<南紀勝浦温泉、忘帰洞の宿(2)>
目玉の忘帰洞をクリアしたので、次なるミッションは「玄武洞(げんぶどう)」だ。
玄武洞はなにかしら神殿ぽい雰囲気である。
そして一種、「荘厳さ」とか「神秘的さ」もじわりと感じさせる素晴らしい洞窟温泉である。
ファースト・ミッションの“忘帰洞”を満喫すると本館入口前の喫煙所で一服し、館内のローソンで酒などを調達し、げんなりするほど長い廊下を通って「日昇館」のフロントでチェックイン、部屋に入ると戦闘着である浴衣に早着替えして、同じ建物の一階から階段を降り辿りついたのだった。
(あちらは目玉というより超目玉で、こちらが目玉級の温泉じゃないか・・・)
浴槽の温泉をじゃぶじゃぶ掻き分けて歩み海に面した露天風呂にいってみたが、先客の一団がいたので、これ幸いと中の温泉を独り占めで楽しんだ。
大満足して出ると、玄武洞の入口に設置したスタンプ台あたりで中年のカップルが揉めている。二人とも防寒の上着を手に持っていた。浴衣姿じゃないので日帰り客か、系列館の宿泊客もしれない。訳ありの。
ホテル浦島では「湯巡り記念スタンプラリー」というのを行っていて、館内案内図の裏面の台紙に、各温泉に設置してあるスタンプを3つ以上集めると粗品をもらえる。
「えー、もう温泉はたっぷり入ったからいいよ」
「じゃあ、あたし独りでも行ってきますから」
温泉で化粧はすっかり落ちているが、肌はつやつや輝いて、すっぴんでもなかなかの美形でしかもすこぶる温泉好きのようだ。
「スタンプだけ押しておけばいいじゃんか。ゴソゴソ脱いで入ってまたゴソゴソ着てと、なんか面倒だよ」
そんな面倒くささは一気に忘れてしまうこと請け合いの温泉だから、気持ちよく行かせてあげればいい。
「入らないで帰って、あとで後悔したくないの。あなたは上のロビーで待っててくれればいいわ」
残された男がモジモジとためらっている。
彼女が言った通り、後悔するからアンタも行ったほうがいいと思うぜ。なんなら、靴下だけ脱いで浴場に入ればいいじゃんか、と強い念をおくった。
すれ違ってしばらく歩き振り向くと、意を決して玄武洞へ向かうようだ。やれやれだが、よしよしである。
さて次は「磯の湯」だ。
大洞窟温泉アーンド洞窟温泉のあとのせいか、なんとなくジミィー(地味)に感じられてしまう雰囲気である。
と、思ったら奥の湯のほうで突然激しい音が響いてきた。湯口から湯が噴き出す音だ。なんと間欠泉じゃないか。
意外と、間欠泉そのものを使った浴槽は珍しい。
思いだせば、長野と新潟の国境にある秘境「秋山郷」の「小赤沢温泉」で、初めて間欠泉の浴槽に入ったことがある。
鉄分を含む赤い湯で、湯口に付けられた袋状の布を用い成分を一部濾しているのだが、間欠泉が噴きだすと、その袋が大蛇のように暴れまわって驚かされた。触ると火傷しそうだが、温度は案外にぬるく長湯できたのだった。
ここの間欠泉は、かなり熱く、かなり効きそうだ。
参ったけど嬉しい。
しかしここでは“間欠泉”くらいじゃ目玉にならぬのかいな。
こうなると「ワンツーパンチ喰らった後にボディブロー」みたいな“温泉ラインナップ”じゃないか!
― 続く ―
→「南紀勝浦温泉、忘帰洞の宿(1)」の記事はこちら
目玉の忘帰洞をクリアしたので、次なるミッションは「玄武洞(げんぶどう)」だ。
玄武洞はなにかしら神殿ぽい雰囲気である。
そして一種、「荘厳さ」とか「神秘的さ」もじわりと感じさせる素晴らしい洞窟温泉である。
ファースト・ミッションの“忘帰洞”を満喫すると本館入口前の喫煙所で一服し、館内のローソンで酒などを調達し、げんなりするほど長い廊下を通って「日昇館」のフロントでチェックイン、部屋に入ると戦闘着である浴衣に早着替えして、同じ建物の一階から階段を降り辿りついたのだった。
(あちらは目玉というより超目玉で、こちらが目玉級の温泉じゃないか・・・)
浴槽の温泉をじゃぶじゃぶ掻き分けて歩み海に面した露天風呂にいってみたが、先客の一団がいたので、これ幸いと中の温泉を独り占めで楽しんだ。
大満足して出ると、玄武洞の入口に設置したスタンプ台あたりで中年のカップルが揉めている。二人とも防寒の上着を手に持っていた。浴衣姿じゃないので日帰り客か、系列館の宿泊客もしれない。訳ありの。
ホテル浦島では「湯巡り記念スタンプラリー」というのを行っていて、館内案内図の裏面の台紙に、各温泉に設置してあるスタンプを3つ以上集めると粗品をもらえる。
「えー、もう温泉はたっぷり入ったからいいよ」
「じゃあ、あたし独りでも行ってきますから」
温泉で化粧はすっかり落ちているが、肌はつやつや輝いて、すっぴんでもなかなかの美形でしかもすこぶる温泉好きのようだ。
「スタンプだけ押しておけばいいじゃんか。ゴソゴソ脱いで入ってまたゴソゴソ着てと、なんか面倒だよ」
そんな面倒くささは一気に忘れてしまうこと請け合いの温泉だから、気持ちよく行かせてあげればいい。
「入らないで帰って、あとで後悔したくないの。あなたは上のロビーで待っててくれればいいわ」
残された男がモジモジとためらっている。
彼女が言った通り、後悔するからアンタも行ったほうがいいと思うぜ。なんなら、靴下だけ脱いで浴場に入ればいいじゃんか、と強い念をおくった。
すれ違ってしばらく歩き振り向くと、意を決して玄武洞へ向かうようだ。やれやれだが、よしよしである。
さて次は「磯の湯」だ。
大洞窟温泉アーンド洞窟温泉のあとのせいか、なんとなくジミィー(地味)に感じられてしまう雰囲気である。
と、思ったら奥の湯のほうで突然激しい音が響いてきた。湯口から湯が噴き出す音だ。なんと間欠泉じゃないか。
意外と、間欠泉そのものを使った浴槽は珍しい。
思いだせば、長野と新潟の国境にある秘境「秋山郷」の「小赤沢温泉」で、初めて間欠泉の浴槽に入ったことがある。
鉄分を含む赤い湯で、湯口に付けられた袋状の布を用い成分を一部濾しているのだが、間欠泉が噴きだすと、その袋が大蛇のように暴れまわって驚かされた。触ると火傷しそうだが、温度は案外にぬるく長湯できたのだった。
ここの間欠泉は、かなり熱く、かなり効きそうだ。
参ったけど嬉しい。
しかしここでは“間欠泉”くらいじゃ目玉にならぬのかいな。
こうなると「ワンツーパンチ喰らった後にボディブロー」みたいな“温泉ラインナップ”じゃないか!
― 続く ―
→「南紀勝浦温泉、忘帰洞の宿(1)」の記事はこちら
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