市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専…「校報」人事情報不開示への審査請求と山崎校長の思惑

2017-10-11 22:50:00 | 群馬高専アカハラ問題
■群馬高専の学校運営に関する情報を取りまとめた報告書である群馬高専「校報」は、年1回(2016年度以前は年2回)発行されており、その中には教職員の異動や退職等に関する人事情報を取りまとめたセクションがあり、群馬高専のホームページ上でも公開されていました。
※校報127号(人事情報非公開PDF ⇒ kouhou127.pdf
※校報128号(人事情報非公開PDF ⇒ kouhou128.pdf
※校報129号(人事情報非公開PDF ⇒ kouhou129.pdf

就任後半年が経過した山崎誠・現校長(群馬高専HPから)。

 しかし、当会の調査により、2016年夏まで公開されており誰でも閲覧できたはずの「校報」人事情報が、2016年10月以降、全面非公開とされてしまっていることが発覚し、さらに西尾前校長退任直前の今年3月に当会が群馬高専を訪問して文書の閲覧を求めたところ、「校報」は訪問して直接閲覧することさえ不可能になってしまっていることが明らかとなりました。次のブログを参照ください。
○2017年3月17日:アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専・・・校内発行刊行物「校報」人事関係情報も外部に隠す体質浮彫り
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2264.html

 この非公開処分について、アカハラ被害教員が退職した事実を隠し、さらに、立場の危うくなったアカハラ加害者が群馬高専からの脱出(転職・退職)を仮に画策した場合、それを群馬高専として全力でサポートする狙いがあると睨んだ当会は、これを重大な問題であると捉えました。

 さらに言えば、今後アカハラ含めた重大事件が起こった場合の被害者の退職や加害者への懲罰、あるいは滅茶苦茶な学校運営が行われてそれに教職員が抵抗した場合に行われる理不尽な懲罰人事の一切が外部に漏れ出なくさせた訳ですから、この措置は学校をより閉鎖的にし、恐ろしく時代に逆行させるものでしかありません。当然、多額の税金が投入され、多数の青少年達が関わる群馬高専という教育機関で、このようなことが許されて良いはずもありません。

 したがって、当会は、群馬高専にこの措置を撤回させることが、これまで様々な悲劇を生み出してきた群馬高専の隠蔽・秘密主義体質を是正させる小さな一歩であり布石であると考えました。

■そこで、当会では、17年6月初めの群馬高専へのヒアリングにおいて、この件でも同年4月に就任したばかりの山崎現校長に質疑を行いました。
○2017年6月15日:【詳報】群馬高専のアカハラ等問題について4月に着任の新校長ら幹部とオンブズマンの会合の一部始終
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2344.html

 しかし山崎校長は、「国松長官狙撃事件」を例示し、さらに上部機関(=国)から、「職員の住所などを開示しないようガイドラインが出ており、西尾前校長はそれに従っただけ」という説明をしました。

 とはいえ、そもそも人事異動情報に教職員の住所や電話番号といった個人情報が記されているわけではありませんから、群馬高専の措置は明らかに過剰であり、山崎校長の説明は的外れでしか無いと言えます。

 加えて言えば、警察庁長官狙撃事件は、性質上恨みを買いやすい国家機関の高位の役職にあるものが、銃器を用いる凶悪なテロリストに目を付けられたがゆえの悲劇であり、地方の一学校である群馬高専教職員の異動情報公開などとは根本から話のレベルも性質も異なるものです。

 群馬高専は、教職員の人事情報が公開されたとたん、彼らの身に直接危害が及ぶとでも考えているのでしょうか。とすれば全く荒唐無稽と断ずるしかありません。当会や市民、ひいては学生や保護者がテロリストと同列だと言い放っているようなもので、甚だ遺憾であるとしか言いようがありません。

 さらに、「公立の高校では教員の人事を全て公開するのに、同じく中等教育機関でもある群馬高専が(教員の)人事情報を非公開とするのはおかしい」という当会の指摘に対して、山崎校長は「公立高校であっても、(事務)職員の人事までもを公開している訳では無い」と回答しました。

 しかしこれは、公立高校が“事務職員の人事情報”を公開していないことを、群馬高専が“教員の人事情報までもを”非公開処分としたことの正当化に使うという、とんでもない話のすり替えとも言っていい回答です。

