<読んだ本 2019年12月>
エレベーターのドアが開いたら、いきなり青森に迷いこんだ。
新橋にある、青森の酒場にいきませんか。もちろん煙草はだいじょうぶで中休みなし。近々九州出張を予定しているので博多方面の話をいろいろ訊きたい。勘定は持ちますから、と酒場大好きなシュッシ―(酒肆)くんからメールでお誘いがあった。
店内は、いたるところ「ねぶた」の装飾だらけである。
窓際の席に坐って下をみると、通りの向かいに見覚えのあるうどん屋「おにやんま」をみつけた。ほぉー、そういう位置関係なのか。たしか五反田の店に比べて味はたいしたことなかったと記憶している。
ランチタイムを過ぎた土曜午後の店内はガラガラだった。十和田バラ焼定食が人気メニューだそうだ。
会計が彼もちなので、遠慮して安いサワ―系でスタートする。
つまみも、わたしは低料金の嶽温泉ちかくのとうもろこし「嶽きみ」の天ぷらと「ばっきゃ味噌」、シュッシ―くんは値段のお高めの「松川カレイ」をチョイス。
松川カレイの刺身が届くと、料金もみずに青森の地酒「じょっぱり」に切りかえた。 松川カレイは“王鰈(鰈の王様)”ともいわれ、カレイというよりは歯触り旨味もヒラメに近い高級魚である。
博多、二日市温泉、別府温泉、山口の湯田温泉、と話がどんどん佳境に入ってきた。この店、客が少なすぎることでもあり、もう一軒、こんどはわたし持ちでいくことに。そして厚岸以来の、三陸産生牡蠣などで盛りあがってしまった。
でも、牡蠣はさすがに狂ってしまうほどの厚岸のほうが・・・。
さて12月に読んだ本ですが、年末らしく馬力を入れての8冊、年間累計合計は71冊でした。
1. ○ミッドナイト ライン 上 リー・チャイルド 講談社文庫
2. ○ミッドナイト ライン 下 リー・チャイルド 講談社文庫
3. ○風立ちぬ 上 風の市兵衛6 辻堂魁 祥伝社文庫
4. ○風立ちぬ 上 風の市兵衛6 辻堂魁 祥伝社文庫
5. ○くらまし屋稼業 今村翔吾 角川春樹事務所
6. ○グルメぎらい 柏井壽 光文社新書
7. ○私(わたし)が殺した少女 原尞 ハヤカワ文庫
8. ○それまでの明日 原尞 早川書房
SNSがもたらした“一億総グルメ”化は年々勢いを増すばかりである。
“食べさせてやる”みたいに偉そうに腕を組みふんぞり返る料理人、インスタ映えの写真さえ撮れればと、食べ残してしまうグルメ客たち・・・。どちらも回し蹴りものだ。
「思い出の食、捜します」の一行広告を頼りに辿り着く、看板も暖簾もない「鴨川食堂」。そんな食にまつわる短編小説集を書いている食通の著者柏井壽が、なんと「グルメぎらい」という本なんて書いているとは・・・。
興味が湧いてさっそく読んでみた。
料理人の経験の浅さは料理の盛付けに表れるという。
『(略)江戸期の伊万里焼のお皿を使ったのはいいのですが、夏の盛りの焼鱧を盛った
お皿には雪輪紋様が描かれています。季節外れもいいところです。
日本料理店において、何よりたいせつにしなければいけないのは季節感です。庭もなく
床の間も持たない割烹においては、お皿の上だけで季節を表さなければならないのです。
その意味でも器は極めて大事な要素です。どんなにいい料理だったとしても、
季節外れの器を使ったのではすべて台無しです。(略)』
『美味しいものを食べるだけがグルメではありません。美味しく食べることこそが、
本当のグルメだと思います。そんなグルメなら、きらいどころか大好きです。
昔からあるような街の小さな食堂で、一杯の簡素な鍋焼きうどんを食べて、心底美味しい
と思える気持ちを、これからもずっと失わずにいたいと思っています。』
「(見ただけで)美味しいに決まってる」とか「(素材がいいから)マズイわけがない」などと、食べる前から断定的に言う美食家はまったくもって信用ならない。
一杯の簡素な鍋焼きうどん・・・か。旨そう。わたしもブログのなかで「食」を書くときには“心底美味しいと思える気持ちを失わないよう”に気をつけよう。
→「読んだ本 2019年11月」の記事はこちら
→「読んだ本 2016年5月」の記事はこちら
→「厚岸で牡蠣狂ひ(1)」の記事はこちら
→「厚岸で牡蠣狂ひ(2)」の記事はこちら
エレベーターのドアが開いたら、いきなり青森に迷いこんだ。
