市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

【詳報】大同有毒スラグを斬る!…処分場の地下水汚染を隠蔽12年!ふざけるな群馬県環境部局!

2017-10-01 22:02:00 | スラグ不法投棄問題
■先日、渋川市金井の民間の産業廃棄物最終処分場について、驚愕の六価クロム汚染の朝日新聞の記事を速報でお届けいたしました。http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2425.html
 この最終処分場六価クロム汚染報道の報道記事の見出しは、次のとおりでした。
「10年以上前から断続的 渋川の産廃場、六価クロム汚染水 /群馬県」
 この新聞報道に関連する告発情報が昨日当会に寄せられました。内容は次の2点です。


・10年間で断続的に六価クロムが基準をオーバー、という記事だが、実態は「断続的」ではなく「継続的」が正しい。
・断続的ということは、時々基準を下回り、それ以外は基準をオーバーしているということになるが、分析値を少しでも良く見せようとして、分析試料を水で希釈するなど、コンプライアンス上、問題だらけの小細工をしている。


 興味深い情報をありがとうございます。それでは、さっそく「断続的」を“連続的”に読み替えて、新聞記事の内容について、ポイントごとに整理しながら見ていきましょう。

**********2017年09月27日朝日新聞デジタル
10年以上前から断続的 渋川の産廃場、六価クロム汚染水 /群馬県
 渋川市金井の民間の産業廃棄物最終処分場で今年4月、地下水から有害物質六価クロムが環境基準を超えて見つかった問題で、県は26日の県議会一般質問で、10年以上前から基準値を超える六価クロムが断続的に検出されていたことを明らかにした。業者側は地下水汚染の改善に向けた対策などをしているため、行政処分にはあたらないとしている。伊藤祐司県議(共産)の質問に答えた。
 県廃棄物・リサイクル課によると、処分場は県の許可を得た産廃処理会社「小林製工運送」(渋川市)が設置した管理型最終処分場。1981年ごろから大同特殊鋼渋川工場から出るスラグや汚泥などが埋め立てられている。
 場内に業者が設けた井戸から2005年11月、環境基準の7倍超にあたる1リットル当たり0・38ミリグラムの六価クロムが検出された。業者側は県の指導で、汚染された地下水をくみ上げる作業を始めたが、その後も改善されなかった。07年には、くみ上げ井戸を増やして対策を強化したが、09年10月ごろには、いくつかある観測用の井戸の1カ所で基準値の30倍になった。
 県は抜本的な改善策として、埋め立て地の土壌の入れ替えや、産廃と区切る遮水シートの設置を指示し、11年から工事が続いている。地下水汚染の原因物質について同課は「埋め立てられていた産廃」と指摘するが、汚染の経緯は不明という。
 県は、来月にも再度、検査する方針。(上田雅文)
**********


問題の廃棄物最終処分場

 黄色い建設重機が見えますでしょうか?この重機だけでも7メートルの高さがあるようです、キャタピラーの下に、土が8メートルほどあると考えるとこれだけで15メートルはあると推察されます。すると50メートル以上深く掘っているように見えます。こんなに深く掘れば、場外下流側のモニタリング井戸の深さが仮に15メートルとすれば、汚染水はモニタリング井戸に行くはずはなく、モニタリング結果はいつも基準値以内という理屈なのでしょう。これって誤魔化しではないでしょうか?

 では、今回もポイントを整理してみましょう。

ポイント①群馬県が議会一般質問で、10年以上前から基準値を超える六価クロムが「断続的」に検出されていたことを明らかにしたこと(連続的に読み替えてみよう!)
ポイント②汚染の状況が酷く、汚染水を含め特別管理産業廃棄物であること
ポイント③群馬県が、最終処分場が地下水汚染を起こしても、行政処分にはあたらないとしていること
ポイント④地下水汚染の原因物質について群馬県は「埋め立てられていた産廃」であるとしていること

●ポイント①
群馬県が議会一般質問で、10年以上前から基準値を超える六価クロムが“連続的?”に検出されていたことを明らかにしたこと。

 報道を整理すると以下のようになります

・この処分場は、産廃処理会社「小林製工運送」(渋川市)が設置した管理型最終処分場だという
・1981年ごろから専ら大同特殊鋼渋川工場から出るスラグや汚泥などが埋め立てられている。
・2005年11月、環境基準の7倍超にあたる1リットル当たり0・38ミリグラムの六価クロムが検出された。
・業者側は県の指導で、汚染された地下水をくみ上げる作業を始めたが、その後も改善されなかった。
・2007年には、くみ上げ井戸を増やして対策を強化したが
・2009年10月ごろには、いくつかある観測用の井戸の1カ所で基準値の30倍になった


 この処分場の汚染水は“連続的に猛毒が出っ放し↗”のおそれがありますが地下水汚染の報道は、今回で二回目になります。前回の報道はこちら↓↓
〇2017年9月12日:【報道】大同有毒スラグを斬る!…朝日に続き上毛・毎日も大同スラグ処分場の地下水汚染を報道!
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2407.html#readmore

