ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

21世紀の日本の軍事力

2019-12-05 11:47:00 | 社会・政治・一般

つくづく日本のマスコミは戦争に関する見識が低い、低すぎる。

反戦には熱心な癖に、戦争抑止に最も効果がある軍事力に関しては、極めて愚かしい報道を繰り返す。

たまに専門的な軍事情報が出るが、ほとんどの場合ハードウェア中心の記事ばかり。つまり次期主力戦闘機や、次世代型戦闘車両などハード面を主題とした記事ばかり。

バッカじゃなかろうか。

私は戦争を望んではいない。平和な世の中で、ノホホンと生きていたい怠け者である。好きな時に、好きなことを、好きなだけ出来ることを夢見る怠惰な大人である。

まァ、あまり褒められたもんでもないが、平和を望んで何が悪いと思っている。

だからこそ、日本のマスコミの稚拙な記事が腹立たしい。前提として、適切な軍事力は戦争抑止力があり、過剰な軍事力は戦争へと加速する傾向があることは指摘しておきたい。

その上で、21世紀の日本の軍事力を考えるならば、まず第一に考えねばならないのは少子化である。人口減少であり、高齢化社会である。夢を見るのは勝手だが、日本は間違いなく衰退の道を歩んでいる。ほぼ不可抗力の道程であると断言できるほど確定的である。

今世紀中に日本の人口は、現在の6割程度となる。最終的には、7000万人程度の中規模な国となると予測されている。このことから予測できることは多い。

まず現行の社会資本、つまり道路、上下水道、送電設備、通信回線、鉄道などは維持管理が出来ない。そりゃあ、人口知能の活用や、外国人の登用などで、ある程度はカバーできるが、現在の同じレベルでの管理はできない。

それは軍事力に於いても同じことである。日本の生命線は、輸出入の領域を確保することである。小さい島国である日本だが、その有する領海は世界第七位の広大なものだ。領海での自由航行などは、その上空すなわち領空の確保と密接な関係にある。

現実には、太平洋及びインド洋での自由航行の権利を確保しておくことが絶対に必要となるのが、日本と言う国の特徴である。原油や天然ガスのようなエネルギー資源だけでなく、穀物、野菜、魚介類、畜産肉など生活に必要な物資は、この二つの海を流通している。

だからこそ、アメリカ及び東南アジア、そしてインド、南アフリカなどとの友好関係を深めることが重要となる。この視点でみれば、安倍首相が頻繁にインドや東南アジア諸国との交流を増やしていることに気が付くはずだ。

で、そのことに言及しているマスコミが、どれだけあったのか。平和な日本を守ることは、憲法9条を守ることではない。日本が戦争に巻き込まれ難い状況を作っていくことである。

その基軸はもちろんアメリカである。アメリカとの友好関係なくして、日本の平和はあり得ない。だからこそ、高額な米軍駐留経費の負担も応じざるを得ない。日本単独では、日本の平和は守れない以上、不快であろうと守らねばならぬ一線である。

同時にアメリカは、日本を軍事的属国と見做していることも認識せねばならない。日本がどんな優秀な戦闘機や軽空母、潜水艦を作ろうと、アメリカとの協調なくしては意味がない。

そして、困ったことに人口減少が続く日本では、現行の軍事力を維持することが次第に厳しくなっていく。では、何をするべきか。

少ない人数で効果的に運用できる軍隊に切り替えることだ。無人航空機や無人潜水艦、無人艦船の活用はその第一候補である。また、そう遠くない将来、日本でも民間軍事組織(PMC)が活用されるようになるはずだ。実際、現行の海外派兵では海外のPMCの支援なくしては、あり得ないことになっている。

もしかしたら外人部隊というか傭兵部隊の活用さえありうるかもしれない。人口が減少する以上、この程度のことは私程度のオツムでも考えられるのである。

しかしながら、優秀であるはずの日本の新聞記者やTVの報道局の、軍事に関する報道は、いずれも表面的なこと、つまりハード面だけを取り上げた間抜けなものが大半である。

21世紀の日本の平和、すなわち軍事的抑止力に守られた平和を考えるならば、第一に人口減少こそを危惧すべきなのだ。なんだって、こんな簡単な道理が分からないのか、私には不思議で仕方ありません。

コメント
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