<読んだ本 2011年10月>
先週、札幌に出張してきた。
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突然に決まったのである。
それは九月の下旬のこと。
非常に大きな雨台風15号が9月21日(水)、進路の各地に甚大な被害をもたらしながら首都圏に近づいていた。
会社は震災なみの帰宅困難者発生が予想されるため、午後一番で、遠距離から通勤しているスタッフを早めに帰すことを決めた。
横浜は西から向かってきている台風の通り道のため、わたしも急いで仕事を切り上げていると上役が微笑しながら近づいてきて、
「悪いが、近々一緒に北海道に出張してもらいたいのだが・・・」
ウソだろ。なんでこんなタイミングで言うかな、と腹が立った。しょうがない、いつもの言い訳をしよう。
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「わたしは飛行機がダメですので、地上から電車で行ってもいいですか」。いままでこれで切りぬけてきたのだ。
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「それで構わない」
げぇっ、即答かよ。そんな・・・まいったな。
「それに、札幌の支店でもいいし、函館のお得意様のほうでも、どちらでも好きな方でいいので一緒に行ってほしい」
函館は六月に行ったばかり。北海道あちこち行っているが札幌には、ジツは行ったことがない。ただしラーメン横丁とビール園はいったことがあった。
くそっ、早く電車が動いているうちに帰らなければと焦りまくる。
「札幌でいいなら」。あっ、言ってしまった。
「では、それで決まりだ。台風がきている。詳しい話はあとにして、さあさあ、気をつけて早く帰って!」
うまく嵌められた・・・いまでもそう思っている。
さて、読んだ本ですが、受けた出張の事前準備で忙殺されたために今月も5冊、累計で63冊。
1.○夏目影二郎始末旅6 下忍狩り 佐伯泰英 光文社
2.○ロードサイド・クロス ジェフリー・ディバー 文芸春秋
3. ○鬼平犯科帳9 池波正太郎 文春文庫
4. ○鬼平犯科帳8 池波正太郎 文春文庫
5. ○三十光年の星たち (上) 宮本輝 毎日新聞社
絶筆の最終巻から逆読みしている「鬼平」シリーズもいよいよひと桁にはいって、カウントダウンである。年内には読み切りたいものだ。
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「ロードサイド・クロス」は、期待していただけにちょっとがっかりであった。
五百ページ、二段組の厚い重い本である。
まれに最初から面白い本もあるが、たいていの海外小説は、真ん中を超えたあたりから俄然面白くなる。
ところが真ん中を過ぎても一向に面白くならず、読了するまでド偉い時間がかかってしまった。
女主人公の捜査官「キャサリン・ダンス」は、ジェフリー・ディーバーの傑作であるリンカーンシリーズの第七作「ウォッチメイカー」にチョイ役みたいな形で登場した。
彼女はキネシクスの専門家である。
キネシクスについて書かれた部分が興味深いので引用しておく。
『・・・事情聴取や取り調べにおけるキネシクス分析のプロセスは、“ベース
ライン”を見きわめることから始まる。ベースラインとは、分析対象が事実を
語っているときに示すボディランゲージの目録のようなものだ。両手をどの位置に
置くか、答えるとき視線をどちらに向けるか、その方角をどの程度の頻度で見る
か、唾を呑みこんだり咳払いをしたりといったことを繰り返すか、“えーと”と
いった間投詞を頻繁に使うか、爪先で床を叩いたりするか、背を丸めるか、身を
乗り出すようにするか、答える前にためらうか。
真実を語っているときのベースラインを把握できたら、今度は分析対象が答え
を偽る可能性を含んだ質問をし、それに対する答えに伴って、ベースラインから
逸脱するボディランゲージが表われないかを観察する。嘘をつくとき、多くの
人々はストレスや不安を感じ、そういった不安な感覚をベースラインから外れた
しぐさや言葉遣いによって軽減しようとする。ダンスのお気に入りの言葉は、
この科学に“キネシクス”という名が与えられる百年も前に、ある人物が残した
ものだった。“抑圧された感情は、ほぼ例外なく身体的動作として外に表われる
――チャールズ・ダーウィン”。』
→「読んだ本 2011年9月」の記事はこちら
先週、札幌に出張してきた。
