今更と思うかもしれないが、バイオディーゼルの話である。実用化されていても、適合不適合や不都合も聞き、十分に普及しているとは言い難い。温暖化防止だけでなく環境税の影響もあり、ここ数年のドイツでのディーゼルの躍進は凄まじかった。しかし電池、水素、天然ガスとそれらの併用との比較の中で、ルドルフ・ディーゼル氏の115年前の発明であるこの内燃機関の今後は不透明である。バイオディーゼルへの研究は、その結果如何に依らず価値ある試みである事が以下のプロジェクトで計り知れる。
このプロジェクトは、インドの不毛地帯でオイルと蛋白を多く含んだナッツを収穫して、粉砕してオイルを絞り抽出、それをエステル交換してバイオディーゼル燃料にしようと云うものである。こうして資料を見ると良い事尽くのようである。
先ず比較的容易に精製される燃料の質は高く、現時点でEU基準に達しているという。排出ガスにおいても利点が見られるという。二酸化炭素排出濃度は通常の原油オイルに較べはるかに少ないという。そしてこれは、その原料となる植物が消費した二酸化炭素量と相殺することも出来る。ただ栽培と収穫の仕事量とそれらの輸送、オイルの輸送も計算に入れなければならない。
精製の手順を詳しく見ると、ファイルターリングした原材料のジャトロファナッツの植物油は、大豆やナタネ同様に基本的にトリグリシンのグリセリンエステルから出来ている。この三価のアルコールであるグリセリンをメタノールと置換する事で燃料として使える。このようなエステル交換の後、その他の不純物を遠心分離して水洗いする。実験では8トンのナッツから1300リットルの上質のオイルが精製されている。
再び塩で不毛の荒野へと戻る。森は燃料として切り倒され、乾いた大地はますます悪循環の中で不毛となって行った。インドでは、昔から植物は野生の草食動物から守るために柵を作らなければいけないという。10ヘクタールの試験場では、如雨露で水をやり最低限の投資と労働で塩に強いこのナッツを植えていった。ここで基本として考えられたのが、目的の収穫以外にその残留物等が全て使い尽せるシステムである。こうする事によって生態系にも好循環を生んでいく。つまり化学肥料による土地の改良を初めから考えずに、一つ一つの改良を積み重ねていく。こうして出てくる残留物の蛋白質の飼料で家畜が育ち、それがまた土地を豊かにしていくという循環を考える。目的は、あくまでも最小限の投資での生産価値効率である。だから苗そのものも厳選される。種植えでない挿し木による収穫量の予測などを重視する。
1998年に始まったこのプロジェクト。少なくともこうしてみる限り、残留物の毒抜きやそれらの物質の商品化などを今後解決していく事によってますます効率があがる。徹底的な合理主義である。万一、バイオディーゼルが商業的に成功しなかった場合でも、その中間製品が商品となる。こうして万全を尽くしたプロジェクトは、短期的な成功よりも幅広い技術革新を巻き込んで津波のように突き進んでいく。プロジェクトの中核となっているダイムラー・クライスラー社の技術革新の方法論そのものである。
このプロジェクトは、インドの不毛地帯でオイルと蛋白を多く含んだナッツを収穫して、粉砕してオイルを絞り抽出、それをエステル交換してバイオディーゼル燃料にしようと云うものである。こうして資料を見ると良い事尽くのようである。
先ず比較的容易に精製される燃料の質は高く、現時点でEU基準に達しているという。排出ガスにおいても利点が見られるという。二酸化炭素排出濃度は通常の原油オイルに較べはるかに少ないという。そしてこれは、その原料となる植物が消費した二酸化炭素量と相殺することも出来る。ただ栽培と収穫の仕事量とそれらの輸送、オイルの輸送も計算に入れなければならない。
精製の手順を詳しく見ると、ファイルターリングした原材料のジャトロファナッツの植物油は、大豆やナタネ同様に基本的にトリグリシンのグリセリンエステルから出来ている。この三価のアルコールであるグリセリンをメタノールと置換する事で燃料として使える。このようなエステル交換の後、その他の不純物を遠心分離して水洗いする。実験では8トンのナッツから1300リットルの上質のオイルが精製されている。
再び塩で不毛の荒野へと戻る。森は燃料として切り倒され、乾いた大地はますます悪循環の中で不毛となって行った。インドでは、昔から植物は野生の草食動物から守るために柵を作らなければいけないという。10ヘクタールの試験場では、如雨露で水をやり最低限の投資と労働で塩に強いこのナッツを植えていった。ここで基本として考えられたのが、目的の収穫以外にその残留物等が全て使い尽せるシステムである。こうする事によって生態系にも好循環を生んでいく。つまり化学肥料による土地の改良を初めから考えずに、一つ一つの改良を積み重ねていく。こうして出てくる残留物の蛋白質の飼料で家畜が育ち、それがまた土地を豊かにしていくという循環を考える。目的は、あくまでも最小限の投資での生産価値効率である。だから苗そのものも厳選される。種植えでない挿し木による収穫量の予測などを重視する。
1998年に始まったこのプロジェクト。少なくともこうしてみる限り、残留物の毒抜きやそれらの物質の商品化などを今後解決していく事によってますます効率があがる。徹底的な合理主義である。万一、バイオディーゼルが商業的に成功しなかった場合でも、その中間製品が商品となる。こうして万全を尽くしたプロジェクトは、短期的な成功よりも幅広い技術革新を巻き込んで津波のように突き進んでいく。プロジェクトの中核となっているダイムラー・クライスラー社の技術革新の方法論そのものである。