■東電グループの関電工を事業主体とする前橋バイオマス発電施設は、群馬県が定めた環境アセスメントを行わないまま、今年内に竣工し、来年1月からの運転開始に向けて準備が進められています。この暴挙を食い止めようと、当会は地元住民団体とともに、発電施設に隣接する木質チップ製造施設に対する補助金交付の「差止」もしくは「処分の取消」を求める訴訟を2016年7月15日に提起しました。先月9月7日(木)に第4回弁論準備が開かれ、その時の受命裁判官の指揮により、10月13日に被告から第3準備書面として「補助金交付決定の経緯について」と題する書面が送られてきました。
↑被告第3準備書面が同封された被告訴訟代理人からの封筒。↑
これまでの裁判の経緯は次のブログをご覧ください。
〇2017年6月11日:東電の毒牙から赤城山と県土を守れ!…前橋バイオマス補助金訴訟6.15弁論準備に向け原告準備書面(2)を提出↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2341.html#readmore
〇2017年6月18日:東電の毒牙から赤城山と県土を守れ!…6月15日に第2回弁論準備として開かれた前橋バイオマス補助金訴訟↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2345.html#readmore
〇2017年7月7日:東電の毒牙から赤城山と県土を守れ!…前橋バイオマス補助金訴訟で7月7日に原告が差止⇒返還に訴えの変更申立↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2360.html#readmore
〇2017年7月25日:東電の毒牙から赤城山と県土を守れ!…7月18日に第3回弁論準備として開かれた前橋バイオマス補助金訴訟↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2373.html#readmore
〇2017年9月10日:東電の毒牙から赤城山と県土を守れ!…9月7日に第4回弁論準備として開かれた前橋バイオマス補助金訴訟↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2414.html
■まずはともあれ、被告が送って来た文書を見てみましょう。
*****被告第3準備書面*****PDF ⇒ 20171015_hikoku_junbishomen_no.3.pdf
平成28年(行ウ)第27号 住民訴訟によるバイオマス補助金支払差止請求事件
原 告 小川賢 外1名
被 告 群馬県知事 大澤 正明
第3準備書面
平成29年10月13日
前橋地方裁判所民事第1部合議係
被告訴訟代理人弁護士 石 原 栄 一
同 関 夕 三 郎
同 織 田 直 樹
同指定代理人 板 垣 哲 夫
同 束 田 健 靖
同 折 田 知 徳
同 武 藤 淳
同 鈴 木 利 光
同 石 井 米 吉
本件補助金交付に至る経緯については,別紙のとおりである。
以上
*****(別紙)*****
補助金交付決定の経緯について
日付/出来事
●H26.7.10/被告が、各都道府県・関係市に環境影響評価条例における木質バイオマス発電所建設事業の対象要件等について照会を実施(H26年7月18日回答締切)。
●H27.3.31/被告が「未利用の木質バイオマスを燃料とする工場又は事業場については、排ガス量を計算するにあたっては、含水率(乾量基準含水率)を20%として算出できるものとする」とする群馬県環境影響評価条例施行規則別表第1の適用に関する運用を制定。
●H27.7.10/㈱関電工及び㈱トーセンが被告に前橋バイオマス発電所及びチップ製造施設の概要等に関する資料を提出。
●H27.7.30/㈱関電工が被告に手続き状況を具体的に説明し、その中で前橋バイオマス発電所は環境アセスメント対象事業非該当であることも説明。
●H27.9.14/被告が県議会へ、前橋バイオマス燃料㈱のチップ製造施設に対する群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業4億8千万円(基金:4億円、県費8千万円)を含む補正予算案を提出。
●H27.10.7/県議会において前橋バイオマス燃料㈱のチップ製造施設整備に対する群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業4億8千万円(基金:4億円、県費:8千万円)の予算が可決成立。
●H27.10.20/前橋市が前橋バイオマス発電㈱及び前橋バイオマス燃料㈱に対し環境配慮計画の提出を要請。
