・・・朝日新聞の夏目漱石没後100年を記念した、彼の復刻新聞連載小説が、今は4作目の「吾輩は猫である」が掲載されていて、私は毎日、それを楽しんで読んでいる。
年をとってからは小説の類は時間がもったいないように思い、ほとんど読まないでいたが、新聞連載小説だけは毎日読んでいる。
漱石の小説は、今時の小説とは違い、深い知識にもとずいた文章が多くて、勉強になり、面白い。
その一例を紹介すると、
小説の主人公の猫の飼い主、教師の苦沙弥(モデルは漱石)が妻をののしる言葉が「貴様はオタンチン・パレオロガスだ」と云うとあり、実際、漱石は実生活で妻の鏡子さんに「お前はオタンチン・パレオロガスだよ」と云ったらしい。
「オタンチン」は昔からよく言う、言い方なので、判るような気がするが、後の言葉パレオロガスは私もよく分からなかったのですが、小説の(注)を読んで、理解できた。
「パレオロガス」は東ローマ帝国の最後の皇帝の名前が「コンスタンチン・パレオロガス」なので、東ローマ帝国を滅ぼしたノロマな最後の皇帝の名前にかけて、「ノロマな人」を夏目漱石はオタンチン・パレオロガスと小説に書いたらしい。