温泉クンの旅日記

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松江しんじ湖温泉(2)

2016-08-07 | 温泉エッセイ
  <鯛めしの老舗宿(2)>

 食後、樹齢三百年を超すという松を見に庭に出た。





 松江宍道湖畔にある、ここは「文人ゆかりの宿 皆美館」である。





 百二十年の歴史があり皇族方、芥川龍之介を始め数多の文人、政財界人、芸術家が訪れた宿である。島崎藤村などは居心地が良くて三泊の予定が五泊したそうだ。
 朝食で食べた<家伝鯛めし>だが、皆美館は東京の銀座と日本橋にも店をだしていてわざわざ松江に行かなくても食べることはできる。ただし、値段は二千五百円から三千円は覚悟しなければならないだろう。



 迎門をくぐり小庭園ふうの、巧みに配された植栽のなかの石畳を進むと玄関である。



 入ってすぐ左手には地元の彫刻家内藤伸の置物、魯山人の花器やエミール・ガレの花入、与謝野晶子の掛軸などがさりげなく飾られている。





 掛軸だが、与謝野鉄幹と晶子が訪れた際に読んだ歌だそうだ。

  松江びと 古きならひに したがひて
  よべる末次 本町のやど




 右手が、朝食後に珈琲が供されたラウンジ「古都里」で、宿泊した文人墨客の色紙などが陳列されている。



 何の因果か、旅の虜になって久しい。
 二十年はたっぷり経つだろう。きっと、母が北は樺太から南は九州まで旅芸人としてドサ廻っていたというので、その血のせいなのかもしれない。

 松江を訪れるのはたしか四度目だ。だから、皆美館ももちろん知っていたがここは富裕層が泊まるところでわたしには縁がないと決めつけていた。
 温泉旅館というよりは高級料亭といった趣が強い。

 ところが今回、平日の朝食付き宿泊(B&B)の宿賃ならば射程圏内に入っていることに気がついたのである。同じような岩室温泉の「泊まれる料亭 高島屋」も驚くほど満足度が高かったことだし、宍道湖温泉に泊まるのも三度目なので、ここは一番飛びついてみよう。そう思ったのである。



 ロビーも綺麗でゆったりしており、実に落ち着ける。


   ― 続く ―


    →「鯛めしの老舗宿(1)」の記事はこちら
    →「岩室温泉(1)」の記事はこちら
    →「岩室温泉(2)」の記事はこちら
    →「岩室温泉(3)」の記事はこちら
    →「岩室温泉(4)」の記事はこちら


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