 前回の報道では「今年(2017年)4月、地下水から環境基準の8倍超にあたる1リットル当たり0・42ミリグラムの六価クロムが検出された。」と報道されています。

 この報道は、新聞記者の丁寧な取材活動に、群馬県廃棄物リサイクル課がつい、“今年の4月になってはじめて汚染の状況が分かった”とするような体裁を整える発言をしてしまったものと推察されます。しかし、今回の報道により実は2005年から六価クロムが検出されており、群馬県は12年もの間、汚染の事実を隠蔽していたことが報道されてしまったことになります。

2017年8月24日の段階では、群馬県廃棄物リサイクル課は、同年4月に初めて六価クロム地下水汚染が発覚したことにして、責任逃れを図ろうとしたことが考えられます、しかし翌日、大同特殊鋼のホームページに次の文言が掲載され事態が急変してしましました。

*****大同特殊鋼ホームページ(2017年8月25日付)*****
産業廃棄物処分場内での地下水汚染と対策の状況についてはこちら↓↓
http://www.daido.co.jp/event/170825_gunma.html
「2005年11月に処分場内の地下水監視用井戸の自主検査において六価クロムを検出しました。この結果を受け、小林製工運送(株)と当社は、群馬県に報告の上、揚水による地下水汚染の拡大防止に着手しました。」
**********

 なんと、大同特殊鋼は、群馬県との2017年4月に初めて地下水汚染が分かったかのような打ち合わせ?を、綿密?にしていたのに、「全て『群馬県に報告の上』対策をしている」と発表したのです。あれほど群馬県廃棄物リサイクル課の庇護を受けたにも関わらず、大同はこれを裏切り、「処分場の地下水汚染については、全て『群馬県に報告の上』対策をしているので、悪いのは群馬県廃棄物リサイクル課だ」?と言わんばかりに責任転嫁し、この不始末の対応を変化させたのではないか、と想像されてしまうのです。

 困ったのは群馬県廃棄物リサイクル課です。観念したかのように、今回12年も前から処分場の地下水汚染が分かっていたのに今頃になって渋々公表したのでは?、と考えられるためです。なぜ公表に12年もかかったのでしょうか? それは、県が大同特殊鋼に“忖度”し、地下水汚染の事実を隠蔽したからと思えてなりません。

 しかも“忖度”した大同特殊鋼の裏切りにあい、リサイクル課は窮地に直面している(?)と思えてならないのです。連続的に汚染された地下水はどこをどう流れているか分かりません。なぜならこの処分場には汚染水を遮る遮水シートなど備えていないからです。この汚染問題は群馬県廃棄物リサイクル課の責任問題にまで発展する予感がします。

●ポイント②
汚染の状況が酷く、汚染水を含め特別管理産業廃棄物であること


 当会に入った情報によると、150メートルもの深さに掘った監視用井戸から1.5㎎/Lの六価クロムが検出されたとする驚愕の事実が伝わってきました。

 報道では「09年10月ごろには、いくつかある観測用の井戸の1カ所で基準値の30倍になった。」となっています。

 環境省が定める、すべての地下水の環境基準の値は、0.05mg/L以下となっています。地下水の水質汚濁に係る環境基準について、はこちらです↓↓
http://www.env.go.jp/kijun/tika.html

 したがって、0.05×30=1.5ですので、新聞報道からも、当会に入った情報が間違いではないことが分かります。

 特定有害物質の水質基準も0.05mg/L以下です。この汚染水が浸みこんだ特定有害物質の土壌環境基準は1.5mg/Lとなり、この処分場にある水も土壌もそして、汚染源たる廃棄物も、争うことなく特定有害物質となります。特定有害物質となれば、これは裁判で争うことなく特別管理産業廃棄物となります。


小林=大同・廃棄物最終処分場に入るタンクローリー。

 汚染水を利根川に垂れ流すため大同特殊鋼渋川工場に運ぶだけでなく、地下水の検査の前には、渋川工場から真水を運び、水質モニタリング井戸に薄め戻しの水を投入したかも?しれません。有害スラグと天然石を混ぜてフッ素を希釈したように、汚染水を希釈することは大同社員の常とう手段(?)なのでしょうか?

 この処分場の水も土壌も埋立てて
ある廃棄物も特定有害物質が含まれた特別管理産業廃棄物となれば、次のことが指摘できます。

・まず廃棄物処分場に特別管理産業廃棄物・技術管理者が必要
・汚染水を運ぶのに特別管理産業廃棄物運搬の許可が必要
・汚染水を利根川に流すのに、最終処分場の処理施設の許可が必要、また管理者が常駐することが必要
・そもそもこの最終処分場は遮断型処分場ではないので、埋立てある廃棄物を撤去
・汚染された土壌の原状回復、つまり撤去片づけ
・この処分場の責任者と実質的所有者である大同特殊鋼責任者の刑事告発
・この処分場の汚染の隠ぺいに加担した、群馬県環境森林部の責任者と担当者の刑事告発


