最後に殴り合いの喧嘩をしたのは何時だろう?
気心の知れた友人と、酔った勢いで叩き合ったぐらいなら最近もある。でも、あれはじゃれ合ったようなものだ。
繁華街で、気の短そうな若いのに絡まれたことならある。でも、ほとんどナアナアで済ませて、殴り合いには持ち込まない。
不良債権がらみや、倒産企業とのかかわりで、危ない連中と対峙したことはある。これも肩書きとバックの人脈で乗り切れた。
つい最近も、妙な連中に絡まれたが、さっさと退散して事なきを得た。
うわ!二十歳過ぎてからは、本気の殴り合いはまったくしてない。娑婆いもんだ。いや、別に殴り合いたい訳ではない。ただ、ちょっぴり不安になった。先日絡まれた時も、相手は初老で、はなから殴り合いにならないことは予見できた。しかし、相手は気の短いチンピラだったら、どうだろうか。俺、殴り合えるかな?
もう、拳も柔らかいもんだ。経験がある人は分かると思うが、人間の手という奴は小さい骨が集まって出来ている。だからこそ、繊細な作業が出来るが、反面頑丈さには欠ける。素人が人の顔面を素手で本気で叩けば、数発で拳を傷める。しっかり拳を握り、手首を固めないと、殴ることさえ出来ないのが実情だ。
中学生の頃、手ぬぐいを被せたコンクリの壁に、何度も何度も拳を叩きつけ、一生懸命拳を固めたものだ。はじめのうちは痛くて痛くて、一分ともたなかった。拳頭の皮膚が厚くなるにつれ、痛みに馴れて、拳も堅くなってきた。それでも、殴るフォームがよくないせいで、小指や薬指を痛めたものだった。よく素人打ちだとからかわれたものだ。
でも、一番大切なのは拳の堅さではなくて、気合の入れ方だった。喧嘩は気迫で決まる。いくら技術があっても、力が強くても、気の弱い奴は駄目だ。実際問題、喧嘩に強い奴は、殴りあう前に気合勝ちしていることが多い。
大人になって、狡賢くなった私は喧嘩を避ける術を身に着けてしまっている。怒りの矛先をずらしたり、逃げ口を予め設けたりして、巧妙に立ち回るようになってしまった。もう殴り合う覚悟を失していると判じざる得ない。
白状すると、情けないと卑下の感情が生じざる得ない。その反動かもしれないが、格闘技への関心は以前より増している。表題のマンガは、隔週発売のヤング・アニマルという雑誌で連載されている、ローマ帝国の奴隷の拳闘士の少年を主人公にしたものだ。
奴隷制の歴史は古い。おそらくは都市国家成立以前から存在した制度だと思う。古代ローマ帝国での拳闘を取り上げたものだけに、現代のボクシングとは本質的に異なる。時々連載を中断するのも、歴史的考証に時間を充てているようだ。ローマ時代の娯楽であった拳闘をよく描いていると思う。
生き残るための拳闘、いつか自由を夢見る拳闘。主人公が繊細な少年であるがゆえに悲劇的展開が見えてしまうが、それでも話の続きを読まずにはいられない。じっくり読み続けたいと考えています。
気心の知れた友人と、酔った勢いで叩き合ったぐらいなら最近もある。でも、あれはじゃれ合ったようなものだ。
繁華街で、気の短そうな若いのに絡まれたことならある。でも、ほとんどナアナアで済ませて、殴り合いには持ち込まない。
不良債権がらみや、倒産企業とのかかわりで、危ない連中と対峙したことはある。これも肩書きとバックの人脈で乗り切れた。
つい最近も、妙な連中に絡まれたが、さっさと退散して事なきを得た。
うわ!二十歳過ぎてからは、本気の殴り合いはまったくしてない。娑婆いもんだ。いや、別に殴り合いたい訳ではない。ただ、ちょっぴり不安になった。先日絡まれた時も、相手は初老で、はなから殴り合いにならないことは予見できた。しかし、相手は気の短いチンピラだったら、どうだろうか。俺、殴り合えるかな?
もう、拳も柔らかいもんだ。経験がある人は分かると思うが、人間の手という奴は小さい骨が集まって出来ている。だからこそ、繊細な作業が出来るが、反面頑丈さには欠ける。素人が人の顔面を素手で本気で叩けば、数発で拳を傷める。しっかり拳を握り、手首を固めないと、殴ることさえ出来ないのが実情だ。
中学生の頃、手ぬぐいを被せたコンクリの壁に、何度も何度も拳を叩きつけ、一生懸命拳を固めたものだ。はじめのうちは痛くて痛くて、一分ともたなかった。拳頭の皮膚が厚くなるにつれ、痛みに馴れて、拳も堅くなってきた。それでも、殴るフォームがよくないせいで、小指や薬指を痛めたものだった。よく素人打ちだとからかわれたものだ。
でも、一番大切なのは拳の堅さではなくて、気合の入れ方だった。喧嘩は気迫で決まる。いくら技術があっても、力が強くても、気の弱い奴は駄目だ。実際問題、喧嘩に強い奴は、殴りあう前に気合勝ちしていることが多い。
大人になって、狡賢くなった私は喧嘩を避ける術を身に着けてしまっている。怒りの矛先をずらしたり、逃げ口を予め設けたりして、巧妙に立ち回るようになってしまった。もう殴り合う覚悟を失していると判じざる得ない。
白状すると、情けないと卑下の感情が生じざる得ない。その反動かもしれないが、格闘技への関心は以前より増している。表題のマンガは、隔週発売のヤング・アニマルという雑誌で連載されている、ローマ帝国の奴隷の拳闘士の少年を主人公にしたものだ。
奴隷制の歴史は古い。おそらくは都市国家成立以前から存在した制度だと思う。古代ローマ帝国での拳闘を取り上げたものだけに、現代のボクシングとは本質的に異なる。時々連載を中断するのも、歴史的考証に時間を充てているようだ。ローマ時代の娯楽であった拳闘をよく描いていると思う。
生き残るための拳闘、いつか自由を夢見る拳闘。主人公が繊細な少年であるがゆえに悲劇的展開が見えてしまうが、それでも話の続きを読まずにはいられない。じっくり読み続けたいと考えています。