Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

首に綱をつけてエスコート

2005-02-27 | 生活
郊外の幹線道路から町へ入るところに、50キロ制限の交通標識とその下に「狂犬病注意」の標識を良く見る。犬を飼っていないのであまり良く知らないが、このような標識は森の中にもあり「エキノコックス」への注意を同時に呼びかけている。それらは大抵、犬などを散歩させて自宅へ帰る道もしくは森を彷徨するために車からおりて歩き出す所などにある。

狂犬病は、ギリシャ神話にも多数扱われる程恐れられていた。ギリシャ人やその後のローマ人医学者の検証なども多く残されていて、これだけで大きな研究対象になるようである。野良犬狩りや祭りなどが記されている。聖アウグスチヌスは、「狂犬病は悪魔の仕業」との意味付けた。これに対して塩とパンを祭られた聖フベルトスが狩人や守る事になっている。

人間に感染して「人間性が変わって凶暴になる」、「涎をたらす」、「水を怖がる」などの症例を経て死に至る。ヴィールスによってもたらされる病である。パスツールによって予防接種が行われるまでは、犬の舌の駆除をするに留まった。18世紀には、フリードリッヒ王によって大々的に予防策が講じられている。

現在でも主にアフリカやインド・中国では年間四万人から七万人が犠牲者になっているといわれる。欧州内での死亡者は年間30人程度で、ドイツで最も新しい犠牲者は12年前に遡る。狩猟林業関係者よりも農業関係者を中心にバイエルンなどでは更に数人の感染が伝えられている。同じように狐を初めとする野生動物が感染源となるエキノコックスの幼虫も一旦体内に入ると駆除出来ない事が知られている。

シュピーゲル誌の最新刊を待合室でぱらぱらと捲った。驚いた事に26歳の女性が臓器移植手術で狂犬病にかかって死亡したというのである。移植で高名なハノーバーの医学高専病院で、アメリカから迎えた狂犬病の専門医の処置の甲斐もむなしく死亡した。マインツの大学病院の話が載っている。臓器手術の症例が増えれば、成功率も高くなり、死亡率は減るのであるが、最近は「失敗例」が急増しているという。臓器ドナーの不足で、不健康な臓器提供が増えている。麻薬常習者やHIV 陽性などはルーティンの検査で分かるが、死角にある狂犬病などは一刻を争う移植では十分に検査出来ない。専門家諸氏に対応と考え方を伺ってみたいものだ。

野生の動物は、出来る限り隠れて都合の悪い遭遇を避けるものである。つまり、野生の小動物が攻撃性をむき出しに噛み付いてくる時、その動物が狂犬病にかかっていると思わなければならない。ハノーバーにはライネ(Die Leine) と云う川が流れている。これをもじった言葉遊びがある。

Wo führt ein Mann die Frau an der Leine? (男が女性をライネ川沿いにエスコートするのは何処?)

これは、

Man führt den Hund an der Leine。(犬に綱つけて散策する)

と掛けたものである。普通はハノーバーと答えるのだが、今回は実にお気の毒な事例と交差するので卑近な例を参考に回答と質問を変えたりして遊んでみる。
コメント (6)
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