夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

お気に入りの画家 「蛙の以知庵さん」 蛙図 田中以知庵筆 その10

2021-04-12 00:01:00 | 掛け軸
最近息子が夢中になっているのが古くからある遊びの「独楽廻し」ですが、小生や義母、家内にまで息子は教えてくれています。そこで最近、息子に小生が教えているのがけん玉です。レゴや毀滅の刃、動画などの今流行りのもののいいですが、小生が小学校の頃に流行ったものでコミュニケーション・・。両方の遊びは通っている小学校の授業でやっているらしい・・



本日紹介する画家は今ではマイナーな画家とはいえ、小生が好きな画家の一人である田中以知庵の作品の紹介です。



お気に入りの画家 「蛙の以知庵さん」 蛙図 田中以知庵筆 その10
紙本水墨淡彩軸装 軸先木製 西野新川鑑定箱
全体サイズ:縦1750*横580 画サイズ:縦350*横770

 

田中以知庵は本ブログにて10作品目となり、お馴染みの画家であり繰り返しになりますが簡単な来歴は下記のとおりです。

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田中以知庵:日本画家。明治26年(1896)~昭和33年(1958)。東京生。名は兼次郎、別号に咄哉州・一庵等。

上原古年に画の手ほどきを受けたのち松本楓湖に師事し、巽画会・紅児会等で活躍しました。有名な画家である速水御舟などともよく交友し、1929年には小室翠雲の推薦により日本南画院同人となりその後は同展を中心に日展などでも活躍しました。

また、釈宗活禅師に禅を学び1912年には禅号として咄哉(州)を拝受、南画研究と禅修行の為に朝鮮半島に渡るなど求道的な一面をみせ、作品では詩情に溢れた花鳥、風景画を展開、晩年は風景画に独自の画境を拓き、飄逸な絵画世界を展開しています。

春陽会会友・日本南画院同人・日展審査員。昭和33年(1958)歿、65才。

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鑑定箱の書付は本ブログでも鑑定者としてときおり紹介している西野新川によるものです。



西野新川の経歴詳細は不詳ですが、松林桂月・児玉希望などの鑑定もしているようです。

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西野新川:日本画家。明治45年(1912)山口県生。松林桂月・児玉希望に師事。南画院文部大臣賞・日中水墨展総理大臣賞受賞。日展会員。

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田中以知庵(たなか いちあん)は1896年(明治26)に東京深川で生まれた日本画家で、身辺の自然をこよなく愛して風趣に富んだ作品を多く遺しています。

16歳の頃に松本楓湖塾に入門、歴史画や山水など伝統的な画法を学んでおり、前述のように同門の速水御舟とは親交を深くし、互いに影響を与え合ったようです。



速水御舟は、庭で炊いていた焚火に蛾が集まってきた様子を描いた代表作の「炎舞」のように、当時としては珍しい昆虫を題材にしたものが多いですが、田中以知庵もまた「蛙の以知庵さん」と呼び親しまれたほど、蛙や鮎、蜆、また鶺鴒、雀などの身近な小禽類を多く描いています。

また田中 以知庵には大変一途なところがあり、入門したての頃に禅宗の建長寺釈宗活師から「咄哉(とっさい)」という画号をもらったのですが、その号の意味がさっぱり解らず、以後8年に渡って参禅したそうです。 しかも探究心はそれに留まらず、ついには南画研究と禅修行の為に、朝鮮半島に渡ったというほどです。よってどこか禅宗めいた南画風の味わいのある作品となっています。



その後は川崎北部の里山に住み着き、身近な自然のなかにモチーフを求め、 昭和15年の文展で高い評価を得た大作「淨光」は風景画ですが、墨色を基調とした山肌を重厚な筆使いで表現し、稜線に現れたばかりの太陽とその柔らかな日差しのみに淡い色を使っていて、見るものに静謐な感動を与える作品となっています。

本作品の表具はいい表具ですね。



本ブログでは「蛙」を題材にした田中以知庵の作品では下記のような作品も紹介しています。

雨蛙之図 田中以知庵筆
紙本水墨淡彩軸装 軸先木製 合箱
全体サイズ:縦1020*横380 画サイズ:縦255*横230



「蛙の以知庵さん」・・、再評価すべき画家として注目すべき一人でしょう。

さて息子は小生の骨董品を独楽やけん玉と同じ「おもちゃ」だと思っているようで、多くなった息子のおもちゃを「片付けなさい。」、「処分しなさい。」と言うと「パパもね!」と言い返してきます   痛いところをついてくる・・・。本作品に描かれている蛙は親子なのかもしれませんね。


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