「マクロビオティック」といえば、「ああ、食事療法の一つだね」と理解されている方が多いのではないでしょうか。
たしかに、それは間違いではありません。マクロビオティック食はアメリカを中心に全世界で、健康向上、
難病(全部または一部を)克服、さらにはダイエットなどを目的として、じつに多くの人たちが自分たちの
食生活に採り入れ、あとに示すように多大な成果を上げています。
また、マクロビオティックの考え方に賛同する人たちが、世界のさまざまな場所でマクロビオティック食の
普及に取り組んでいることも事実です。
ただし、マクロビオティックは、単に身体を健康にすることだけが目的ではありません。
身体と同時に、心までも健康にすること。心の健康を通じて、人間本来の穏やかさ、優しさを取り戻すことが、マクロビオティック
が目指しているものなのです。
そもそもマクロビオティックという言葉は、ソクラテス以前から使われていたギリシャ語の「マクロバイオス」に由来します。
ヒポクラテスはこれを「自然の秩序と調和のとれた生活をすることによって、健康と平和は心が保たれること」との意味合いで
つかっていましたが、一般には「マクロバイオス」とは「大いなる生命」という意味です。
「大いなる生命」を自らの内に体現するには、後述する「宇宙の秩序」を感得し、それに同期(シンクロナイズ)すること、
そして自然と調和した生活を送ることが必須要件となります。マクロビオティック食は、それを実現するための欠くべから
ざる方法・手段にほかなりません。
世界中の人たちに向けて、この「大いなる生命」の発言を促し、できるかげり多くの人々が心身ともに健康になることを
通じて、人間に固有の精神性やスピリチュアリティをさらに高め、あまねく世界に恒久的な平和を実現すること。これこそが
マクロビオティックの究極的な目標なのです。
とはいえ、最初からこのように大上段に構えてしまうと、捉えるべき焦点が拡散しかねません。それに、マクロビオティック
が「食」と密接にかかわっていることは、間違いのない事実です。また現在では、マクロビオティックという言葉は、「自然食
によって健康と長寿が保たれる」というふうに解釈され、医学用語で「長寿学」または「長寿食(心身とも健全な生活法)」
と訳されています。
久司道夫著 「マクロビオティックをやさしくはじめる」から 抜粋
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