入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’23年「夏」(13)

2023年06月16日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 一昨日の14日、入牧日は昨日15日のはずが、何の予告なく牛が上がってきたので少し慌てた。あれは第1便ということで、ホルスとジャージーだった。そして入牧予定日の昨日の15日は全頭が和牛だった。
 今年は、乳牛であるホルスタインと和牛である肉牛はそれぞれ同数ながら、牧区を一緒にせず、分けることにした。そうしないと、ホルスはいつも給塩などの場で強い和牛に遠慮をしなければならず、充分に塩が行き渡らないことがあった。入牧頭数については牧場の収容能力を遥かに下回るため、いつものように呟かないでおこう。
 今や入笠牧場は頭数の減少に伴い、本来の牧場だけでなく山小屋やキャンプ場に加え、最近は野外撮影場としての役割まで担うようになり、大分その姿が変わってきた。それでもここはあくまで牧場であり、主役は牛たちだと思って大切にする。長年かけてこの景観を守ってきたのはその牛たちなのだから。



 以前には、入笠牧場へ行っても牛の姿が見えないなどということをよく言われた。確かに、第1牧区などに牛を置けば、一般の人には見ることができない。もう少し観光的な要素も考えるべきだったと、放牧の仕方を今年は改めることにした。
 例年のように乳牛は囲い罠にしばらく置くが、その後に隣接の第4牧区へ移してからも囲いと同牧区を仕切るゲートを閉ざさず、牛たちが自由に出入りができるようにするつもりだ。そうすれば、ここへ訪れた人たちばかりでなく他の登山者や観光客も、これまで以上に牛の姿や牧場らしい風景を見ることができると思う。特に都会から来た子供たちは喜ぶだろう。
 和牛も当面は追い上げ坂に置いて、その後はその上の第1牧区へ出さず、第2牧区へ移すから、その間は遠目ながらも放牧の様子を見ることができると思う。

 小屋やキャンプ場の予約も入るようになってきた。牛も来た。今まではほぼ自分の立てた予定でやってきたが、これからはそうもいかなくなる。昨日も早速、2頭の和牛に手を焼かされたばかりだ。
 
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     ’23年「夏」(12)

2023年06月14日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

     Photo by Ume氏

 雨が降っている。明日の入牧、何日か前の天気予報ではまずまずだったのに、どうもそうならないようだ。いきなり雨の洗礼を受ければ牛たちも、いくら「元は野生だ」などと言っても大変で、見ていても気の毒に思う。時には肺炎に罹る牛も出る。
 
 この時季、雨でも野鳥の声がよく聞こえる。主役はカッコウ。足を伸ばしてヒルデエラ(大阿原)まで行けば、もっとたくさんの「歌うたい」の美声が聞こえるという。そんな湿原の楽しみ方があることに気付かなかった。
 それにしてもあんな小さな鳥が、よくも広い湿原・・・、いけない、牛が上がってきた。下からは何の連絡もない。



「夫婦が淵」の丸太橋、通行できるようにした。

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     ’23年「夏」(11)

2023年06月13日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

  Photo by Ume氏

 先程まで誕生したばかりの青空が出ていた。それがいつの間にか朝霧が立ち込め、もう、いつもの梅雨の朝となってしまった。しかし、こういう天気の方がコナシの白い花も、背景となる緑の色も、一段と映えるような気がする。特に目の前のキャンプ場のコナシよりか、同じ木でもその向こうの林道に沿った一叢の花の方が数もその色も見事だ。頼みもしない霧の演出も加わって、それも褒めてやりたい。
 
 過去1週間の平均歩行数が1万歩を越えている。信じられない。そんなに歩いているとは思わなかった。
 まあ、確かに歩くことは歩く。昨日は第4と第2の電気牧柵の点検をしたら、第4は問題なく7000ボルトを越えていたが、第2の方は電圧の数字が出ない。さあそうなると他の仕事を中止しても、不良個所を徹底的に探さなければならないから歩行数は増える。
 とりあえず行ったり来たりを繰り返し、その度に電気を入れたり切ったりもしなければならず、それでも何とか6000ボルトを確保できた。気になっていた痛んだリボンワイヤーも約200㍍くらいを、その際もう少し良好なものと取り換えた。
 
 他にも牧柵の補修があったり、また雨の中、またしても撮影の下見があって3箇所の候補地を案内したり、それに幾つかの問い合わせも加わるやらで結構忙しい一日だった。

 こうした作業は牧守としての当たり前の仕事である。本人はしかし、必ずしもそう捉えてはいない。単純に、いい一日を終えるための個人的な努力だと解釈している。
「いい一日を終える」、これこそが今の最大の目的であり、願いだと言ってもいい。牧場の作業と同じように、酒もビールもそのために必要なのであって、他に代替できるものがあればそうしてもいい。ただし、ないだろう。
 夕暮れ、一人で味わう山の中の平安、それを団欒とか団居(まどい)とか呼べるかどうか。しかし今、これに代わる快楽も幸福もない。そして、なくていい。有難う入笠牧場。

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     ’23年「夏」(10)