 その上、群馬高専(山崎校長)側は「国から出ていたガイドライン」の具体的内容を一切示さず、さらにあらかじめ回答を要請してもあった「(ガイドラインを受けて)誰が、いつ、非公開を指示したのか」についても一言も説明しませんでした。

■このような話のすり替えや自らに都合の良い解釈のオンパレードとなった山崎校長の説明に対して、当会は深い失望を覚えました。そのうえで、西尾前校長の方針踏襲ありきな山崎校長との対話によって「校報」人事情報の非公開措置を撤回させることは困難であると感じ、非公開処分に正当な理由が無い事を公的に証明するため、2017年8月に高専機構に対して情報公開請求書を提出しました。
○2017年8月14日:アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専・・・西尾前校長の選任過程等を機構と文科大臣宛に情報開示請求
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2383.html

 しかし、2017年9月に返ってきた開示に対する返答は、校報127号の人事情報(2015年度)は開示するものの、129号の人事情報(2016年度)は全面不開示とするものでした。
○2017年10月10日:アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専…機構が開示した不開示処分決定書の原案から分かる本音
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2434.html

*****校報に関する不開示処分の部分(抜粋)*****PDF ⇒ jm.pdf
2 不開示とした部分とその理由
 1-2 群馬工業高等専門学校「校報」129号人事関係(p.23~25)
 不開示部分:人事関係のうち個人情報に関する部分
        ・退職
           氏名、退職前の職名等、退職理由、退職後
        ・退職(人事交流者)
           氏名、異動先及び職名等、異動前の職名等
        ・配置換(転出)
           氏名、配置換後、配置換前
        ・採用
           氏名、所属・職名、前職等
        ・配置換(転入)
           氏名、配置換後、配置換前
        ・採用(人事交流)
           氏名、所属・職名、前職等
        ・配置換
           氏名、配置換後、配置換前
        ・昇任
           氏名、所属・職名、昇任前
        ・育児休業
           氏名、所属・職名、育児休業期間
        ・名誉教授
           氏名、元所属・職名
        ・表彰
           表彰内容、表彰日時、被表彰者

 理由:個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの又は、他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができるものであり、かつ、人事管理に関する情報であって、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるものであるため、法第5条第一号及び法第5条第四号へに該当すると認められ、また、法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず、不開示とすることが相当
**********

 校報127号のみを開示したのは、単に2016年10月の非公開処分の前に公開されていた期間があったから、という理由に過ぎないと考えられます。逆に言うならば、「非公開処分以降、つまり129号以降に掲載された人事情報の全ては、未来永劫、一分たりとも開示しないし、まして公開などしない」という姿勢を高専機構・群馬高専は打ち出してきたことになります。

■あまりに理不尽な裁定であり、高専機構・群馬高専が人事情報の公開についてすら当市民オンブズマン群馬への徹底抗戦を試みていることが明白となったため、当会では次の内容の審査請求書を郵送(簡易書留)で提出しました。



*****審査請求書*****PDF ⇒ rcj.pdf
            審査請求書
                    平成29年10月11日
独立行政法人国立高等専門学校機構 様
                  審査請求人
                   郵便番号  371-0801
                   住  所  群馬県前橋市文京町一丁目15-10
                   氏  名  市民オンブズマン群馬
                         代表 小川 賢 (65歳)
                   連 絡 先  TEL:027-224-8567
                         事務局長 鈴木 庸(65歳)

 行政不服審査法の規定に基づき、次のとおり法人文書開示決定の不開示部分に対して審査請求を行います。

1. 審査請求に係る処分:
 審査請求人は平成29年8月14日付けで、独立行政法人国立高等専門学校機構(以下「機構」という)に対して、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」という)第4条第1項の規定に基づき、次の法人文書の開示を請求しました。

(1) 群馬高専「校報」第127、129号および131号のうち、教職員の異動者・退職者の氏名・事由等を記した人事関係欄。特に公的性質の高い常勤教員に関する情報。

 これに対して、機構が審査請求人に対して平成29年9月20日付(29高機総第77号)で行った法人文書開示決定処分のうち不開示とした次の部分(以下「本件処分」という)。

