<大船渡温泉(3) 岩手・三陸>
人はみかけによらない、という。
意外だろうがわたしは、“質より量”ではなく、“量より質”なのだ。たとえば温泉も、「量」をたっぷりこなした後に「質」に辿りついたのだ。
ジツを言うと、今日は悩みがあった。
宿の夕食がどうも“質より量”、「ボリューム優先」のようなのだ。三日間じっくり煮込んだカジキマグロの兜煮が提供されるというのだが、マグロの兜というと、想像するに、フィリッピン料理の「レチョン(豚の丸焼き)」の子豚ぐらいあるのではないだろうか。やだやだ勘弁。
鯛の兜なら高級な酒場とかで、何度か煮たり焼いたりした料理を経験している。旅で数多く宿泊しているが宿の夕食でドーンとマグロの兜は、とにかく初めてなのである。
いつもの習慣で夕食会場に一番乗りしてしまった。
客待ち待機状態で突っ立っている仲居たちの、「部屋でスパスパ喫煙していた無法者はアイツか!」 みたいな視線がグサグサ刺さるのを感じて、なんとなーくだがばつが悪い。
「漁師のオーナーが厳選した、岩手三陸の海の幸。海辺の宿だからこそ“鮮度・歯ごたえ・旨み”三拍子揃った最高の食材をこだわりのお料理で・・・」という夕食には、料金設定により「さざなみ」、「しゃぶしゃぶ」、「海賊」、「漁火」、「欲張り」、「竜宮」と6コースあるようだが、すべてのコースに『カジキマグロ』が大皿でご提供される。
わたしの本日の御献立は「三陸の美味、真心込めて、丁寧に仕上げました」という<さざなみコース>である。
(まいった! ずいぶん皿数が並んでいるなあ・・・)
手前の前菜は三陸の珍味、メカブ、三陸ホヤ、わかめ煎餅、マンボウ酢味噌、心太である。香の物は、胡瓜の山葵漬だ。
とりあえず、焼酎の水割りを注文した。
造りは、本日の厳選鮮魚から鮑、めじ(本鮪)、鯛、平目で、切り身はどれもぶ厚くてちょうどよい大きさとは言い難かった。ホヤは何度か挑戦したことがあるが苦手で、この日もしつこく勧められたが丸残し決定。
気がつけば食事会場に客がかなり入って賑やかになってきた。よし。水割りを飲みきると、今夜は早寝と決めて、危険な「冷酒」に切りかえることにした。
台の物は「鮑の踊り焼き」で、これは本日一番の楽しみだ。西伊豆の土肥温泉で食べたのに比べるとすこし落ちるがなかなかの美味である。冷酒がすすむ。
煮物は、宿名物の“カジキマグロの兜煮”で、キッチンワゴンみたいな台車でわたしの卓にも運ばれてくる。
ただ、卓の端で「適量」を取り分けてくれるとのことで、ホッとした。幸い、どでかい目玉も入っていない。煮込まれた兜の身はほろほろとして食べやすいが、酒の肴というよりご飯のおかずといった濃い味付けだ。
そして焼物は「ソイの一夜干し」、続く揚物は揚げたての天麩羅で、海老・茄子・南瓜・ピーマンである。
これに岩手県産ひとめぼれの白飯と、留椀はチダイの清汁、デザートの果物は、西瓜とキウイだった。
炊き方がよっぽど下手なのか肝心のご飯がチョー不味かったので、かなりな量を残して食事会場を引き揚げることにした。ご飯に合う自慢の名物兜煮も、もちろんたっぷり残しだ。
あとで宿の口コミをチェックしてみると、夕食の量の多さでかなりの客が真に不本意ながら食べきれなかったと記していた。この宿だが、小食用のコースも早急に検討したほうが良さそうだなと老婆心ながら思う。
さあて、玄関脇でゆっくり一服して、ひと風呂浴びてさっさと早寝するか。
― 続く ―
→「大船渡温泉(1) 岩手・三陸」の記事はこちら
→「大船渡温泉(2) 岩手・三陸」の記事はこちら
人はみかけによらない、という。
