をマリア信仰に衣替えさせたり、様々な小細工を弄しています。しかし、失われた伝承、童話、説話は数知れず。まこと、文化破壊者としてのキリスト教の暗い側面を示しています。
しかし、その努力も宗教革命による権威の喪失と科学の発達が妨げになり、苦労して根絶した異教徒の物語、土着文化がグリム兄弟やアンデルセン、イソップといった人々の努力により、童話として蘇ってしまったのです。挙句の果てには、ドラキュラやフランケンシュタインといった怪物も創出される始末。私はこれをキリスト教の文化支配からの脱却・解放だと理解しています。
それでもキリスト教は、より先鋭的になり反宗教革命というか、反攻を開始し、宣教師を先頭にアジア・アフリカへも出向いて、世界各地の異文化異教徒を滅ぼし、文化的ジェノサイド(虐殺)を遂行してきたのです。一方新大陸アメリカでは、聖書そのものを神聖視して、その一文字一文字を厳密に信じる新しいキリスト教派が生まれ、今日に至っています。
しかし現代人に深く根付いてしまった科学信仰は、もはや宗教に文化の独占を許しませんでした。特に欧米では、剣と魔法の物語が愛好されるようになり、キリスト教の反対も虚しく、魔法使いやらドラゴンやらが娯楽として人気を得ています。十字架が弱点だったはずのドラキュラさえ、その十字架を握りつぶす有様です。
偏見かもしれませんが、かつて異文化ジェノサイドをやってのけた欧米のキリスト教社会が、その思惑とは裏腹に、ハリーポッターのようなアンチ・キリスト教的性格を持つ娯楽本を生み出したことに、少々皮肉な感慨を持たざる得ません。
それにしても、面白いファンタジーである「ハリーポッター」くらい、もっと素直に楽しめないものかなあ~。どうも余計な知識が多すぎる気がするゾ、あたしゃ。