(1) 群馬工業高等専門学校「校報」129号人事関係(p.23~25)
  人事関係のうち個人情報に関する部分
  ・退職
      氏名、退職前の職名等、退職理由、退職後
  ・退職(人事交流者)
      氏名、異動先及び職名等、異動前の職名等
  ・配置換(転出)
      氏名、配置換後、配置換前
  ・採用
      氏名、所属・職名、前職等
  ・配置換(転入)
      氏名、配置換後、配置換前
  ・採用(人事交流)
      氏名、所属・職名、前職等
  ・配置換
      氏名、配置換後、配置換前
  ・昇任
      氏名、所属・職名、昇任前
  ・育児休業
      氏名、所属・職名、育児休業期間
  ・名誉教授
      氏名、元所属・職名
  ・表彰
      表彰内容、表彰日時、被表彰者

2.審査請求に係る処分があったことを知った年月日:平成29年9月22日

3. 審査請求の趣旨:
 本件処分は、係る請求先情報の性質を鑑みて法に著しく違反したものであり、その取り消しを求めます。

4. 審査請求の理由:
(1)審査請求人は日本国民として法人文書の開示を求める権利を有しています。

(2)機構は、法第5条に基づく開示義務を有します。

(3)機構が本件処分において不開示とした事項のうち、教職員の退職者(人事交流による者を含む)および被採用者(人事交流による者を含む)に関する情報は、その氏名やかかる人事が為される前後の所属・職名について、群馬高専の刊行物「学校だより」に原則として記載されており、これについては、少なくとも本申立を行った時点で群馬高専のHP上においても公開されている上、何人でも求めに応じて閲覧することができるため、すでに慣行として公にされているか、あるいは公にすることが予定されている情報であるとみることができます。

(4)本件処分により不開示とされた情報については、群馬高専の教員と職員についてのものが含まれていますが、特に教員に関しての情報は、元の請求にも付記したとおりその性質上非常に公的性質が強く、(3)に上記した理由に加え、下の(5)~(8)に係る理由も不開示が妥当でないとみる理由として挙げることができます。

(5)群馬高専はそのHP上において教員名簿を公表しており、教員の氏名・所属学科・経歴・職階については何人も容易に知ることが可能で、さらに、この名簿は教員の異動・退職、配置転換、昇進に応じて更新されます。したがって、機構が本件処分により不開示とした事項のうち、教員の退職者(人事交流による者を含む)、被採用者(人事交流による者を含む)および昇任した者についての、氏名・職位等の情報は誰でも(更新前後を見比べて)容易に知ることが可能であるため、公領域情報であるとみなすことができます。

(6)人事交流による教員の異動(退職)者や被採用者については、人事交流の派遣先または派遣元が基本的に他の高専であり、その人物に係る氏名等情報はその派遣先あるいは派遣元の高専のHPや発行物等を確認することにより容易に知ることができます。

(7)群馬高専に属する教員は、そのすべてが修士号以上の学位を有する研究者であり、公機関の作った研究者データベースで容易に氏名や所属、職位を確認することができ、別の機関に移る等で群馬高専に所属しなくなった後の動向も容易に知ることができます。

(8)また、群馬高専は中等教育機関と高等教育機関としての性質と役割を兼ね備えた学校ですが、少人数ごとにクラスが編成され、教員がその担任を受け持ち、カリキュラムがほぼ必修で授業は小規模な教室で行われるため教員と学生の結びつきが非常に強いといった、高等学校(中等教育機関)に非常に近い性質をもった教育機関であるといえます。ここで公立の高等学校(中等教育機関)の教員人事が新聞等で公開されることを考えれば、同種の情報が公にされており、群馬高専の教員についてのみ公にしないとする合理的理由が認められないことから、いわゆる「べき論」の立場に立てば、本件処分により不開示とされた情報のうち教員の退職・異動等に関する情報は「公にすることが予定されている情報」とみることができます。

(9)職員についても、その氏名・所属・職名については、少なくとも本申立を行った時点で、群馬高専の施設に掲示されている職員配置図等で外部の人間にも容易に把握可能であり、すでに公衆の知り得る状態におかれているとみることができます。また配置転換等についてもこれらの推移を見比べれば容易に把握可能です。

(10)加えて、特に教職員の配置転換や人事交流については、職務の一環として行われているものであり、それに関する情報は独立行政法人の職員の職務遂行に関するものとして法5条1号ハの適用を受けます。

