大きなかぶ農園だより

北海道マオイの丘にある大きなかぶ農園からのお便り・・
※写真はsatosi  

たけさん

2010-12-09 | 日記
ビニールハウスの中で青い実をいっぱい付けて頑張っていた2本のトマトがシバレて逝った。
外では山ごぼうが千手観音のように身体中の手を広げて、近寄る存在に種を託す。
植物たちは緑色の体から栄養の全てを種に注いで、スッカラカンになって一生を終える。
草でも、野菜でも、一生の姿を見届けると、共に生きた実感がつのり感慨深い。

「おくさ~ん、壊れた農機具とか無いか~い」と回収屋のたけさんがトラックで来た。
家の中や外に放ってあった雑品など、気になっていたのが片付いて少し気が済む。
寒い日だったのでストーブを囲んでお茶のみながら、たけさんの身の上話を聞く。
『20年前、おっかあが子ども4人残して卵巣癌で逝っちまってよ。。。
別海や釧路で魚仕入れて十勝や富良野まで売りに行って子ども育てた。。逃げるわけにいかんべ、、、
孫4人さ、上は高校だ。おれ”じいちゃん”って絶対呼ばせないの。やだもん。
こういう商売してると、いろいろな家に行って、いろいろな生き方の人に会えて、、それが面白れーんだ
中古のオーデイオの店もつのが夢だな。年金もらってのんびりしてたくねえさ』
 その日は たけさんの子育てを想像するたび何をしてても体の中から涙があふれ出た。一日中泣いた。
一人で子育てしているひとは世の中にいくらでもいるだろうし、子を育てるって誰でもやっていることだが
その一場面一場面は こどもが熱出すだけでも喜びと不安と希望と絶望と いつだって背中合わせだ。
繰り返される日常の暮らしを通し 親は親に育ち、子は子の分を知り、ひとの仕合わせの原点を体得してゆく。。。
自分も二人の子どもを授かり、ほんの些細なことが「仕合わせってこれかー」 と実感することで生きて来れた。
この先も、生きてる限り 喜びと不安、希望と絶望を共有し合い 親子の縁をあじわい尽くすのだ、きっと・・・・
たけさん63歳。前歯が欠けてて、咳が出てるのにタバコ何本も吸って、毎日の仕事なのに積み方の要領悪くて、
「おれこういうの苦手なんだ」なんて言って、私に積ませて。でも許す。4人の子ども育て上げたたけさんだから全部許す。
たけさん、人生これから!お隣の平山さん63で13年下のみえさんと暮し始めたんだよ~~~とエールを送った。
翌日 赤いチェックのシャツとジーンズで決めたたけさんが野菜を買いに来た。GOGO たけさん!!

函館からは電気機関車に交代で

札幌駅に入る北斗星



列車の窓から札幌の街を

列車の中でも・・・・


最新の画像もっと見る

コメントを投稿