災害拠点病院、備蓄強化へ 燃料と水、指定要件厳格に 広域災害や全域停電想定
2019年5月7日 (火)配信共同通信社
災害時に24時間態勢で患者を受け入れる災害拠点病院について、厚生労働省は5日までに、指定要件を厳格化する方針を固めた。外部からの供給がなくても病院機能を3日程度維持させるため、「確保する」としていた非常用発電機の燃料を「備蓄が必要」とし、診療用水の備蓄も求める方向で検討している。広域災害や全域停電(ブラックアウト)を想定し、病院の自活能力を強化するのが目的だ。
病院の指定を担当する都道府県を通じ2020年度末までに対応するよう求める。ただ「タンクを増設するスペースがない」とする病院もあり、厳格化への対応に苦慮するところもありそうだ。
西日本豪雨や台風21号、北海道の地震を受け、政府が昨年9~11月に実施した重要インフラ施設の緊急点検の一環として、厚労省が拠点病院の燃料の備蓄状況を調べると、736の拠点病院のうち114カ所が「備蓄燃料は3日分未満しかない」と回答した。
さらに調査を進めると、114カ所のうち62カ所は「(石油組合などの)外部から供給を受ける」、12カ所は「都市ガスなどを使用する」などの方法で燃料を確保するとしており、交通網が寸断されたり、ガス管が破損したりした場合を考えると不安が残る結果となった。
また飲料水は3日分程度備蓄することが指定要件となっているが、人工透析などに使う診療用水に関しては、これまで受水槽や停電時に利用できる井戸の整備を求めていただけで、具体的な数値は示していなかった。
厚労省の調査で、受水槽の容量が3日分未満で、地下水も利用できない病院が177カ所に上ることが判明。同省は、診療用水についても3日分程度備蓄するよう求める方針だ。
※災害拠点病院
地震や風水害といった災害発生時に24時間態勢で傷病者を受け入れる医療機関で、1995年の阪神大震災をきっかけに整備が始まった。ヘリコプターの離着陸場や非常用発電機、災害派遣医療チーム(DMAT)を整備することなどが指定要件となっている。今年4月1日現在、全国に742病院ある。