新巻が発売されるのが楽しみな作品はそう多くない。
先週25日、待ちに待った4巻が発売された。それが表題の漫画だ。世間的には無名に近い作品だと思う。実際、渋谷の大手チェーン店系の本屋の、それも漫画専門の売り場の店員が知らなかったほどだ。
幸い、レジに置いてあるPCで検索をかけて、すぐに見つけ出してくれた。新巻なのに棚積みではなく、書棚に普通に置かれていた。まァ、大量に刷られる作品ではないので無理もないか・・・
でも、ちょっと悔しい。漫画を読んで半世紀の私が、これは逸品と認めた作品が、この扱いとはあんまりだ。掲載誌がヤング・ガンガンというマイナー雑誌であるから仕方ないが、それでも今少し評価が高くても不思議ではない。
実際面白いのだ。ダークファンタジー系の漫画好きなら、きっと気に入ると思う。なにせ主人公が死霊魔術師の漫画なんて滅多にない。
私が少し気になるのは、この漫画は原作と作画に分かれて作られている。原作者の成田良吾はラノベでは割と知られているが、作画者の藤本新太は私もまったく知らなかったことだ。この絵の上手さで無名なのが不思議で仕方ない。
絵の上手さの評価ャCントとしては、人の表情を如何に描き分けられるかがあると思う。これが抜群に上手い、冨樫クラスではないかと評価している。特に「殺し屋殺し」の少女の表情の変化なんて、それだけで見る価値がある。
それと、もう一つ、私が好きなのが、小ネタを挟み込むのが上手いところ。絶妙なャCントで思わず笑ってしまう小ネタを描いている。なぜにこの画力で、これまで無名だったのだろうか?
これは私の勘違いで、実際には「Red Raven」「バッカーノ」の二作を既に刊行済みであった。少年ガンガン誌に連載されていたので、チェックしてませんでした。それでも、やっぱりマイナーな印象は否めない。
ただ、まァ主人公はネクロマンサー(死霊魔術師)という本来悪役系の役どころなので、一般受けしないのも分る。でもダークファンタジー系の漫画に免疫があるなら是非お薦めの逸品ですよ。