●H27.10.21/前橋バイオマス燃料㈱が被告に森林整備加速化・林業再生基金事業計画を提出。
●H28.5.18/前橋バイオマス発電㈱と前橋バイオマス燃料㈱が前橋市長に「前橋バイオマス発電施設に関る環境配慮計画」を提出。
●H28.5.25/被告が前橋市より「前橋バイオマス環境配慮計画」を受領。
●H28.6.17/被告が前橋バイオマス燃料㈱へ補助金交付予定額を内報。
●H28.6.20/前橋バイオマス燃料㈱が被告に実施設計書を提出。
●H28.6.27/被告が前橋バイオマス燃料㈱へ補助金交付予定額を内示。
●H28.6.28/前橋バイオマス燃料㈱が被告に補助金交付申請書の提出。
●H28.7.4/被告による本件補助金の交付決定。
●H28.8.16/被告が前橋バイオマス燃料㈱へ補助金概算払請求額2億2230万円を支出。
●H29.5.19/前橋バイオマス燃料㈱による補助対象事業が完了。
●H29.5.23/前橋バイオマス燃料㈱が被告に補助事業実績報告書を提出。
●H29.5.24/被告が補助事業の完了確認を実施し,補助金額を4億8000万円と確定。
●H29.5.31/被告が前橋バイオマス燃料㈱へ補助金未払い分の2億4150万円を支出。
**********
■これらを見ると、いかに被告群馬県が、東電グループの関電工に「忖度」して、前橋バイオマス発電に関する重要かつ必要な情報を我々近隣住民や県民に対して開示してこなかったか、あるいは開示しても、一部しか開示していなかった、などなど、その秘密体質がよくわかります。項目順にコメントしてみました。
●H26.7.10/被告が、各都道府県・関係市に環境影響評価条例における木質バイオマス発電所建設事業の対象要件等について照会を実施(H26年7月18日回答締切)。
【当会コメント】どうやら群馬県は、関電工からの打診を受けて、この時手回しよく、他の都道府県や関係自治体に対して、木質バイオマス発電所に関して環境アセスメント条例の適用事例を調べようと、アンケート調査を行ったものと推察されます。
●H27.3.31/被告が「未利用の木質バイオマスを燃料とする工場又は事業場については、排ガス量を計算するにあたっては、含水率(乾量基準含水率)を20%として算出できるものとする」とする群馬県環境影響評価条例施行規則別表第1の適用に関する運用を制定。
【当会コメント】これには明らかに矛盾があります。原告住民が群馬県とのメールのやりとりで、「県が排ガス量を知ったのは、平成27年4月頃」とする説明がありました。関電工が排ガス量を知り得たのは遅くとも同年1月から3月だったはずです。あるいは、関電工がボイラーメーカーに相談したのは平成26年10月からだったので、当然、その時点で排ガス量の見当はつけていたはずです。こうした観点から、本当に平成27年3月31日が排ガス量の特例措置の適用の根拠とされている運用の見直しの制定日なのかどうか、非常に疑問です。
●H27.7.10/(株)関電工及び(株)トーセンが被告に前橋バイオマス発電所及びチップ製造施設の概要等に関する資料を提出。
【当会コメント】7月10日の提出時に誰がどのような資料を提出したのか、確認する必要があります。また、資料を県が受領時に回議書で情報共有化を図ったはずです。その経緯を確認する必要があります。
●H27.7.30/(株)関電工が被告に手続状況を具体的に説明し、その中で前橋バイオマス発電所は環境アセスメント対象事業非該当であることも説明。
【当会コメント】関電工らが平成27年7月10日に群馬県に提出した資料には、「平成27年3月に本経過については群馬県の環境アセスメントの適用対象とならないことを群馬県環境政策課から確認を得た」と書かれているので、なぜ7月30日に関電工はこの事業が再度アセスメント非該当の説明をしなければならなかったのか、極めて疑問です。このあたりの経緯を確認する必要があります。
■以上のように、ますます疑問だらけの群馬県の情報開示体質ですが、この住民訴訟事件の第5回弁論準備期日は来週10月23日(月)午後4時から前橋地裁32号法廷で開かれます。その際に、被告の群馬県にあらためて疑問点を質すことのできる機会があると思われます。
【10月18日追記】
被告第3準備書面の「補助金交付決定の経緯について」と題する資料に関連して、気づいた事項があります。
被告群馬県知事は、2015年6月27日、選挙遊説で「宮城地区に木質バイオマス発電所が出来る。県産材センターで曲がった原木、端材を燃料とする」との遊説をおこなっています。
時系列的な観点から、被告第3準備資料によれば、被告に関電工が木質バイオマス概要の資料を出したのは2015年7月10日となっています。
