入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

    ’17年「早春」 (4)

2017年03月04日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 2月27日。山を去る日が、時が来た。好天、前夜はかなり冷え込んだらしく、眩いまでに霧氷の輝く朝になった。軽くなったザックに2泊と3日の思い出を詰め、立ち去っていく人たちの後ろ姿を見送った。
 がらんとした小屋の中に立つと、また一人取り残されたような気持に襲われ、同時に、4日間がしぼむように過去へと移っていく気がした。


 
 前日2月26日の夕暮れ、6人を案内して帰ってくる途中、雪道にチェーン付きの轍を見付けて驚いた。轍は登山口のある峠に向かっていた。ところが間もなく、その坂道を車が向きも変えずに徐々に後退してきた。1台だと思ったらなんと5台、どれもジムニーの改良車。しかしいくらそういう車でもこの積雪、峠まで行くのは到底不可能に違いなかった。
 公道だから、来るなとは言えない。しかしこれで、雪道はズタズタに荒らされてしまった。猟期が終わって、もうしばらくは山に上ってくる車はないだろうと安心していたら、今度はこういう手合いだ。正に招かざる客、というしかない。これで、雪が降らなくても車で上に行くことは、当面できなくなってしまった。

 それにつけても、百姓山奥いつもいる氏は実に親切な人物だ。氏も帰路、この招かざる客に遭遇し、難儀の末に帰ったと家に着くとすぐ電話をしてきてくれた。それだけでなく、翌日山を下る際に電話をしてこいと、それで1時間以上連絡がない場合には不測の事が起きたと判断して救援に上ってくるつもりでいるからと、そうまで言ってくれたのだ。牧場を出ると、道中では電話が不通になってしまうからだ。
 しかし、そういう有難い申し出を受ければなおさら氏に迷惑をかけてはならないと肝に銘じ、氏が指摘してくれた幾つかの注意箇所を慎重の上にも慎重に下り、そして無事下山した。もちろん氏には帰着してすぐ、その旨の報告をし、安心してもらった。

 都会に帰っていったあの人たちも、日常の生活の中でたまには、入笠を思い出すこともあるだろう。

 驚いた!京都のK氏が、なんと仲間3人と種平小屋に来ていた。昨夜、3月4日のこと。古民家の小屋が大変に気に入ったようで、「今度は女房を連れてくる」だと。まあ、気を持たせてくれたけど〝ジンギ″を切ってくれたし、種平小屋ならようござんす。
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    ’17年「早春」 (3)

2017年03月04日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 前回入笠に行ってからもう、1週間が過ぎてしまった。それでもまだこのブログは、2月26日の入笠にいる。

 で、その日の2時半、山奥氏と別れ、約束通りみろく隊6名を案内して雪の森の中に入った。一部の女性の中には、6月の入笠においても会の山行が予定されているから、目の前の冬景色よりもすでに心は山桜やコナシの花であったり、クリン草の花だったりと、やがて来る季節へと関心が揺れているらしかった。つられて、そのころの木々の芽吹き、全山をおおうコナシの開花やクリン草の群落、それらがどれほど見事であるかを話したりもした。就中、中央アルプスの残雪を抱いた空木岳、その輝くばかりの山と、五月晴れの空を背景にした山桜の花見は、毎年の密かな楽しみだとも言って彼ら彼女らを羨ましがらせた。
 
 山歩きの話に戻る。一応、案内人が付いているわけだから、普段は行けない場所を選び、それなりの体験をしてもらおうとある小さな沢に入った。沢と言っても水が流れるのは梅雨の一時期のことで、その沢に絡むようにほぼ直線に近い雪面を急登する。そして鞍部に出て、最後に小さな頂きに立つことにした。雪の山の醍醐味である200メートルくらいの急な雪の斜面を黙々と登る。スノーシューズもいれば、ワカンもいた。周囲は落葉松の森で、表土の薄い入笠では風倒木も目立つ。二度、三度と後続を気遣いながら、やがて鞍部に出た。そこからは終了点が見え、最後の短い急登で頂に達した。
 生憎、両アルプスの山々は雲が邪魔をしていたが、それでも初めて目にする壮大な天と地と、それなりの達成感を全員が喜んだ。下の写真は、頂を下りかけたところで撮った写真。最後尾はご存知SHIMEさん83歳の雄姿。



 最後の夜は酒と鹿のステーキで盛り上がり、またSHIMEさんの熱唱がそれに花を添えた。(つづく)

 3月、明るい光、そして残雪、早春の入笠・・・、 忘れられない思い出に。昨日(3月2日)春の雪。これで、車を利用した登山者の入山は、また先のことになる。
 TDS君、赤羽さんコメントありがとうございました。I原のこれまでの得手勝手な人生の代償を、彼はしっかりと払うんでしょうかね。あの憂国の人も嗤ってるでしょう。
  
 
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