大学の統合・再編促進へ 少子化加速で規模是正 文科相が中教審諮問
盛山正仁文部科学相は25日、新型コロナウイルスの影響による少子化の加速を踏まえた高等教育機関の将来像の検討を中教審に諮問した。大学の統合・再編の促進を議論の柱とし、定員規模の是正に向けた新たな政策につなげる。2025年3月までに答申を得たいとしている。
中教審は18年、経営困難な私立大に撤退を含む判断を促す指導を国に求め、私大間で学部譲渡を進めるといった改革を答申にまとめた。文科省は、その後の大学の動きが不十分で、40年代には入学者が今の定員の8割程度に減るとの推計もあるとして「国公私立の枠を超えた連携や統合・再編の議論は避けられない」と判断。新たな枠組みや規制に関する制度の検討を進めることにした。
主な諮問項目は(1)大学間の連携強化や統合・再編の促進(2)デジタル・脱炭素といった成長分野の人材育成(3)地域における質の高い高等教育の在り方(4)教育や経営に関する情報公開―。特に地方の小規模私大は定員維持の見通しが厳しく、教育機会確保のため地域社会との連携推進などが重要な議題となる。
海外と比較した研究力低下への懸念が強く、研究費における公的支出や民間投資の確保策についても検討を要請した。大学生らの学費を支える制度をどう改めていくかも話し合われる。
盛山氏は25日の中教審総会で「少子化はわが国が直面する最大の危機。高等教育全体の適正規模や、国公私別の役割分担の検討が必要だ」と述べた。委員からは「各大学は他校と重複するような学科ではなく、特色ある分野を伸ばすべきだ」との指摘があった。