(11)機構が本件処分において不開示とした事項のうち、名誉教授の称号を授与された者の氏名や元所属・職名、および表彰された教員の氏名・職名や表彰日時・表彰内容については、少なくとも本申立を行った時点ですべて群馬高専のHPで公開されています。

(12)以上より、本件処分において機構が不開示とした情報のうち、教職員の育児休業に関する情報を除いたすべてについて、明らかに公領域情報であることから、法5条1号イの適用を受け、加えて当該情報のうちいくつかは同時に職務遂行情報であることから法5条1号ハの適用を受けるため、その開示を求めます。

5.処分庁の教示の有無及びその内容:
 平成29年9月20日付高機総第77号の法人文書開示決定通知書により、「この決定に不服がある場合は、行政不服審査法(平成26年法律第68号)の規定に基づき、この決定があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に、独立行政法人国立高等専門学校機構に対して審査請求をすることができます(なお、決定があったことを知った日から起算して3か月以内であっても、決定があった日の翌日から起算して1年を経過した場合には審査請求をすることができなくなります。)。また、この決定の取消しを求める訴訟を提起する場合は、行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号)の規定に基づき、この決定があったことを知った日から6ヶ月以内に、独立行政法人国立高等専門学校機構を被告として、同法第12条に規定する裁判所に処分の取消しの訴えを提起することができます。(なお、決定があったことを知った日から6か月以内であっても、決定の日から1年を経過した場合には処分の取消の訴えを提起することができなくなります。)」との教示がありました。
                                      以 上

**********

■ところで、高専や高専機構への文書開示・不開示決定のプロセス・責任関係が長らく不明であったため、先日機構職員へ聞き取りを行ったところ、「各高専の保有文書については、まず該当高専の校長が開示に関する決定を行い、その決定に審査請求(異議申立)が出れば高専機構の理事長が裁定する」という構造になっていることが明らかになりました。

→追記:更なる調査により、実際には審査請求後でも機構理事長は処分の取消を行うのみで、再処分も各高専の校長が行うことが明らかとなりました。次の記事を参照ください。http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2443.html

 つまり今回の「校報」人事情報不開示処分については、山崎校長がその意思と判断に基づき、完全に彼の責任の下において行ったということになります。

 しかしながら、彼の行った処分は、当会の審査請求書を見ても一目瞭然のとおり、「そもそも公開されている情報を不開示とする」という荒唐無稽・意味不明としか言いようがないものです。

 当会としても、審査請求書を書いている途中、「なぜこんな当たり前のことばかりを書かなければいけないのか」と何度も首をひねったほどです。それほどまでにこの決定は理解に苦しむものであり、審査請求もほぼ確実に通ると思われますが、問題は、「聡明で教育改革に邁進するはずの山崎校長がなぜ、このような判断をしたのか」ということです。

 大真面目にこの裁定を下したのだとすれば山崎校長の思考構造を疑うのみですが、審査請求から審査会の答申が出て、そこから更に開示がなされるまで最低数ヶ月はかかるであろうことを考えれば、当会に可能な限りの負担を強いよう、あわよくば諦めて去ってくれるのを狙おう、という作戦なのかもしれません。

■なにしろ、審査請求にかかる労力や金銭的負担は全部オンブズマン持ち、どんなに理不尽な不開示処分をしたとしてもお咎めなし、万が一損害賠償請求ということになっても国民の税金から支払えばよいとくれば、山崎校長としては傍若無人に振る舞い放題ということになります。

 ですがこれではあまりに当市民オンブズマン群馬のみならず外部の一般市民を見下した態度としか言いようが無く、校長としての権力・権限をカサに着て横暴に振る舞い、悲惨な事件を連発させた西尾前校長と何ら変わるところがありません。

 しかし西尾前校長には文科省という本拠があり、いつでも逃げ戻って責任追及を逃れられたことが、その横暴な振る舞いの一つのバックボーンとなっていた一方で、改革の銘を背負い単身乗り込んだ高専プロパーである山崎校長は、自分の行動の責任と結果をすべて自分自身で背負わなければなりません。

 それだけに、山崎校長にはその大きな力の運用に際して、西尾前校長のように「臭いものに蓋をし続ける」方針は通用しないことを自覚してもらいたいと感じますし、また今回の強硬な処分に関しては猛省を促したいと考えます。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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