海、すねる

　　＜海、すねる＞

「おーっとぉ、ずいぶんリラックスしてるじゃないの、海ちゃん」



＜・・・・・・＞

　また、余計なこといったかな。
「あれ、眼つきがなんとなぁーくきついけど・・・なんか怒ってる？」



＜アタシの眼つきのきついのは生まれつき！　あのさぁ、なんで犬がブログに
でてくるわけ？＞
「えっ、ブログみたのかよ」
　いつのまにチェックしたんだろう。ふぅむ、油断できねぇし・・・焼餅か・・・
よ。



＜東北っていうから・・・岩手の久慈の可愛い海女さんとかさ、旅先でみかけた
可愛いネコとかなら許せるけど、なんで鯵ヶ沢の犬なの。しかも不細工で可愛く
ないじゃない＞
　なんか、やけにネットに詳しいネコだなぁ。



「い、いや・・・読んだのならわかると思うけど、偶然に通りかかっただけで。
不細工だけど・・・」
＜しかも、わさおっていかさない名前ねぇ＞
「まあ、それは本人が付けた名前じゃあないしなあ」

＜犬はやめて、って前にいったでしょ。種族が違うんだから＞
「え、そんなの聞いていたっけ、か」
＜（ギロリ！）聞いてなかった！＞



　ひっ、恐ぇ・・・。なんなのその迫力！　背中がぞくっ、とするぜ。
「あ、いや、そういえば聞いていた・・・ような。いないような」

＜なら、いいけど。ネコ族にはとっても大事なとこだから、アタシの目の黒いうち
はとにかくよろしくね＞
　目、黒くないし。

＜なんか、言った？＞
「いえ、とくになにも」
　ふぅ、地獄耳かよ、こいつは。
「ま、ままま機嫌なおしてさ。ほら、抱いてあげるから」



＜あっ、ちょっと待って。抱かれるの嫌いなんだからアタシは。きゃ＞
「海のブログもそろそろ出そうかなって思っていたんだし。すぐに出すからさ」
＜調子いいわね、あいかわらず＞
　そんでも、ちょっとは機嫌を直した海でした。

　難しいオンナネコで、疲れるわい。


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