どうも良く分からない。
日本の新聞、TVの報道は、画一的というか横一列で、似たり寄ったりの傾向がある。だから、なるべく外紙などに目を通したり、CNNやBBCの放送を見るようにしている。それでも分からないことは分からない。
ここ暫く、戦乱の続くシリアからの難民がヨーロッパに押し寄せている報道を多く目にしている。戦火の及ばない国に逃避するシリア難民の姿を映像で見た人は多いと思う。
難民とはいえ、皆自らの意思や希望もそれぞれではあるが、避難先として選ばれるのは圧倒的にドイツである。次いで北欧諸国だという。福祉が充実しているだけでなく、イスラム教徒としての自由も保証される国を選ぶのは当然だが、なにより経済的に裕福な国を希望する。
不思議とフランスは選ばれない。これはフランスが英語が通じず、官僚的な気質が強いことが嫌われるらしい。少なくてともドイツならば、英語が通じるし、難民を受け入れる寛容さがあると知られている。
もっともネオナチなど排外思想の強い一部の人たちもいるはずだが、まずは積極的に受け入れてくれるドイツが、難民たちの希望の地であるらしい。おかしなもので、そのような報道が出ると、我が日本の難民受け入れを批難する報道が相次ぐ。
昨年は5000人を超える難民申請があったが、日本が受け入れたのは一割に満たない。ちなみにシリアからの難民はわずかに3名だそうだ。ベトナムのボートピープル難民の頃もそうだったが、相変わらず日本は、というか入国管理事務所と法務省は難民受け入れに否定的であると報じている。
それはそうだが、私はこれらの記事を読みながらも、ある疑問に囚われていた。
同じイスラム教徒の国であり、石油により豊かな経済を享受しているアラブの沿岸諸国は、このシリア難民に対して、どう接しているのかだ。サウジアラビア、UAE、カタール、クエートなどのイスラム諸国は、本来であるならばシリア難民を積極的に受け入れるべきではないのか。
地理的にも近いし、宗教上の連帯もある。なにより食生活も欧米よりもシリアに近く、豊かな経済力も相まって、難民を受け入れられる土壌は十分あるのではないかと思う。
しかし、いろいろ探してみても、アラブ諸国がシリア難民を積極的に受け入れている事実は見当たらない。私には不思議に思えて仕方ない。
日本のマスコミは、日本政府のシリア難民への対応を批難するだけでなく、なぜにアラブ諸国が冷淡なのかについても報じるべきではないだろうか。いい加減、欧米目線からを装って、日本を高所高段から偉そうに批難して、自らを誇示するやり方から脱却して欲しいものだ。