ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

泣きたい気分 アンナ・カヴァルダ

2010-03-18 15:25:00 | 
一冊50円、三冊100円。

この表示に引っかかった。確定申告のため、年に一回しか会えないクライアントとの待ち合わせのため、その町の駅に久しぶりに降り立った。いささか早く着き過ぎたので、駅前通りの古本屋に飛び込んだ時のことだ。

一冊目はフロスト警部シリーズ、二冊目は戦争物のドキュメンタリー。で、三冊目に迷った。一冊目は長編だし、二冊目は読み応えがありそうだ。ならば、三冊目は軽い短編集がいいな。

そう考えて何気に手に取ったのが表題の作品だ。さっと目次をみると、適当な長さの短編が収められている。時間も迫っていたので、まあいいやとレジに向かい購入。

例によって、未読の山に積んでおき、数日後に何の気なしに手にとって鞄のャPットにしまい込んだ。電車のなかで取り出して、3ページとしないうちに後悔の念に襲われた。

あらら、これって恋愛小説だったのか。

自慢じゃないがこの私、恋愛小説を読んだことなぞ数えるほどしかない。っつうか、可愛らしいアイドル歌手の「永遠の愛~♪・・・」などと甘ったるい歌声を聞かされただけで、無性に凶暴な気分になってサンドバッグを叩きたくなる性分である。

別に恋愛が嫌いなわけではないが、世の中向き不向きって奴はあると思う。まぁ、率直に言って自分が恋愛感情に舞い上がっている時は別にして、日常的には実務、実用一点張りの堅物であり、甘ったるい感傷とは縁遠い無骨物なのだ。

ところが困ったことに、その時私は電車のなかであり、他に読むべきものを持ち合わせていなかった。降りるべき駅に着くまで、どうみても50分以上ある。この暇をどうする?

三冊100円とはいえ、金を出した以上無駄にするのも嫌だ。なによりも、無為の時間を過ごすことが大嫌い。で、仕方なく続きを読み出した。

たしかに恋愛小説も含まれているが、この作者なかなかに語り部である。うまい!と思った。私としては縄張りの外に飛び出した気分だが、そう悪いものではなかった。

一言で言えば、穏やかに笑いたい気分。

まぁこの先、ハーレクインロマンスは読まないと思うけど、この作者の短編なら恋愛ものでも十分に楽しめる。ちょっと意外な驚きでしたよ。
コメント (2)
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