 以上が差しあたっての問題点です。

●ポイント③
群馬県が、最終処分場が地下水汚染を起こしても、行政処分にはあたらないとしていること

 報道によると、県会議員の質問に環境森林部長が「業者側は地下水汚染の改善に向けた対策などをしているため、行政処分にはあたらないとしている。」などと回答しているようですが、“連続的な”地下水汚染を12年も役所ぐるみで隠ぺいしておいて、よくも行政処分にあたらない、などと言えたものです。もちろん責任追及を覚悟の上、ふんぞり返った発言であることでしょう。

 この処分場には群馬県が2005年、水を通さない「不透水層」より上に廃棄物を埋め立てる計画だったのに層より下に埋められているが問題だとして、産廃処理会社「小林製工運送」(渋川市)に改善命令を出しています。この改善命令には、地下水汚染の文言はありません。

 改善命令も行政処分です、埋立計画の不備に改善命令を出しておいて、何故地下水汚染には改善命令を出さないのでしょうか?地下水汚染の隠ぺいは群馬県民をあげて、環境森林部の担当者の刑事告発を検討すべき問題と言えるでしょう。

●ポイント④
地下水汚染の原因物質について群馬県は「埋め立てられていた産廃」であるとしていること

 この管理型最終処分場に埋め立てられている廃棄物は、そもそも「鉱さい(無害)」「汚泥(無害)」と無害な物ばかりのはずです。


この処分場の産業廃棄物処理施設変更許可申請書。

 ごらんのとおり、「無害」という文字がいくつも躍っています。「無害」なものばかり処理することが書いてあります。なぜ無害な廃棄物から、驚愕の汚染水が地下浸透してしまうのですか!また、変更理由に地下水汚染の文字は見当たりません。地下水汚染を、大同と県は組織ぐるみで隠ぺいしてきたことがうかがえます。だとすれば、許せない大同!許せない群馬県環境森林部!絶対に!です。

 それにしても、よくもまぁ~朝日新聞の取材に対して、「地下水汚染の原因物質について、同課は「埋め立てられていた産廃」と指摘する」などと答えられたものです。なんで!無害なはずの廃棄物から地下水汚染の原因物質がでてくるのだ!環境基準の30倍の地下水汚染だぞ!しかも観測井戸の深さは150メートル!きれいな群馬ちゃんを返せ!!!

■リットン調査団によると、大同特殊鋼渋川工場周辺では、刑事責任の不起訴が確定以降、大同社員の態度が急変している?とする風説が流布しているようです。

 その風説というのは、真面目で優良な社員でさえも「大同特殊鋼は税金を100億円支払っているのだから、あまり環境問題を騒ぎ立てると、納める税金が減ってしまうぞ」とする発言が多くなり、“こんなおとなしい人でも、こんな乱暴なことを言うのか”と周囲をビックリさせる(?)状況が起きているということのようです。

 大同特殊鋼は、社員教育において「高額納税企業は、何をしても許される」(?)とする上から目線の勝ち誇った精神を叩き込んでいる(?)・・・のかもしれません。

 このような同社の体質を端的に示している一例が、同社のホームページで見られます。

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「なお、処分場開設時に近隣住民の皆様とお約束した処分場外の下流側井戸の水質調査は、現在も継続しております。当該井戸から環境基準を上回る六価クロムが検出されたことはございません。」
http://www.daido.co.jp/event/170825_gunma.html
**********

 きれいな群馬ちゃんを愛する県民読者の皆様、同社の誇らしげなこの文言を読んでどう思われましたでしょうか? 一般に地下水脈は目に見えません。どこをどう流れているか分からないのですが、同社は地下水脈を完全に把握しているらしく、断定的に言い切っています。

■ところで「処分場外の下流側井戸」の深さは、いったい何メートルあるのでしょうか? 前掲の写真でご覧いただいたように、廃棄物処分場は安全基準を無視して、どんどん深く、深く掘り下げてゆき、とうとう150メートルもの深さまで井戸を掘り、水をくみ上げているのです。だから、「処分場外の下流側井戸」などの浅い井戸からは、汚染物質が検出されるはずはないのです。

 勝ち誇ったような同社の物言いを垣間見る時、「高額納税企業は、何をしても許される」?とする社員教育をしているなどの風説があながち間違っていないのでは・・・、と感じてしまうのは当会だけでしょうか?

■この処分場の今後の関心事は、スラグに含まれるフッ素が溶け出し、この処分場の地下水をどれだけ汚染しているか?という点です。なぜなら、この処分場は遮水シートなどないので、廃棄物からの浸出水=地下水ということになるからです。

 当会では、なにもお役人様の刑事責任などを好んで追及したりするなど、事を荒立てるようなことは本来したくないのです。しかし、六価クロムの隠ぺいに続き“フッ素汚染”だけは公表しないとするお役人様がいるとすれば、微力ながら全力をあげて責任追及にも挑んでいきたいと考えております。

 群馬県のお役人様、事ここに至り、この期に及んだのですから。どうか全ての事実を広くオープンに公表されますよう、切にお願い申し上げる次第です。

【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】

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