Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

高地の寒い冬を埋葬

2005-02-10 | 歴史・時事
晩の6時になるのを待っていた。昨年の11月に、市民は5メートル以上もある大木で役所の玄関を打ち破って乱入した。市長を外へ引きずり出し、税金ご免などを叫んで全ての権限を勝ち取った。灰の水曜日にこれを再び返還するのである。例年は未だ外も明るく、喪服にシルクハットを被った一団が小さな棺桶を担いで葬送行進の小太鼓に乗ってやってくる。昨年の突入の瞬間を撮影出来なかったので、今日はこの瞬間を待っていた。松明を掲げた子供たちが、今年は自粛して玄関を固く閉ざした役所から、普通の経路とは逆に教会の方へと行進して行った。津波寄付が手渡された。

こうして象徴的な権力の奪略と委譲と同時に冬の宣言と埋葬が、ライン河畔のカーニヴァルの伝統の上に行われる。奴隷制度、封建制度、専制主義、独裁主義からの開放が同じ軌条のなかで捉えられる。実はこの行事、宗教的な日に喪服を着て行われるので、始めの乱入とこの棺桶の埋葬が繋がらなかった。こうして考えてみると、プロシアの与えられた啓蒙主義の中では育ち得ない文化である事が分かる。この地方のファスナハトで最も過激な行事である。

ついでながら「政治的灰の水曜日」と云うのが伝統的に存在する。これはバイエルンの百姓が、16世紀にフィルスホーフェンで開かれていた家畜市の集まりに王国の政治について放言した事から始まるという。この伝統を受け継ぎ、バイエルンの戦後の新しい保守政党キリスト教社会同盟がビール片手に口角泡を飛ばす会をパッサウで開き、他の政党もこれに倣った。

何れにせよカーニヴァルもしくはファッシングの無礼講の伝統は、庶民の憤懣のはけ口となってきた。この精神を良しとするか、只の政治的安全弁と見做すかは意見が分かれよう。

こうして、カーニヴァル、ファスナハト、ファッシングと回って、謝肉祭の季節が終わった。(灰の水曜日の前に [ 文化一般 ] / 2005-02-09より続く)



参照:アレマン地方のカーニヴァル [ 生活・暦 ] / 2005-02-07
コメント (4)
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