ヌマンタの書斎

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NPO法人について その二

2006-08-03 09:08:13 | 経済・金融・税制
もう少しNPOについて述べたいと思います。

実のところ、非営利団体(NPO)というものは非常に範囲が広い概念です。ボランティア団体や市民活動グループなどが念頭に浮かぶ人が多いと思います。しかし、社団法人や財団法人、また学校法人や宗教法人も非営利の公益法人(通称民法34条法人といいます)を含む概念ですし、農協や労働組合などの非営利共益法人も広い意味ではNPOなのです。

このNPOという概念自体がアメリカが発祥の地ですから、当然に日本のNPOよりも広く捉えられています。日本と異なり、アメリカでは政府に任せるより、民間で出来ることは、民間自らがやった方が良いという伝統的な志向があるため、NPOが広く発達しています。ちなみに世界最大のNPOは、カトリック教会です。

また、よく間違えられるのがNGOです。Non Governmetal Organization直訳すれば「非政府組織」ですが、これも基本的にはNPOです。ただ使われ方が違う。NGOは民間の営利を目的としない団体を、政府との比較でみた場合の表現です。一般的には、国連等の国際会議用語としてよく使われています。

「グリーンピース」という環境保護団体が有名ですが、その主催者及び幹部の私邸が豪邸なのに驚いたことがあります。正直言って、環境やくざと呼びたくなりますが、これは私の勘違い。NPOを清貧な存在であると思い込んだが故の誤解です。

NPOは非営利組織ですから、儲けてはいけないと考えている人は少なくないと思います。これも勘違いです。例えばあるNPOは、海外の貧困国から民剣iを買取り、それを先進国で高額で売って、大きな儲けを出しています。この儲けを賞与や配当で分配したら、それは問題ですが、その儲けを貧困国の貧しい人々の教育などに使えば、NPO本来の目的に沿う行為なのです。

ここで日本におけるNPO法の成立について、あらためて述べたいと思います。元々1970年代から、さまざまな分野で、市民による自発的な社会サービス活動が広がっていました。

本来は税制上の特典が受けられる財団法人や社会福祉法人などを活用することが望ましいのですが、これらの公益法人は、予算会計を採用しており、組織も官僚的で必然的に柔軟な活動は出来ませんでした。しかも、許認可の敷居が高く、その運営にも様々な制約があり、市民活動には向かないものでした。

1995年の阪神・淡路大震災において活躍したのは、柔軟な活動の出来る市民ボランティアが中心で、財団法人や社会福祉法人はほとんど活躍できませんでした。そこでこれらの公益法人等が活かされなかった反省を踏まえて、NPO法が市民からの応援を得て議員立法で成立しました。
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