2023年06月12日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 土曜日は昼過ぎ、予定通り伊那市総合型地域スポーツクラブが来て、小屋で一休みしていった。市長も来ていて、牧場内で仮称している「貴婦人の丘」「アラスカの森」「吉永の丘」「約束の丘」などの由来を皆に説明しろと言うので、少し冗談も交えて話した。
 その後、やりかけていた小入笠までの電気柵の立ち上げをやり、やる前はその日だけで終えることができるか分からなかったが、どうにか完了した。
 夕暮れの山頂で、山腹を下方へと下りていく立ち上げたばかりの電気牧柵を眺め、ささやかな自己満足に浸る・・・。牧場の仕事とはそういうもので、それで充分だと思っている。

 前述したように金曜日、オオダオ(芝平峠)を過ぎて入笠山へ来る途中の、大雨で被害に遭った林道に行政がグリを入れて、通行止めが解除された。土曜日、日曜日、また雨が激しく降ったので昨日の日曜日、折角敷いたグリが流失しはしないかと心配して見にいった。そしたらら、大丈夫だった。
 途中2か所ほど側溝の流れを止めてしまっていた土砂や流木を浚ったり、片付けてみたり、詰まったグレーチングに雨水が流れ込むようにもしてみたが、きりがないし、素人が余計なことはしない方がいいと思い直し、自然に任せ帰ってきた。

 まだ牛が来ないうちは、雨の日は農休みとなる。と言って、何もしないというわけにはいかないので、またぞろチェーンソーを持ち出して目立てをしてみた。3台あるチェーンソーのうち1台は最近思い余って個人で購入した新品だから、これは文句なく切れる。
 しかしこの切れ具合に味をしめて、最も頻繁に使う小型の方をいくら歯を研いでみても、切り始めはいいが、すぐに切れが悪くなる。どうもその原因は取り付けが悪くて、切っている最中に歯が動揺するからではないかと思い至った。
 大分酷使したからと別の歯と換えることにして、こっちの方を丁寧に研いだ。70点くらいの出来だったが、もう良しとした。一番古いのは、眠ったままで起きない。

 夜は余裕があったから天婦羅を揚げた。桜エビ、タマネギ、三つ葉のかき揚げ、さらにちくわ、ピーマン。無いと思っていたキュウリがあったので、これも叩いてごま油風味にした。
 キュウリは大根、茄子と同じくあまり栄養価が高くないとして食卓に乗ることは少なかった。それが、あるきっかけで今はまるで長年の無沙汰を詫びるように、はまっている。酒ともビールともこれだけでも充分と言うほどよく合う。

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     ’23年「夏」(9)

2023年06月10日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 今朝Ume氏がやって来て、今年のコナシはまあまあだということで二人の評価が一致した。惜しむらくはまだ、大沢山の期待していた縞状の白い帯ができないことぐらいで、この気紛れ性悪の木としては褒めてやってもいいだろう。
 クリンソウに関しては、まだ第5牧区の大群落を見にいってない。この花も今年の気候状況からしたらいろいろな所で見かけるから、よく咲いた方だと言っていいだろう。

 そろそろ草刈り機の出番になる。昨日も、追い上げ坂の中段に電気牧柵を設置した際、リボンワイヤーが草と接触して漏電しないようにと、その下の草を刈った。
 春先に刈ったカヤは切り株から新しい芽だか茎を伸ばし始めたが、これはまだ柔らかだから牛に任せても大丈夫だろう。
 牛がいなくなり、鹿も出没しなくなれば、カヤが待っていたように繁茂するとすでに述べた。閉牧した牧場は大概そうなってしまっているが、ここの牧場にもすでにそうなりかけた場所があり、それがこの春に何日かをかけて草刈りをした追い上げ坂横の第2牧区だった。
 最近気づいたのだが、2年ほど続けてカヤを丁寧に刈ったら、もう生えてこなくなった草地があり、それなりに努力が報われたと意を強くしている。これで、同じく強敵のクマササもそうなら助かるが、法華道や北原新道の例からするとあまり期待できない。ここへきてキャンプ場の草も大分伸びてきた。

 キャンプ場と言えば、きょうは土曜日だというのに閑散としたものだ。小屋に3名の予約が入っていたが、取り消しになってしまった。白岩岳登山を計画していて、よく知っている人たちなだけに残念な思いをした。
 午後には、「伊那市総合型スポーツクラブ」とやらが来ることになっているが、そういう会も、来訪の趣旨についても実際のところはよく分からない。ただ、この会のこともあり、千代田湖から入笠山にかけて通行止めになっていた林道が、昨日の解除に役立った可能性はある。
 
 カッコウが鳴いている。明け方からずっと聞こえている。セミの声もこの谷全域に溢れ、それでも静かだ。
 きょうから小入笠の頭に向けて電牧の立ち上げを開始する。これも仕事という意識はあまりなく、自己満足の山歩きに近い。それが終われば、牛の入牧に際しての準備はほぼ完了する。

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 本日はこの辺で。明日は沈黙します。
 

 

 
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