ヌマンタの書斎

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ファンタステック4

2015-10-21 12:34:00 | 映画

少し複雑な気分になった。

ここ最近のハリウッドのお得意は、昔人気のあったアメリカン・コミックの実写化である。ファンタステック・フォー、通称F4もその例にもれず、既に二作がCGを駆使して実写化されている。

その三作目としてではなく、F4の誕生の経緯を、よりリアルに主題として取り上げたのが、今回の映画であった。三作目ではないことが、一つの肝だと思ったのは、予告のポスターに、ファイヤー・トーチであるジョニーに、黒人俳優を採用する一方で、その姉である透明ガール・スーは白人女性の俳優であったことだ。

これだけで、この映画が興行成績の向上を狙ったリメイクだと分かる。現在の映画製作には莫大な資金が必要となる。その資金需要に応じているのが、ファンドと呼ばれる集団投資家である。

彼らは映画コンテンツに投資して、そのリターン(見返り)から利益を得ることを目的としている。だから、その映画が売れることが目標となる。オリジナルのアメコミでは、F4は白人4人から構成されるが、それでは有色人種からの支持は得にくいと判断したのではないか。

原作のアメコミはもちろん、既に実写化されたF4の映画では、ファイヤー・トーチのジョニーは少し軽いというか、チームの輪をかき乱す問題児でもある。そこが魅力でもあるのだが、今回の映画では、その基本は抑えてあるものの、従来のジョニーに比べると大人しめというか、あまり問題児ではない。

姉のスーは、コソボ難民の養子という設定になっているが、どうも姉弟としてのイメージは薄い。また岩石男(ザ・シング)であるベンの描き方も、少し軽いというか、あれではハルクである。

もともと、原作のアメコミでも、F4の四人組は悩み多きヒーローなのだが、それを吹き飛ばす爽快な暴れっぷりが魅力でもあった。ところが、今回の映画では、各人の悩みの描き方も中途半端だし、娯楽作品としての爽快さにも物足りなさが残る。

正直、あの2時間あまりの短時間では、F4の魅力が描ききれてないと感じる物足りなさが目立つ。どちらかといえば、TVドラマにして毎週放送したほうが良かったような作品となっている。

実写の三作目ともなると、どうしても比較してしまう。そして残念ながら、比較しなくても物足りなさが残る。私の勘繰りだけど、多分TVの連続シリーズを念頭に置いたようなシナリオが、この作品の大きな欠点だと思う。

そんな訳で、あまりお薦めできないのが残念な作品でした。

コメント (2)
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