色の神
2006-12-30 | 雑文
< 色の神 >
悲しいことに、生まれつきの色弱である。
ははーん、とカン違いしないでほしいが、女性好きとか女性に弱いとかいうので
はない。色の道ではなく眼の話。色弱のなかでも赤と緑がわかりにくいという
「赤緑色弱」というやつである。
それと、黒のなかの赤もほとんどわからない。黒字普通、赤字急行などという
ダイヤをいくらみていても急行の時間が判らない。時刻表を見上げボーゼンと立ち
尽くしている間に、急行がスルスル入線し客乗せてガーっと出て行ってしまうほど
だ。(そんなわけ、ないか)
ほかの兄弟はみな正常でわたしだけ「異常」、どうやら隔世遺伝するものらし
い。
だから、いろいろ苦労する。
身体検査とか健康診断なんか死ぬほど大嫌いだった。
「え、そう見えるの? 変ねえ。じゃあ、このページをみて、なにか数字が読めま
すか」
視力を測ったあとに色神の検査をするわけだが、誰もが簡単に済むその検査が、
自分の番で流れがピタリと止まってしまう。
三人ほど前のヤツがやっているときから、検査に使う絵本みたいなページとそい
つの答えを頭に叩き込むのだが、やっぱり見つかってしまうのだった。
「数字、なんて読める?」
みんなの注視に耐え切れず、
「えーと、キュウ(9)です」
エーイ当れーぇ! と、キッパリ言うと検査の女先生が目を丸くする。アレー
こいつ色盲かよ、後ろの二、三人がどよめきに、終わった連中も振り返る。
「あ、やっぱり、ハチ(8)・・・かな」
慌てて言い直すが、もう駄目である。
人間そっくりだけど、ほんとうは猿であるのがバレタような気分、っていうのが
わかりやすいかな。優ばっかりのなかの劣ひとり。色の神が異常、ってどういう
ことさ。相当へこむね。とにかく、いやでした。
みんながため息をつく<紅葉>の素晴らしさというのがよくわからない。だから
秋の旅行なんかがつまらない。
「みなさま、バスの右手をご覧ください。いまがいちばんの紅葉の見ごろでござい
ます」
「わー!本当にきれいだわ」
おーすごい、などと車内のあちこちで歓声があがる。わたしも右手のほうをみる
が、見えるのは緑色ばかりで、散りばめられた鮮やか(らしい)な赤の色がわから
ない。黄葉のほうはだいじょうぶである。
「・・・ほんとだあー」
みんなの視線を追って見当をつけ、長い一瞥くれて、とりあえず無難なコメント
だけしておく、秋の悲しいわたしである。
社会人になっても苦労は続く。
その社会人になるのも「色神正常」でないと、つける職はグッと狭く限られるの
だ。
事務仕事で、集計するときに「赤字」は引いてね、っていわれるが何度やっても
同じ答えにならない。タイプをしても赤リボンの位置のままで打ち続け、真っ赤か
な報告書を何部も作成してしまう。伝票の色なども薄いので非常に識別しにくい。
スーツやネクタイなどを自分で選べず、つい売り場のひとのいいなりに買ってし
まう。
書くのがきりがないほど、とにかくたゆまぬ経験とトラウマで、完璧な色恐怖症
人間になった。
そんな色恐怖症のわたしが、あろうことか、無縁ともいえる「絵」をいま描いて
いるのだ。笑ってしまう。
ジツにテキトーな、色をアレコレ使って結構楽しく絵を描いている。自分にしか
描けない絵だ、そう開き直っている。売り物にするつもりもまったくない。いず
れ、いい旅の思い出の一枚ができればそれでいい。
時間は気の遠くなるほどかかりましたが、色の神とやらと、突然なにやら意気投
合、仲良くやっています、ってところである。
描いたなかから一枚を飾ろうと、今日、額を買ってしまった。
もう、トチ狂った、としか思えない。
でも、人生は、なんか面白い。
悲しいことに、生まれつきの色弱である。
ははーん、とカン違いしないでほしいが、女性好きとか女性に弱いとかいうので
はない。色の道ではなく眼の話。色弱のなかでも赤と緑がわかりにくいという
「赤緑色弱」というやつである。
