家内が酉年・・、よって入手。さて古伊万里色絵? 柿右衛門様式? むろん江戸期かは定かではありませんが、意外に古いか、意外に新しいか・・・。
古伊万里色絵? 柿右衛門様式? 諫鼓鶏香炉
合箱
幅120*奥行120*高さ220
江戸中期におかる古い柿右衛門様式は、基本的に染付を伴わない純白の磁肌に、赤色を主とした軽やかな上絵付けが施されていることが特徴です。
本作品は江戸中期の頃のものではなさそうですが、もしかしたら江戸後期から明治期までは時代が下がるものかもしれません。
参考までに戸栗美術館蔵の江戸中期の柿右衛門手の作品が下記の写真です。
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参考作品 戸栗美術館所蔵
伊万里(柿右衛門様式) 色絵鶏置物
江戸時代(17世紀後半) 高27.5㎝
この作品に関する説明の記述は要約すると下記のとおりです。
羽毛部分に一部白地を残しながら、黒で輪郭線を引き、赤・黄・緑・青・黒で羽根を塗り分け、デザイン化した鮮やかな色彩が目を引きます。一方で、鶏冠や肉垂(にくだれ、嘴の下の部分)などの部位では鳥肌らしいつぶつぶまで表現していたり、岩の質感を出すために台座部分は無釉のまま残すという工夫を施しており、写実性も追求しているように見えます。全体的にデザイン性と写実性が見ごとに調和した優品と言えのではないかと評価しています。
このような伊万里焼の置物は、幕末から明治期かけて主に西欧への輸出製品であり、その多くが土型を用いて成形されています。そのため同じ形姿の類品がいくつか存在することが知られていますが、そのうちの1つが英国バーリー・ハウス・コレクションにあります。1587年エリザベス一世の寵臣ウィリアム・セシル卿によって建造された居城、バーリー・ハウスには、多くの王室や貴族の城館と同じく、英国やオランダで買い求められた陶磁器が多数収蔵されています。目録の中には、“2 painted Cocks”という記載があり、これが現在もバーリー・ハウスに所蔵されている、本作の類品であると考えられています。この目録には、ほかにも”1 white Cock”や”2 Birds upon Rocks”という記載もあり、前者はやはり同時代の伊万里焼で、羽毛を白磁のまま残したやや小ぶりの鶏の置物、後者は中国徳化窯産白磁の鶏の置物に該当すると考えられており、鶏は当時の室内装飾品として好まれたモチーフの一つであったことが分かります。
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参考となるのは「鶏は当時の室内装飾品として好まれたモチーフの一つ」ということでしょう。
鶏の絵付けは明末赤絵の香合、古染付の皿などに多数ありますが、これらは逆に日本からの注文であったように推定されています。
子宝祈願、日の出づる国・・?? ニワトリは太陽が昇るとともに鳴き出すことから、夜明けを知らせる「時告げ鳥」として古来から神聖なものとして大切にされてきたそうです。
*下部の枝をモチーフにした脚はいかにも柿右衛門らしいデザインです。
その声は暗闇にはびこる魔物を払い、光り輝く太陽を呼び出すパワーがあるとされました。そのため世界各国で、好機の到来や、招福、瑞兆など、多くの幸運の象徴とされています。
ただ本作品は「諫鼓鶏」を形どった作品ですね。「諫鼓」とは昔の中国で君主に対して諫言しようとする民衆に打たせるために設けられた太鼓のことで、「鶏」は鶏鳴によって君主に善政を促し、人々を警醒する想像上の鶏です。「諫鼓鶏」とは、善政であるため諫鼓を鳴らす必要がなく、上に止まっている鳥も逃げないという意味のようです。
ところで鶏は西洋では紋章に使用されることも多いようで、こちらは「戦いの覚悟」を表しているとされます。爪を高く持ち上げた雄鶏は、議論または争いの姿とされるそうです。
古代中国ではニワトリには頭に冠を戴く「文」、足に蹴爪を持つ「武」、敵と戦う「勇」、食を見て呼び合う「仁」、そして夜を守り、時を失わない「信」の五徳があるとされたそうです。
むむ~、どうもかみさんは偉いらしい
ついでに太鼓の左右にある獅子(双獅戯球)が表す吉祥は、愛しむ獅子の夫婦であり、獅子と球があるが、これは愛情の結晶であるとされます。
獅子に牡丹は厄除けで、獅子が球をもてあそぶ図案は、獅子が愛情豊かに日々をおくり、やがて子供が生まれることを暗示しているそうです。この図案は、人間の夫婦もこの獅子のように仲むつまじく暮らし、子孫繁栄するように教えているのであるとされます。
「夫婦もこの獅子のように仲むつまじく暮らし、子孫繁栄する」、簡単なようで結構稀なこと。時代や分類、価値はどうあれ作品の持つ願いというものから作品を蒐集することが基本です。
飾っている台は桑。
子々孫々まで伝わるようにとの願いを込めて・・・。
古伊万里色絵? 柿右衛門様式? 諫鼓鶏香炉
合箱
幅120*奥行120*高さ220
江戸中期におかる古い柿右衛門様式は、基本的に染付を伴わない純白の磁肌に、赤色を主とした軽やかな上絵付けが施されていることが特徴です。
本作品は江戸中期の頃のものではなさそうですが、もしかしたら江戸後期から明治期までは時代が下がるものかもしれません。