明らかに本事業は被告と業者が、「開発ありき」で結託して推進したものと言えます。当会が「官業癒着」の亡国事業と呼んでいるのも、こうした事実に裏付けられていると言えます。
※添付:大澤候補の選挙遊説 PDF ⇒ vmeiv2015627.pdf
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
↑被告第3準備書面が同封された被告訴訟代理人からの封筒。↑
これまでの裁判の経緯は次のブログをご覧ください。
〇2017年6月11日:東電の毒牙から赤城山と県土を守れ!…前橋バイオマス補助金訴訟6.15弁論準備に向け原告準備書面(2)を提出↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2341.html#readmore
〇2017年6月18日:東電の毒牙から赤城山と県土を守れ!…6月15日に第2回弁論準備として開かれた前橋バイオマス補助金訴訟↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2345.html#readmore
〇2017年7月7日:東電の毒牙から赤城山と県土を守れ!…前橋バイオマス補助金訴訟で7月7日に原告が差止⇒返還に訴えの変更申立↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2360.html#readmore
〇2017年7月25日:東電の毒牙から赤城山と県土を守れ!…7月18日に第3回弁論準備として開かれた前橋バイオマス補助金訴訟↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2373.html#readmore
〇2017年9月10日:東電の毒牙から赤城山と県土を守れ!…9月7日に第4回弁論準備として開かれた前橋バイオマス補助金訴訟↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2414.html
■まずはともあれ、被告が送って来た文書を見てみましょう。
*****被告第3準備書面*****PDF ⇒ 20171015_hikoku_junbishomen_no.3.pdf
平成28年(行ウ)第27号 住民訴訟によるバイオマス補助金支払差止請求事件
原 告 小川賢 外1名
被 告 群馬県知事 大澤 正明
第3準備書面
平成29年10月13日
前橋地方裁判所民事第1部合議係
被告訴訟代理人弁護士 石 原 栄 一
同 関 夕 三 郎
同 織 田 直 樹
同指定代理人 板 垣 哲 夫
同 束 田 健 靖
同 折 田 知 徳
同 武 藤 淳
同 鈴 木 利 光
同 石 井 米 吉
本件補助金交付に至る経緯については,別紙のとおりである。
以上
*****(別紙)*****
補助金交付決定の経緯について
日付/出来事
●H26.7.10/被告が、各都道府県・関係市に環境影響評価条例における木質バイオマス発電所建設事業の対象要件等について照会を実施(H26年7月18日回答締切)。
●H27.3.31/被告が「未利用の木質バイオマスを燃料とする工場又は事業場については、排ガス量を計算するにあたっては、含水率(乾量基準含水率)を20%として算出できるものとする」とする群馬県環境影響評価条例施行規則別表第1の適用に関する運用を制定。
●H27.7.10/㈱関電工及び㈱トーセンが被告に前橋バイオマス発電所及びチップ製造施設の概要等に関する資料を提出。
●H27.7.30/㈱関電工が被告に手続き状況を具体的に説明し、その中で前橋バイオマス発電所は環境アセスメント対象事業非該当であることも説明。
●H27.9.14/被告が県議会へ、前橋バイオマス燃料㈱のチップ製造施設に対する群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業4億8千万円(基金:4億円、県費8千万円)を含む補正予算案を提出。
●H27.10.7/県議会において前橋バイオマス燃料㈱のチップ製造施設整備に対する群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業4億8千万円(基金:4億円、県費:8千万円)の予算が可決成立。
●H27.10.20/前橋市が前橋バイオマス発電㈱及び前橋バイオマス燃料㈱に対し環境配慮計画の提出を要請。
●H27.10.21/前橋バイオマス燃料㈱が被告に森林整備加速化・林業再生基金事業計画を提出。
●H28.5.18/前橋バイオマス発電㈱と前橋バイオマス燃料㈱が前橋市長に「前橋バイオマス発電施設に関る環境配慮計画」を提出。
●H28.5.25/被告が前橋市より「前橋バイオマス環境配慮計画」を受領。
