ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

人生に必要な知恵は全て幼稚園の砂場で学んだ ロバート・フルガム

2010-03-10 12:25:00 | 
自由って奴は案外と不自由だと思う。

私は厳格な教育とは無縁だった。むしろ放任に近かったと思う。自由に育てられた子供だと思うが、子供の立場からすると戸惑うことのほうが多かった。

なにをしてもイイとされると、とりあえず子供はやりたいことをやる。だが長続きしない。元々、軽い気持ちでやっているから、明確な目的意識はなく、漠然と安楽な時間を浪費するばかりだ。

幼少期において重要だと思うのが、同世代の子供たちと遊ぶことだ。楽しいのだけれど、反面やりたいことが出来ないもどかしさがある。これは親からの「駄目!」とは違う。

子供同士の力関係から、あるいは雰囲気、はたまた好き嫌いといった情緒のような人間と人間との付き合いのなかから出てくる制約が、自我を押さえつける。まさしく幼稚園の砂場は人生の最初の学校だと言える。

今にして思うと、私は自分のやりたいことに夢中になって、気がつくと子供たちの輪から離れていることが多かった。それでいいと思っていたが、横目でちらちらと皆が何をしているのかが気になる子供でもあった。

輪の中に入るには、何をしたらいいか。あるいは何をしてはいけないのか。これは先生や親は教えてくれない。自分で見出すしかない。これが難しい。

もっとも有効な手段は、ルールのある遊び、またはスポーツをやることだ。約束事さえ守れば、みんなの輪の中に入っていける。たとえルールが気に入らなくても、孤立する辛さに比べればはるかにマシだ。

自由に、すなわち自分の欲望のままに好き勝手することは、かえって不自由を招く。むしろ一定の約束事に縛られているほうが、自由があると知ったのは小学生の頃だった。

不自由ななかにあってこそ自由があり、自由のありがたみがわかる。人生はなんとも矛盾と皮肉に溢れている。

なお、表題の本は堅苦しい教育本ではなく、人生経験豊かな著者のエッセイを集めたものです。軽い気持ちでどうぞ。でも、けっこう考えさせられますよ。
コメント (4)
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