温泉クンの旅日記

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鮭の町、村上(1)

2015-05-24 | ぶらり・フォト・エッセイ
  <鮭の町、村上(1)>

 新潟の瀬波温泉に近い村上市、鮭製品製造の老舗の「味匠 㐂っ川(きっかわ)」である。



 古い町屋と暖簾がなんとも素晴らしい。

(ようやっと約束を果たしたか・・・)
 あれは十年前くらい、浅草橋のカウンターだけの小さな酒場だった。
「どちらからですか」
 全国どこへ行っても、瞬時にその地に馴染み過ぎて「土地の人間」と思われるわたしだが正直に「横浜です」と答えた。時間が早かったのか他に客がまるでいなかったので、しかたなくカウンターのなかのおばちゃんと会話をしているうちに、
「お客さん、瀬波温泉まで行ってどうして村上に寄らなかったの? いやだよー、瀬波から温海温泉へまっすぐ行っちゃうなんてもったいない」
 おばちゃんの生まれが新潟の村上とわかり、瀬波温泉に何度か行ったが村上の市内は知らないと言ったら、非難轟々といった感じで詰られた。瀬波温泉から車で五分くらいで行ける村上は古い風情のある町だそうで、「じゃあ、一度必ず訪ねてみます」となんとなくその場逃れの口約束をしてしまったのだ。



 店のなかに入っていろいろな鮭の商品をみたり、試食をしたりしていると、店の奥から客がぞろぞろ出てくる。どの顔にも満足げな軽い興奮があった。



 奥の広い土間に一歩入って驚いた。



「ニャニャ、ニヤ、ニヤァー! (凄ぇ~、こんだけあれば一生喰うには困らないにゃあ~)」
 鼻の穴を広げ、瞳孔は満丸、ゴロゴロ喉をならし尾っぽをピンと立てて猫なら言うに違いない。猫が少し入っているわたしも思い切り興奮してしまう。



 整然と吊り下げられた大量の鮭に、ただただ圧倒される。
 乾燥しつくしたもののなかのうち、ほぼ原型に近い鮭は「塩引き鮭」である。



 古くは瀬波川と言われた「三面川(みおもてがわ)」で獲れた鮭を、村上では身だけでなく頭、内臓、中骨、皮にいたるまですべて味わいつくすのである。



 なんと、その鮭の調理法は百種類を超えるという。

 土間の横の座敷に「おしゃぎり」の屋台のミニチュアが飾られていた。


 
 新潟三大祭りのひとつ「村上大祭」で、この屋台が市中を練り歩くそうだ。思わず眼をひかれたのは「おしゃぎり会館」の無料駐車場にちゃっかり車をとめてきたからだ。

 ところで棟割で隣が酒屋なのは、「㐂っ川」の逸品のひとつ「鮭の酒びたし」にきっと関係あるに違いない。



  ― 続く ―


   →「瀬波温泉」の記事はこちら
   →「旅の空」の記事はこちら
   →「温海温泉」の記事はこちら
   →「続・温海温泉(1)」の記事はこちら
   →「続・温海温泉(2)」の記事はこちら
   →「きらきらうえつ」の記事はこちら
   →「熱い湯と冷たい蕎麦」の記事はこちら

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