早春は心が落ち着かない。
いつの頃からか、冬の寒波が引き始め、春の暖かさが感じられる時季を苦手に思うようになった。どうも、気持ちが落ち着かず、フラフラ、ユラユラと心がざわめく。
主治医に言わせると、春先は多様なアレルゲン物質が空中を飛び交うので、その影響が人体の免疫システムに微妙な反応を引き起こし、それが精神面にも影響を与えるらしい。
花粉症の主原因たるスギ花粉が有名だが、実際には暖かくなると様々な花粉が飛び交う。花粉だけでない。乾燥した大気中にはシナ大陸からの黄砂や、ダニや虱の死骸の破片、はたまた工業物質の飛沫など多様な微小物質が散乱している。
加えて春先は、出会いと別れの季節でもある。学校を卒業したり、進級したり。あるいは新たに社会人としての一歩を踏み出す時でもあり、また離職、退職など人生の一場面における幕引きの時季でもある。
良くも悪くもストレスが出やすい。緊張感のない人生は困るが、過度な緊張感は心を蝕む。その意味で、春は体調を崩しやすい季節でもある。
私自身、人生の節目において何かしらの事件に巻き込まれるのは、不思議と春先が多い。そのせいで、この季節は慎重にふるまうことが習い性になってきている。
日頃慎重なくせに、ときたま思慮なく突っ走る癖があるので、ずいぶんと痛い目にあってきた。だから、年齢を重ねるにつれて、「ちょっと待て」と立ち止まるようになった。
賢くなったと自画自賛したいが、本音を言えば「なさけねぇ~」との思いが拭いきれない。勢いに任せて、向かい傷を恐れず、一気に突っ走りたい。
でも走り出すことはしない。過去の失敗を思い出し、あの痛さを思い返すからだ。若い頃なら向かい傷は自慢できたが、それは傷が治ることを自覚しているからだ。
だが、この年になって傷つくと、そこから回復するのに時間がかかることが自明であることを自覚せざる得ない。だから慎重になってしまう。臆病と誹られてもいたし方あるまい。
それでも気持ちだけは、チャレンジ精神を忘れたくない。たとえ老いたりといえども、勝負を避けられない時は必ず来る。その日のために、今は臆病を甘受して力を蓄える。
そして、その時がきたら全力を尽くして、後先考えずに突っ走る。悔いを残してまで生き延びたいとは思わない。表題の本は、そんな気持ちを体現した作品だと思う。
白状すると、十代の頃読んだ時は平凡な冒険話にしか思えなかった。だが、この年になり年齢による体力、気力の衰えを自覚してみると、その勇気と覚悟に感動せざる得ない。
若さにまかせた勢いだけの挑戦とは違う。積み重ねた人生の重みを、一気に迸るかのような苛烈な覚悟と行動。それが出来るような老人になりたいものだ。
出来るかな?自信はないのですが、でも、目標は高く掲げて置きましょうかね。
いつの頃からか、冬の寒波が引き始め、春の暖かさが感じられる時季を苦手に思うようになった。どうも、気持ちが落ち着かず、フラフラ、ユラユラと心がざわめく。
主治医に言わせると、春先は多様なアレルゲン物質が空中を飛び交うので、その影響が人体の免疫システムに微妙な反応を引き起こし、それが精神面にも影響を与えるらしい。
花粉症の主原因たるスギ花粉が有名だが、実際には暖かくなると様々な花粉が飛び交う。花粉だけでない。乾燥した大気中にはシナ大陸からの黄砂や、ダニや虱の死骸の破片、はたまた工業物質の飛沫など多様な微小物質が散乱している。
加えて春先は、出会いと別れの季節でもある。学校を卒業したり、進級したり。あるいは新たに社会人としての一歩を踏み出す時でもあり、また離職、退職など人生の一場面における幕引きの時季でもある。
良くも悪くもストレスが出やすい。緊張感のない人生は困るが、過度な緊張感は心を蝕む。その意味で、春は体調を崩しやすい季節でもある。
私自身、人生の節目において何かしらの事件に巻き込まれるのは、不思議と春先が多い。そのせいで、この季節は慎重にふるまうことが習い性になってきている。
日頃慎重なくせに、ときたま思慮なく突っ走る癖があるので、ずいぶんと痛い目にあってきた。だから、年齢を重ねるにつれて、「ちょっと待て」と立ち止まるようになった。
賢くなったと自画自賛したいが、本音を言えば「なさけねぇ~」との思いが拭いきれない。勢いに任せて、向かい傷を恐れず、一気に突っ走りたい。
でも走り出すことはしない。過去の失敗を思い出し、あの痛さを思い返すからだ。若い頃なら向かい傷は自慢できたが、それは傷が治ることを自覚しているからだ。
だが、この年になって傷つくと、そこから回復するのに時間がかかることが自明であることを自覚せざる得ない。だから慎重になってしまう。臆病と誹られてもいたし方あるまい。
それでも気持ちだけは、チャレンジ精神を忘れたくない。たとえ老いたりといえども、勝負を避けられない時は必ず来る。その日のために、今は臆病を甘受して力を蓄える。
そして、その時がきたら全力を尽くして、後先考えずに突っ走る。悔いを残してまで生き延びたいとは思わない。表題の本は、そんな気持ちを体現した作品だと思う。
白状すると、十代の頃読んだ時は平凡な冒険話にしか思えなかった。だが、この年になり年齢による体力、気力の衰えを自覚してみると、その勇気と覚悟に感動せざる得ない。
若さにまかせた勢いだけの挑戦とは違う。積み重ねた人生の重みを、一気に迸るかのような苛烈な覚悟と行動。それが出来るような老人になりたいものだ。
出来るかな?自信はないのですが、でも、目標は高く掲げて置きましょうかね。