大きなかぶ農園だより

北海道マオイの丘にある大きなかぶ農園からのお便り・・
※写真はsatosi  

ダンシャク

2014-08-12 | 日記
稲の白い花が一斉に咲いたと思ったら、もう実を付けた穂となり天に向かって両手を広げて陽をあびている。
毎年早い農家からは1-2週間の遅れをとる大かぶの稲が、今年は人並みに胸を張っているように見える。
   
2週間前、函館の断食セミナーを終えて家に戻った日、目の前で「たち」と「かぶ」が突然猛喧嘩をはじめた。
「もう降参」をしている たちに かぶはいつまでも攻撃を止めず、みかねた夫がカブをおもいきり制した。
しかし、全く聴き目無し。いったいどうした? 順位争いを賭けたにしてはカブは卑怯だ。
 ダンは急にヨボヨボになって二匹を見守っている。 ターマは我関せず。
これでもかと夫に叱られたカブが、ようやくタチから離れたが、怯えて腰が抜けたようになって牧草地にへたり込んでいるタチ。
 雨がザンザン振りになり夫は小屋替わりに傘を差掛けタチを励ましている。
「タチ、もうこの敷地に入って来れないかもな・・」夫が神妙につぶやく。
本当に、タチとカブの関係はもう修復できないかもしれない。。。。翌日タチの姿は牧草地から消えていた。
歩けるようになったんだな、と安心し、家の周りを探すと 裏の薪小屋でダンと一緒に過ごしていた。
「タチーー!!ここにいたんだー! ダン、ありがとね!!!!」 ダンは私の姿を確認すると さっさか玄関前に向かった。
タチを私に任せて、私の声を聴きつけたカブがここに来ないように見張りに行ったんだと直感した。
ダン昨日はあんなにヨボヨボしていたのに、、、元気になったんだ。。。。暑さに負けたかな、、、一番の長老、15歳。
 しかし、その夜突然ハウスの中で転げまわるダンを目撃して心配したヨネちゃんから連絡受けて出先から戻ると、
夫の姿を確認したダンは夫に撫でられながらおとなしくなった。ひんやりした土間の土の上で眠りはじめた。 
ここ数日の様子から、いよいよダンは逝くのかな、、との思いがよぎる。
夫が倉庫の土間に段ボールを敷きダンに添い寝をして夜通し見守っていたが、朝方母屋に私を呼びに来た。
ダンの肛門にウジがいっぱいいるというので、ビワの葉エキスをもっていく。
よくよく視たら、腰から下の全体にウジがいっぱい。老衰でヨボヨボしてたんじゃなく怪我していたんだ。
私たちが留守の時、タチとカブの仲裁に入って自分も傷を負ったのだ、と推測する。出血してないから気付かなかった。
ウジは悪い所を食べてくれているのだが、あまりにも多くてダンの負担が大なんだと感じ、ヨモギを煮出した汁で洗う。
呼吸が落ち着いたので、これでもしかしたら復活するかな?と 配達の準備に取り掛かった。
そのすぐあとに様子を見に行ったとき最後の力を出して、私たちに何か言おうとして目を閉じた。
いま、ここに居たダンがもうここに居なくなった。 「ダン、ダン!」と天井に向かって呼んだ。
 ちょうど船橋から遊びに来ていた息子の友達のどくさんが、ダンの居場所だった母屋の後ろの大きなオンコの木の下に
りっぱな四角の穴を掘ってくれた。 ダンを夫の匂いのついたタオルケットに包んで寝かせ、
周辺を埋め尽くすように生えているアップルミントと一緒に埋め、たまたま居合わせた縁ある人たちにダンは見送られた。
メークインの時は号泣したのに、ダンシャクには不思議と涙が出なかった。
一番の年長者として10数年間いつも他の犬たちのまとめ役。シャイで人前にはなかなか姿を見せないが、どの犬にも信頼されていた。

穏やかで、謙虚で、勇敢で、最後までボスとして生き抜いたダンシャクに勇気を手渡された。
もっと、全力で生きたほうがおもしろいぞ♪と背中を押してくれている。

「もうおばあさんだから・・・」を都合のいいように使っては ちゃらんぽらんに生きている自分を恥じた。




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