ある日突然、ドラエモンが動かなくなった。原因は分らない。呼んでも、叫んでも、泣いても動かなかった。ノビ太にとって、ドラエモンは人生の一部であり、もはや欠くことのない半身に近いものであった。
涙も枯れ果てて虚脱状態に陥ったノビ太の脳裏に浮かぶのはドラエモンのことばかり。ノビ太を助けてくれたのは、いつもドラエモンだった。
ドラミちゃんの話だと、修理は可能だがその場合、過去のデーターすなわちノビ太の記憶は失われるとのこと。それには耐えられない。
断固たる決意を秘めて、ノビ太は立ち上がる。今度はボクがドラエモンを助ける番だ。
スポーツも駄目、勉強も駄目であったノビ太だが、必死の決意が彼を変えた。周囲が驚くほど勉学に励み、大学に進学し、学究の道を目指した。やがて世界的なロボット工学の博士として名声を挙げるに至った。
しかし、ノビ太にとっては学位も賞も名誉もいらなかった。欲しいものは唯一つ。
そして、その日はやってきた。長年連れ添った妻のしづかにさえ入室を許さなかった秘密の研究室。既に初老の年を迎えたノビ太は、妻をその部屋に招きいれた。
おそるおそる部屋に入ったしづかは、そこに懐かしい姿を見つけた。台座に横たわる在りし日のドラエモン。その傍らで静かに、されど緊張した趣で佇むノビ太がスイッチを押す。
何事もなかったかのように起き上がったドラエモンが「あれ?ここはどこ?ノビ太君は?」
涙で曇ってよく見えないが、しずかには分っていた。夫がドラエモンに飛びつき、涙をボロボロこぼしながら、抱きしめていることを。誓いは今、果たされたのだと知った。
ご存知の方も多いと思うが、この話はファンによる創作だ。当初、同人誌に掲載されて売りに出され、大きな評判をよんで騒動になった。当然、原作者である藤子F不二雄氏も小学館も、断固としてこの創作話を否定した。
詳細は知らないが、著作権がらみの訴訟にもなり、この同人誌は回収されて、以後市場には出回っていない。 だが、この創作はあまりに良く出来ていたため、たちまちのうちにネット上に広がってしまった。ドラエモンの最終話に関しては、他にも数作出回っているが、この話が一番出来が良い。
私は原作者の気持ちを傷つける気はないし、著作権を無視していいとも思わない。だが、この話には素直に感動せざる得なかった。原作者が真の最終話を描かずに亡くなってしまったため、ファンが納得のいくような結末を欲するのは当然だと思う。
皆が愛したドラエモンだからこそ、多くのファンが認めたこの話が最終話であってもいいじゃないか。私はそう考えています。
涙も枯れ果てて虚脱状態に陥ったノビ太の脳裏に浮かぶのはドラエモンのことばかり。ノビ太を助けてくれたのは、いつもドラエモンだった。
ドラミちゃんの話だと、修理は可能だがその場合、過去のデーターすなわちノビ太の記憶は失われるとのこと。それには耐えられない。
断固たる決意を秘めて、ノビ太は立ち上がる。今度はボクがドラエモンを助ける番だ。
スポーツも駄目、勉強も駄目であったノビ太だが、必死の決意が彼を変えた。周囲が驚くほど勉学に励み、大学に進学し、学究の道を目指した。やがて世界的なロボット工学の博士として名声を挙げるに至った。
しかし、ノビ太にとっては学位も賞も名誉もいらなかった。欲しいものは唯一つ。
そして、その日はやってきた。長年連れ添った妻のしづかにさえ入室を許さなかった秘密の研究室。既に初老の年を迎えたノビ太は、妻をその部屋に招きいれた。
おそるおそる部屋に入ったしづかは、そこに懐かしい姿を見つけた。台座に横たわる在りし日のドラエモン。その傍らで静かに、されど緊張した趣で佇むノビ太がスイッチを押す。
何事もなかったかのように起き上がったドラエモンが「あれ?ここはどこ?ノビ太君は?」
涙で曇ってよく見えないが、しずかには分っていた。夫がドラエモンに飛びつき、涙をボロボロこぼしながら、抱きしめていることを。誓いは今、果たされたのだと知った。
ご存知の方も多いと思うが、この話はファンによる創作だ。当初、同人誌に掲載されて売りに出され、大きな評判をよんで騒動になった。当然、原作者である藤子F不二雄氏も小学館も、断固としてこの創作話を否定した。
詳細は知らないが、著作権がらみの訴訟にもなり、この同人誌は回収されて、以後市場には出回っていない。 だが、この創作はあまりに良く出来ていたため、たちまちのうちにネット上に広がってしまった。ドラエモンの最終話に関しては、他にも数作出回っているが、この話が一番出来が良い。
私は原作者の気持ちを傷つける気はないし、著作権を無視していいとも思わない。だが、この話には素直に感動せざる得なかった。原作者が真の最終話を描かずに亡くなってしまったため、ファンが納得のいくような結末を欲するのは当然だと思う。
皆が愛したドラエモンだからこそ、多くのファンが認めたこの話が最終話であってもいいじゃないか。私はそう考えています。