参考までに戸栗美術館蔵の江戸中期の柿右衛門手の作品が下記の写真です。
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参考作品 戸栗美術館所蔵
伊万里(柿右衛門様式) 色絵鶏置物
江戸時代(17世紀後半) 高27.5㎝
この作品に関する説明の記述は要約すると下記のとおりです。
羽毛部分に一部白地を残しながら、黒で輪郭線を引き、赤・黄・緑・青・黒で羽根を塗り分け、デザイン化した鮮やかな色彩が目を引きます。一方で、鶏冠や肉垂(にくだれ、嘴の下の部分)などの部位では鳥肌らしいつぶつぶまで表現していたり、岩の質感を出すために台座部分は無釉のまま残すという工夫を施しており、写実性も追求しているように見えます。全体的にデザイン性と写実性が見ごとに調和した優品と言えのではないかと評価しています。
このような伊万里焼の置物は、幕末から明治期かけて主に西欧への輸出製品であり、その多くが土型を用いて成形されています。そのため同じ形姿の類品がいくつか存在することが知られていますが、そのうちの1つが英国バーリー・ハウス・コレクションにあります。1587年エリザベス一世の寵臣ウィリアム・セシル卿によって建造された居城、バーリー・ハウスには、多くの王室や貴族の城館と同じく、英国やオランダで買い求められた陶磁器が多数収蔵されています。目録の中には、“2 painted Cocks”という記載があり、これが現在もバーリー・ハウスに所蔵されている、本作の類品であると考えられています。この目録には、ほかにも”1 white Cock”や”2 Birds upon Rocks”という記載もあり、前者はやはり同時代の伊万里焼で、羽毛を白磁のまま残したやや小ぶりの鶏の置物、後者は中国徳化窯産白磁の鶏の置物に該当すると考えられており、鶏は当時の室内装飾品として好まれたモチーフの一つであったことが分かります。
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参考となるのは「鶏は当時の室内装飾品として好まれたモチーフの一つ」ということでしょう。
鶏の絵付けは明末赤絵の香合、古染付の皿などに多数ありますが、これらは逆に日本からの注文であったように推定されています。
子宝祈願、日の出づる国・・?? ニワトリは太陽が昇るとともに鳴き出すことから、夜明けを知らせる「時告げ鳥」として古来から神聖なものとして大切にされてきたそうです。
*下部の枝をモチーフにした脚はいかにも柿右衛門らしいデザインです。
その声は暗闇にはびこる魔物を払い、光り輝く太陽を呼び出すパワーがあるとされました。そのため世界各国で、好機の到来や、招福、瑞兆など、多くの幸運の象徴とされています。
ただ本作品は「諫鼓鶏」を形どった作品ですね。「諫鼓」とは昔の中国で君主に対して諫言しようとする民衆に打たせるために設けられた太鼓のことで、「鶏」は鶏鳴によって君主に善政を促し、人々を警醒する想像上の鶏です。「諫鼓鶏」とは、善政であるため諫鼓を鳴らす必要がなく、上に止まっている鳥も逃げないという意味のようです。
ところで鶏は西洋では紋章に使用されることも多いようで、こちらは「戦いの覚悟」を表しているとされます。爪を高く持ち上げた雄鶏は、議論または争いの姿とされるそうです。
古代中国ではニワトリには頭に冠を戴く「文」、足に蹴爪を持つ「武」、敵と戦う「勇」、食を見て呼び合う「仁」、そして夜を守り、時を失わない「信」の五徳があるとされたそうです。
むむ~、どうもかみさんは偉いらしい
ついでに太鼓の左右にある獅子(双獅戯球)が表す吉祥は、愛しむ獅子の夫婦であり、獅子と球があるが、これは愛情の結晶であるとされます。
獅子に牡丹は厄除けで、獅子が球をもてあそぶ図案は、獅子が愛情豊かに日々をおくり、やがて子供が生まれることを暗示しているそうです。この図案は、人間の夫婦もこの獅子のように仲むつまじく暮らし、子孫繁栄するように教えているのであるとされます。
「夫婦もこの獅子のように仲むつまじく暮らし、子孫繁栄する」、簡単なようで結構稀なこと。時代や分類、価値はどうあれ作品の持つ願いというものから作品を蒐集することが基本です。
飾っている台は桑。
子々孫々まで伝わるようにとの願いを込めて・・・。
戸栗所蔵の色絵鶏置物と同手と思われる物をコロナ前にイギリスの骨董店で見た事があります。
あっ!これは!と思いスマホで戸栗サイトに飛び見比べたところ、鶏冠と肉垂れと目の周りの描写が違いますが、それ以外は全く同じです。スマホを見せてこの辺りが違うが作られた年代が違うのか聞いてみたところ、奥から写真を持って来て見せてくれたのですが、それは戸栗の物と全く同じでした。
店主曰く、西洋人はインテリアに写実性は求めていないので、この鶏冠は少し小さいし、肉垂れの形やツブツブや目の周りの点々は気持ちが悪いと人気がなかったので、西洋向けに作られる物はそれらを西洋人向けに変えた物がこれだ。と店頭の物を指しました。なんとも奥が深いと勉強させられた出来事でした。ちなみに写実的に作られた戸栗所蔵と同手の方が当時のレートで120万位で、西洋人向けの方のプライスは140万位でした。カードに枠が無く買いませんでしたが、カードが使えたら購入してたと思います。