小樽のパパの子育て日記

日々のできごとを徒然なるままに2006年から書いて19年目になりました。
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トラック業界の苦悩

2014-08-14 05:51:23 | インポート
国交省の行政処分基準の新ルール適用により、中小零細トラック業者への影響は甚大のようです。先日の日経記事を興味深く読みました。

以下、自分用メモとして。

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①2012年4月の関越道での高速ツアーバスの事故を重く見た国交省は、自動車運送事業者全般に対する監査方針・行政処分の基準を改正し今年1月からその適用を始めたところ、北海道と九州の中小零細トラック業者を中心に大混乱が湧き起こった。理由は新ルールの違反で処分されると即廃業になるから。

②トラックのドライバーの労働時間は労働基準法に基づく「厚労大臣告示」により基本13時間、例外的な場合でも16時間が限度と定められている。15時間を超える回数は1週間に2回以内。さらに睡眠を含む1日の休息は連続で8時間以上とらなければならない。つまり、長距離トラック1台では最大で片道16時間のエリアまでしか荷物を運べない。高速道路の渋滞や途中休憩などを考慮に入れると、北海道から南下する場合は東京近郊で時間切れになり、そこから先に運ぶには別のトラックに荷物を乗せ替えるなどの対応が必要。しかも、その業務に携わったドライバーは翌週まで長距離運転ができない。これが本来のルール。

③しかし、中小零細トラック業者でこのルールを厳守しているのは少数派だった。「配送時間短縮への荷主の要求は高くなっても低くはならないのが業界の常識。業者間の競争も激しく、ルールを守っていたら食えなくなる」

④実際の運用では、国交省は整備や点呼など他の安全管理項目を含めて違反件数を実質的に点数化して、それに見合った行政処分をする。これまでは、労働基準監督署などの調査で乗務時間違反が露見しても違反点数が一定の範囲で収まっていれば、数台のトラックが短期間使えなくなる軽い処分で済んだが、新規制では違反根絶を目指し行政処分を大幅に厳罰化した。労働時間の上限を組織的に無視した場合などは「重大かつ悪質な違反」と認定。「会社丸ごと30日間の事業停止」という処分を下す。1カ月間すべてのトラックを動かせず1銭も入ってこない。中小零細トラック業者にとっては、即、経営破綻を意味する。

⑤労働時間の上限を守る方法はいくらでもある。1台のトラックに2人のドライバーが乗って交代しながら運転する、中間地点に支社を作りそこでドライバーを交代する、途中、提携事業者のトラックに乗せ替えるなど。だが、中小零細の運送事業者にとってコストを考えるとこれらはすべて机上の空論。「厳しい仕事はどんどん下請けに」。トラック数百台の業者から、数十台の業者へ。そして数台の業者へと、今でもルール違反をいとわない個人に近い末端業者にしわ寄せが来ている。

⑥国土交通省自動車局安全政策課によると、6月、全国初となる30日間の事業停止処分が関東の事業者に対して出た。近く静岡県の事業者にも処分を出す方向。これにより長距離の仕事を手控える動きが運送業者の間で加速するのは確実だ。

⑦長距離トラック運転手の代名詞、「トラック野郎」。俳優の菅原文太が主演した同名の映画は1975年に封切られ、79年までにシリーズ10作品が制作され国民的な人気を博した。高速道路が整備され、陸運が日本の経済発展を下支えした時代。主人公の星桃次郎と一番星号にあこがれて長距離ドライバーになった者は少なくない。90年代のバブル崩壊までは、きついながらも高給を得られる人気職種だった。20代に体力にまかせて数千万を稼ぎ、自分のトラックを買う。30代に仲間と運送会社を立ち上げ、さらに稼ぎまくる。派手な装飾の「デコトラ」は成功の証し。「仕事に一度出たら10日前後は家に帰らないのはザラ。その代わり月給は社長より多く、100万円を超えるのが当たり前だった」。

⑧バブル崩壊後の「失われた20年」、需要縮小と競争激化、さらに燃料軽油の高騰でトラック運送業の採算は悪化の一途をたどる。ドライバーの賃金は引き続き低く据え置かれ、離職が増加。若者もトラック野郎になりたがらず、業界では来年にも14万人のドライバーが不足するという「2015年問題」がささやかれ出した。

⑨物流大手も危機感を募らせ、「特積み」と呼ばれる地域をつなぐ長距離のトラック輸送を担う業界の雄、8社が一堂に会した。(ヤマト運輸、西濃運輸、トナミ運輸、札幌通運、名鉄運輸、中越運送、第一貨物、カンダコーポレーション)
物流版G8の緊急テーマは「10年先の(トラック)幹線運行を考えるプロジェクト」。複数の事業者がそれぞれの荷物を1台のトラックに乗せる、いわゆる共同運行など、検討するスクラムの内容は、これまで激しい競争を繰り広げてきた企業同士としては考えられなかったものばかり。

⑩長距離トラックを巡る負のスパイラルの影響は目下、鮮魚や青果といった日持ちしないものの輸送にとどまっているが、中長期的にみると、あらゆる物流分野に広がっていくのは確実。大手は提携や値上げを含めた荷主への協力要請で乗り切ろうとしているが、日本のトラック運送業者の9割は中小零細事業者。安全性の観点から、そして人手不足の観点から、日本の物流システムが限界に近づいている。ドライバーの肉体的ながんばりに頼るというビジネスモデルからどう脱却すればいいのか。

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アマゾンの送料無料ってどれだけ取引業者を叩いているのかと思うときがあります。
ネット取引の増加に伴って、大手運送会社が数万人の主婦を雇用する予定があるとの報道もありました。
業界では様々な対策を検討しているようですが抜本的に流通システム見直しをするにせよ限界はあるでしょう。
遅かれ早かれ市場価格に転嫁されるはずです。