●H28.6.17/被告が前橋バイオマス燃料㈱へ補助金交付予定額を内報。
●H28.6.20/前橋バイオマス燃料㈱が被告に実施設計書を提出。
●H28.6.27/被告が前橋バイオマス燃料㈱へ補助金交付予定額を内示。
●H28.6.28/前橋バイオマス燃料㈱が被告に補助金交付申請書の提出。
●H28.7.4/被告による本件補助金の交付決定。
●H28.8.16/被告が前橋バイオマス燃料㈱へ補助金概算払請求額2億2230万円を支出。
●H29.5.19/前橋バイオマス燃料㈱による補助対象事業が完了。
●H29.5.23/前橋バイオマス燃料㈱が被告に補助事業実績報告書を提出。
●H29.5.24/被告が補助事業の完了確認を実施し,補助金額を4億8000万円と確定。
●H29.5.31/被告が前橋バイオマス燃料㈱へ補助金未払い分の2億4150万円を支出。
**********
■これらを見ると、いかに被告群馬県が、東電グループの関電工に「忖度」して、前橋バイオマス発電に関する重要かつ必要な情報を我々近隣住民や県民に対して開示してこなかったか、あるいは開示しても、一部しか開示していなかった、などなど、その秘密体質がよくわかります。項目順にコメントしてみました。
●H26.7.10/被告が、各都道府県・関係市に環境影響評価条例における木質バイオマス発電所建設事業の対象要件等について照会を実施(H26年7月18日回答締切)。
【当会コメント】どうやら群馬県は、関電工からの打診を受けて、この時手回しよく、他の都道府県や関係自治体に対して、木質バイオマス発電所に関して環境アセスメント条例の適用事例を調べようと、アンケート調査を行ったものと推察されます。
●H27.3.31/被告が「未利用の木質バイオマスを燃料とする工場又は事業場については、排ガス量を計算するにあたっては、含水率(乾量基準含水率)を20%として算出できるものとする」とする群馬県環境影響評価条例施行規則別表第1の適用に関する運用を制定。
【当会コメント】これには明らかに矛盾があります。原告住民が群馬県とのメールのやりとりで、「県が排ガス量を知ったのは、平成27年4月頃」とする説明がありました。関電工が排ガス量を知り得たのは遅くとも同年1月から3月だったはずです。あるいは、関電工がボイラーメーカーに相談したのは平成26年10月からだったので、当然、その時点で排ガス量の見当はつけていたはずです。こうした観点から、本当に平成27年3月31日が排ガス量の特例措置の適用の根拠とされている運用の見直しの制定日なのかどうか、非常に疑問です。
●H27.7.10/(株)関電工及び(株)トーセンが被告に前橋バイオマス発電所及びチップ製造施設の概要等に関する資料を提出。
【当会コメント】7月10日の提出時に誰がどのような資料を提出したのか、確認する必要があります。また、資料を県が受領時に回議書で情報共有化を図ったはずです。その経緯を確認する必要があります。
●H27.7.30/(株)関電工が被告に手続状況を具体的に説明し、その中で前橋バイオマス発電所は環境アセスメント対象事業非該当であることも説明。
【当会コメント】関電工らが平成27年7月10日に群馬県に提出した資料には、「平成27年3月に本経過については群馬県の環境アセスメントの適用対象とならないことを群馬県環境政策課から確認を得た」と書かれているので、なぜ7月30日に関電工はこの事業が再度アセスメント非該当の説明をしなければならなかったのか、極めて疑問です。このあたりの経緯を確認する必要があります。
■以上のように、ますます疑問だらけの群馬県の情報開示体質ですが、この住民訴訟事件の第5回弁論準備期日は来週10月23日(月)午後4時から前橋地裁32号法廷で開かれます。その際に、被告の群馬県にあらためて疑問点を質すことのできる機会があると思われます。
【10月18日追記】
被告第3準備書面の「補助金交付決定の経緯について」と題する資料に関連して、気づいた事項があります。
被告群馬県知事は、2015年6月27日、選挙遊説で「宮城地区に木質バイオマス発電所が出来る。県産材センターで曲がった原木、端材を燃料とする」との遊説をおこなっています。
時系列的な観点から、被告第3準備資料によれば、被告に関電工が木質バイオマス概要の資料を出したのは2015年7月10日となっています。
明らかに本事業は被告と業者が、「開発ありき」で結託して推進したものと言えます。当会が「官業癒着」の亡国事業と呼んでいるのも、こうした事実に裏付けられていると言えます。
※添付:大澤候補の選挙遊説 PDF ⇒ vmeiv2015627.pdf
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】