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突然に決まったのである。
それは九月の下旬のこと。
非常に大きな雨台風15号が9月21日(水)、進路の各地に甚大な被害をもたらしながら首都圏に近づいていた。
会社は震災なみの帰宅困難者発生が予想されるため、午後一番で、遠距離から通勤しているスタッフを早めに帰すことを決めた。
横浜は西から向かってきている台風の通り道のため、わたしも急いで仕事を切り上げていると上役が微笑しながら近づいてきて、
「悪いが、近々一緒に北海道に出張してもらいたいのだが・・・」
ウソだろ。なんでこんなタイミングで言うかな、と腹が立った。しょうがない、いつもの言い訳をしよう。
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「わたしは飛行機がダメですので、地上から電車で行ってもいいですか」。いままでこれで切りぬけてきたのだ。
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「それで構わない」
げぇっ、即答かよ。そんな・・・まいったな。
「それに、札幌の支店でもいいし、函館のお得意様のほうでも、どちらでも好きな方でいいので一緒に行ってほしい」
函館は六月に行ったばかり。北海道あちこち行っているが札幌には、ジツは行ったことがない。ただしラーメン横丁とビール園はいったことがあった。
くそっ、早く電車が動いているうちに帰らなければと焦りまくる。
「札幌でいいなら」。あっ、言ってしまった。
「では、それで決まりだ。台風がきている。詳しい話はあとにして、さあさあ、気をつけて早く帰って!」
うまく嵌められた・・・いまでもそう思っている。
さて、読んだ本ですが、受けた出張の事前準備で忙殺されたために今月も5冊、累計で63冊。
1.○夏目影二郎始末旅6 下忍狩り 佐伯泰英 光文社
2.○ロードサイド・クロス ジェフリー・ディバー 文芸春秋
3. ○鬼平犯科帳9 池波正太郎 文春文庫
4. ○鬼平犯科帳8 池波正太郎 文春文庫
5. ○三十光年の星たち (上) 宮本輝 毎日新聞社
絶筆の最終巻から逆読みしている「鬼平」シリーズもいよいよひと桁にはいって、カウントダウンである。年内には読み切りたいものだ。
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「ロードサイド・クロス」は、期待していただけにちょっとがっかりであった。
五百ページ、二段組の厚い重い本である。
まれに最初から面白い本もあるが、たいていの海外小説は、真ん中を超えたあたりから俄然面白くなる。
ところが真ん中を過ぎても一向に面白くならず、読了するまでド偉い時間がかかってしまった。
女主人公の捜査官「キャサリン・ダンス」は、ジェフリー・ディーバーの傑作であるリンカーンシリーズの第七作「ウォッチメイカー」にチョイ役みたいな形で登場した。
彼女はキネシクスの専門家である。
キネシクスについて書かれた部分が興味深いので引用しておく。
『・・・事情聴取や取り調べにおけるキネシクス分析のプロセスは、“ベース
ライン”を見きわめることから始まる。ベースラインとは、分析対象が事実を
語っているときに示すボディランゲージの目録のようなものだ。両手をどの位置に
置くか、答えるとき視線をどちらに向けるか、その方角をどの程度の頻度で見る
か、唾を呑みこんだり咳払いをしたりといったことを繰り返すか、“えーと”と
いった間投詞を頻繁に使うか、爪先で床を叩いたりするか、背を丸めるか、身を
乗り出すようにするか、答える前にためらうか。
真実を語っているときのベースラインを把握できたら、今度は分析対象が答え
を偽る可能性を含んだ質問をし、それに対する答えに伴って、ベースラインから
逸脱するボディランゲージが表われないかを観察する。嘘をつくとき、多くの
人々はストレスや不安を感じ、そういった不安な感覚をベースラインから外れた
しぐさや言葉遣いによって軽減しようとする。ダンスのお気に入りの言葉は、
この科学に“キネシクス”という名が与えられる百年も前に、ある人物が残した
ものだった。“抑圧された感情は、ほぼ例外なく身体的動作として外に表われる
――チャールズ・ダーウィン”。』
→「読んだ本 2011年9月」の記事はこちら
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