Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

お休みの所をお邪魔して

2005-02-17 | アウトドーア・環境
近代人が野鳥を害虫の天敵として積極的に利用して新たな連鎖が始まった。鳩とは反対に中世から忌み嫌われたのがカラスである。戦場で骸に群がる黒い姿を思い浮かべるまでもなく、現在もゴミ箱に駆け寄る黒い群れを方々で見かける。そしてこれが来ると、他の鳥が居着かなくなるというが、これは必ずしも正しくないらしい。雛を襲ったりする率は可なり少ないという。しかし何れにせよ中世においては、かれらは魔物の鳥と謳われて教会と対立する構図が生まれる。

中世の鳥は、必ずしも人家にのみ巣くったのではなくて、教会の塔などの安全な場所に生息した。20世紀のヴァイマール体制になってからも、シュヴァーベン地方のある町では、コウノトリのための巣箱が教会の屋根裏に提供された事がある。これを巡って政治的攻防がなされたと記してある。その他にも、中世から既に町にも住みだしていた知恵の象徴フクロウへの住居提供を目的として巣箱が教会の塔に取り付けられたりする。何度か、方々の教会の鐘撞き塔を探索する機会があった。そこの昼間も暗く、湿った裏梯子などを登ると、列を成してぶら下って眠る蝙蝠などにお目にかかれる。嘗てはこれの血液を薬莢に混ぜて詰めると命中率が高くなると狩人に信じられていたようだ。蝙蝠は野ネズミと並んでフクロウの好物であり、こうして吸血鬼は知恵袋との死闘を余儀なくされる。蝙蝠保護のためには、鐘撞き塔内の居住区を別にして出入り口を小さくしてという事らしい。

再び振り出しのブリューゲルに戻ろう。父ピエテル一世の下絵に従ってヴァン・デル・ハイデンが彫った版画がある。解体される大きな魚の腹や口から小さな魚が、さらにその口から小さな魚が続々と溢れて出てている。前景の漁師親子の会話として、ご丁寧にラテン語の格言の形式でわざわざ言葉が下部に添えられている。「息子よ、よくご覧。小さな魚は、大きな魚に飲み込まれているのだよ。」。さらに版元は、当時取り分け有名だったヒロニムス・ボッシュの署名を左下に付け加えた。これらの画像が示す食物連鎖の中では、遠景に絶えず鳥が飛び交う。
コメント (4)
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