新橋にある、青森の酒場にいきませんか。もちろん煙草はだいじょうぶで中休みなし。近々九州出張を予定しているので博多方面の話をいろいろ訊きたい。勘定は持ちますから、と酒場大好きなシュッシ―(酒肆)くんからメールでお誘いがあった。
店内は、いたるところ「ねぶた」の装飾だらけである。
窓際の席に坐って下をみると、通りの向かいに見覚えのあるうどん屋「おにやんま」をみつけた。ほぉー、そういう位置関係なのか。たしか五反田の店に比べて味はたいしたことなかったと記憶している。
ランチタイムを過ぎた土曜午後の店内はガラガラだった。十和田バラ焼定食が人気メニューだそうだ。
会計が彼もちなので、遠慮して安いサワ―系でスタートする。
つまみも、わたしは低料金の嶽温泉ちかくのとうもろこし「嶽きみ」の天ぷらと「ばっきゃ味噌」、シュッシ―くんは値段のお高めの「松川カレイ」をチョイス。
松川カレイの刺身が届くと、料金もみずに青森の地酒「じょっぱり」に切りかえた。 松川カレイは“王鰈(鰈の王様)”ともいわれ、カレイというよりは歯触り旨味もヒラメに近い高級魚である。
博多、二日市温泉、別府温泉、山口の湯田温泉、と話がどんどん佳境に入ってきた。この店、客が少なすぎることでもあり、もう一軒、こんどはわたし持ちでいくことに。そして厚岸以来の、三陸産生牡蠣などで盛りあがってしまった。
でも、牡蠣はさすがに狂ってしまうほどの厚岸のほうが・・・。
さて12月に読んだ本ですが、年末らしく馬力を入れての8冊、年間累計合計は71冊でした。
1. ○ミッドナイト ライン 上 リー・チャイルド 講談社文庫
2. ○ミッドナイト ライン 下 リー・チャイルド 講談社文庫
3. ○風立ちぬ 上 風の市兵衛6 辻堂魁 祥伝社文庫
4. ○風立ちぬ 上 風の市兵衛6 辻堂魁 祥伝社文庫
5. ○くらまし屋稼業 今村翔吾 角川春樹事務所
6. ○グルメぎらい 柏井壽 光文社新書
7. ○私(わたし)が殺した少女 原尞 ハヤカワ文庫
8. ○それまでの明日 原尞 早川書房
SNSがもたらした“一億総グルメ”化は年々勢いを増すばかりである。
“食べさせてやる”みたいに偉そうに腕を組みふんぞり返る料理人、インスタ映えの写真さえ撮れればと、食べ残してしまうグルメ客たち・・・。どちらも回し蹴りものだ。
「思い出の食、捜します」の一行広告を頼りに辿り着く、看板も暖簾もない「鴨川食堂」。そんな食にまつわる短編小説集を書いている食通の著者柏井壽が、なんと「グルメぎらい」という本なんて書いているとは・・・。
興味が湧いてさっそく読んでみた。
料理人の経験の浅さは料理の盛付けに表れるという。
『(略)江戸期の伊万里焼のお皿を使ったのはいいのですが、夏の盛りの焼鱧を盛った
お皿には雪輪紋様が描かれています。季節外れもいいところです。
日本料理店において、何よりたいせつにしなければいけないのは季節感です。庭もなく
床の間も持たない割烹においては、お皿の上だけで季節を表さなければならないのです。
その意味でも器は極めて大事な要素です。どんなにいい料理だったとしても、
季節外れの器を使ったのではすべて台無しです。(略)』
『美味しいものを食べるだけがグルメではありません。美味しく食べることこそが、
本当のグルメだと思います。そんなグルメなら、きらいどころか大好きです。
昔からあるような街の小さな食堂で、一杯の簡素な鍋焼きうどんを食べて、心底美味しい
と思える気持ちを、これからもずっと失わずにいたいと思っています。』
「(見ただけで)美味しいに決まってる」とか「(素材がいいから)マズイわけがない」などと、食べる前から断定的に言う美食家はまったくもって信用ならない。
一杯の簡素な鍋焼きうどん・・・か。旨そう。わたしもブログのなかで「食」を書くときには“心底美味しいと思える気持ちを失わないよう”に気をつけよう。
→「読んだ本 2019年11月」の記事はこちら
→「読んだ本 2016年5月」の記事はこちら
→「厚岸で牡蠣狂ひ(1)」の記事はこちら
→「厚岸で牡蠣狂ひ(2)」の記事はこちら
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