温泉クンの旅日記

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知らぬが花

2006-12-27 | 旅エッセイ
  < 知らぬが花 >

 旅が好きになってからというもの、本当によくコンビニを利用する。

 トイレを借用することもたびたびである。
 十年以上も前のことだ。中央高速を松本で降り上高地へ向かって走ると、トイレ
ご自由に使用してください、と看板に掲げたコンビニが道の右側にあって、この店
はエライ、といたく感激したものだった。



 そのころはまだ、コンビニがトイレを客に開放していなかったのだ。とくに首都
圏の店はトイレの使用を断固拒否していたように思う。
 それからしばらくして、たしかローソンがサービスの一環として大々的に客に
開放することを始め、すぐに他のコンビニも、追いかけるようにして開放するよう
になった。
 
 清潔なトイレだけ使用するのも気がひけるので、ついなにかを買ってしまう。
 煙草、使い捨てライター、ワンカップの焼酎、おつまみ、飲むヨーグルト、ペッ
トボトルのお茶やミネラル・ウォーター、夜食のカップ麺。冬はホカホカの肉ま
ん、ピザまん。わたしが買うのはこんなものである。

 適当な食堂やレストランがみつからないとき、腹ペコで立寄ったコンビニで食べ
る電子レンジで暖めた焼きそばパンは、それなりに案外いけるものだ。
 大型トラックも何台も停められるような大きな駐車場があるコンビニで、端っこ
に停めて軽く仮眠させてもらうこともある。宿探しのために、ちゃっかり雑誌を立
ち読みさせてもらう。・・・こうしてみるとけっこう利用範囲が広い。

 しかしコンビニがこんなに隆盛を極めるとは正直思わなかった。値段も品揃えも
スーパーにはかなわないはずで、最初のころは駅の売店を大きくしただけの店舗の
ようであった。
 たしかに便利ではあるが、便利ひとつだけではここまで全国展開できなかっただ
ろう。

 徹底的な売れるものしか置かない商品管理と独自の商品開発の努力がありそう
だ。弁当やファーストフードの品質管理も厳しい。賞味期限を超えたら即時に
ロスとして廃棄される。
 棒のように長い柿の種と梅昆布が、コンビニで買うわたしの定番のおつまみだっ
たことがある。それも二、三ヶ月したある日忽然と棚から姿を消してしまった。
つまりは売り上げが一定量以上いかなかったのだろう。



 コンビニのレジでは、精算するときに客の性別と年齢を打ち込んでいるそうだ。
すべてのコンビニが同じかどうかはわからない。その情報は残念ながらレシートに
はまったく表示されない。
 買い上げた商品のバーコードをすべて読み取った後に、たとえば男性という列の
四十代のボタンを打ち込むとポンとレジが開くという。購買層別の商品管理用に、
このデータがオンラインで即時に本部に送信されるのである。

 信長が好きだった敦盛でいうニンゲン五十ネン、と言われたころとくらべると、
<現代の人間は七掛けした年齢が実際に近い>とある医学者は言いきる。四十歳な
ら二十八である。
 そういえば、欧米ではいまでも日本人はかなり若くみられるが、狭いようで広い
日本、どこかでそういうふうにみてくれる土地はないものだろうか。

 まだ自分は賞味期限前だ若いのだと思っているが、レジの茶髪のお嬢さんは、
いったいこのワシを「何十代」と打ち込んでいるのだろうか。覗き込みたい衝動に
かられる。誰かの写真の片隅に、知らないうちに写ってしまった自分を見るよう
で、なにかしら興味深い。
 が、やっぱり知らぬが花かも知れない・・・。

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