意外だろうがわたしは、“質より量”ではなく、“量より質”なのだ。たとえば温泉も、「量」をたっぷりこなした後に「質」に辿りついたのだ。
ジツを言うと、今日は悩みがあった。
宿の夕食がどうも“質より量”、「ボリューム優先」のようなのだ。三日間じっくり煮込んだカジキマグロの兜煮が提供されるというのだが、マグロの兜というと、想像するに、フィリッピン料理の「レチョン(豚の丸焼き)」の子豚ぐらいあるのではないだろうか。やだやだ勘弁。
鯛の兜なら高級な酒場とかで、何度か煮たり焼いたりした料理を経験している。旅で数多く宿泊しているが宿の夕食でドーンとマグロの兜は、とにかく初めてなのである。
いつもの習慣で夕食会場に一番乗りしてしまった。
客待ち待機状態で突っ立っている仲居たちの、「部屋でスパスパ喫煙していた無法者はアイツか!」 みたいな視線がグサグサ刺さるのを感じて、なんとなーくだがばつが悪い。
「漁師のオーナーが厳選した、岩手三陸の海の幸。海辺の宿だからこそ“鮮度・歯ごたえ・旨み”三拍子揃った最高の食材をこだわりのお料理で・・・」という夕食には、料金設定により「さざなみ」、「しゃぶしゃぶ」、「海賊」、「漁火」、「欲張り」、「竜宮」と6コースあるようだが、すべてのコースに『カジキマグロ』が大皿でご提供される。
わたしの本日の御献立は「三陸の美味、真心込めて、丁寧に仕上げました」という<さざなみコース>である。
(まいった! ずいぶん皿数が並んでいるなあ・・・)
手前の前菜は三陸の珍味、メカブ、三陸ホヤ、わかめ煎餅、マンボウ酢味噌、心太である。香の物は、胡瓜の山葵漬だ。
とりあえず、焼酎の水割りを注文した。
造りは、本日の厳選鮮魚から鮑、めじ(本鮪)、鯛、平目で、切り身はどれもぶ厚くてちょうどよい大きさとは言い難かった。ホヤは何度か挑戦したことがあるが苦手で、この日もしつこく勧められたが丸残し決定。
気がつけば食事会場に客がかなり入って賑やかになってきた。よし。水割りを飲みきると、今夜は早寝と決めて、危険な「冷酒」に切りかえることにした。
台の物は「鮑の踊り焼き」で、これは本日一番の楽しみだ。西伊豆の土肥温泉で食べたのに比べるとすこし落ちるがなかなかの美味である。冷酒がすすむ。
煮物は、宿名物の“カジキマグロの兜煮”で、キッチンワゴンみたいな台車でわたしの卓にも運ばれてくる。
ただ、卓の端で「適量」を取り分けてくれるとのことで、ホッとした。幸い、どでかい目玉も入っていない。煮込まれた兜の身はほろほろとして食べやすいが、酒の肴というよりご飯のおかずといった濃い味付けだ。
そして焼物は「ソイの一夜干し」、続く揚物は揚げたての天麩羅で、海老・茄子・南瓜・ピーマンである。
これに岩手県産ひとめぼれの白飯と、留椀はチダイの清汁、デザートの果物は、西瓜とキウイだった。
炊き方がよっぽど下手なのか肝心のご飯がチョー不味かったので、かなりな量を残して食事会場を引き揚げることにした。ご飯に合う自慢の名物兜煮も、もちろんたっぷり残しだ。
あとで宿の口コミをチェックしてみると、夕食の量の多さでかなりの客が真に不本意ながら食べきれなかったと記していた。この宿だが、小食用のコースも早急に検討したほうが良さそうだなと老婆心ながら思う。
さあて、玄関脇でゆっくり一服して、ひと風呂浴びてさっさと早寝するか。
― 続く ―
→「大船渡温泉(1) 岩手・三陸」の記事はこちら
→「大船渡温泉(2) 岩手・三陸」の記事はこちら
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