それと、黒のなかの赤もほとんどわからない。黒字普通、赤字急行などという
ダイヤをいくらみていても急行の時間が判らない。時刻表を見上げボーゼンと立ち
尽くしている間に、急行がスルスル入線し客乗せてガーっと出て行ってしまうほど
だ。(そんなわけ、ないか)
ほかの兄弟はみな正常でわたしだけ「異常」、どうやら隔世遺伝するものらし
い。
だから、いろいろ苦労する。
身体検査とか健康診断なんか死ぬほど大嫌いだった。
「え、そう見えるの? 変ねえ。じゃあ、このページをみて、なにか数字が読めま
すか」
視力を測ったあとに色神の検査をするわけだが、誰もが簡単に済むその検査が、
自分の番で流れがピタリと止まってしまう。
三人ほど前のヤツがやっているときから、検査に使う絵本みたいなページとそい
つの答えを頭に叩き込むのだが、やっぱり見つかってしまうのだった。
「数字、なんて読める?」
みんなの注視に耐え切れず、
「えーと、キュウ(9)です」
エーイ当れーぇ! と、キッパリ言うと検査の女先生が目を丸くする。アレー
こいつ色盲かよ、後ろの二、三人がどよめきに、終わった連中も振り返る。
「あ、やっぱり、ハチ(8)・・・かな」
慌てて言い直すが、もう駄目である。
人間そっくりだけど、ほんとうは猿であるのがバレタような気分、っていうのが
わかりやすいかな。優ばっかりのなかの劣ひとり。色の神が異常、ってどういう
ことさ。相当へこむね。とにかく、いやでした。
みんながため息をつく<紅葉>の素晴らしさというのがよくわからない。だから
秋の旅行なんかがつまらない。
「みなさま、バスの右手をご覧ください。いまがいちばんの紅葉の見ごろでござい
ます」
「わー!本当にきれいだわ」
おーすごい、などと車内のあちこちで歓声があがる。わたしも右手のほうをみる
が、見えるのは緑色ばかりで、散りばめられた鮮やか(らしい)な赤の色がわから
ない。黄葉のほうはだいじょうぶである。
「・・・ほんとだあー」
みんなの視線を追って見当をつけ、長い一瞥くれて、とりあえず無難なコメント
だけしておく、秋の悲しいわたしである。
社会人になっても苦労は続く。
その社会人になるのも「色神正常」でないと、つける職はグッと狭く限られるの
だ。
事務仕事で、集計するときに「赤字」は引いてね、っていわれるが何度やっても
同じ答えにならない。タイプをしても赤リボンの位置のままで打ち続け、真っ赤か
な報告書を何部も作成してしまう。伝票の色なども薄いので非常に識別しにくい。
スーツやネクタイなどを自分で選べず、つい売り場のひとのいいなりに買ってし
まう。
書くのがきりがないほど、とにかくたゆまぬ経験とトラウマで、完璧な色恐怖症
人間になった。
そんな色恐怖症のわたしが、あろうことか、無縁ともいえる「絵」をいま描いて
いるのだ。笑ってしまう。
ジツにテキトーな、色をアレコレ使って結構楽しく絵を描いている。自分にしか
描けない絵だ、そう開き直っている。売り物にするつもりもまったくない。いず
れ、いい旅の思い出の一枚ができればそれでいい。
時間は気の遠くなるほどかかりましたが、色の神とやらと、突然なにやら意気投
合、仲良くやっています、ってところである。
描いたなかから一枚を飾ろうと、今日、額を買ってしまった。
もう、トチ狂った、としか思えない。
でも、人生は、なんか面白い。
だから、色神検査をする機会がありますが、
色弱は男性に多いんですよね。
車の運転免許は??
いろいろと大変な事がありますがあなただけでは
ないのでそんなに悲観しないで開きなおってがん
ばって下さい~
ラ・ク-ア、昨年行きました~
免許は信号の赤青黄がわかればだいじょうぶということで所持しています。
悲観の時期はとうに通り越して、いまは達観していますのでご安心を。
看護の仕事だと忙しいでしょうから、正月などは休めるのでしょうか。
来年もまた遊びに来てください。
よいお年を。