現時点におけるアベノミクスと称される、安倍政権の経済政策に対する私の評価は55点だ。
円安による輸出増大と株価を押し上げ、上場企業を始めとしての法人税減税の効果は確かにある。それは認めるのだが、一方実質賃金はたいして増えてない。それどころか目減りしているのが実情であろう。
もっと言えば、一般家庭の実質的な所得は確実に下がっている。当然である。消費税の増税は、確実に家計を圧迫している。いくら法人税を下げても、直接税である所得税と住民税が下がらなければ景気浮揚効果は薄い。
おまけに毎年のように社会保険は上がっている。厚生年金、健康保険、労働保険は上がりっぱなしであり、必然的に手取りの金額は下がる。そして、消費税が8%に上がっている以上、誰だってお金を使うのを躊躇うではないか。
消費税という大型間接税を上げた以上、直接税(法人税、所得税、住民税)を下げなければ、増税感ばかりが引き立つのは当然だ。それなのに、政治的発言力が強い大企業の声を反映した法人税減税だけを行っているのだから、個人消費が冷え込むのは必然となる。
現時点で判断する限り、アベノミクスの恩恵を受けているのは大企業と、投資家であろう。それと円安により日本を訪れた観光客増加によるメリットを受けた一部の業者であろう。
つまり、大企業でもなく、投資もやらない、観光業でもない一般国民、中小企業には、アベノミクスの恩恵などまるで実感できていないのが実情だと思う。にもかかわらず、自民公明連立政権への大規模な批判は、いくらマスコミが煽動しても起きていない。
これは先の民主党政権があまりにひどかったので、あの時よりもマシだと諦念しているのかもしれない。まともな野党が存在しないことが日本の不幸だと、つくづく思わざるを得ない。
私は安倍内閣の外交は、かなり高い評価をしているが、国内政策にはかなりキツイ評価を下さざるを得ない。大企業と大口投資家だけが恩恵を享受する経済政策でいいと思っているのか。
それとも、内政の手抜きを外交で誤魔化しているのか。内政も外交もダメだった前政権よりもマシだが、そろそろ本気で国内政策に取り組んで欲しいと思う。