ブルューゲルの絵画の話題から陶器製巣箱を知ることが出来た。この16世紀フランドルの最も興味ある芸術家の作品は、情報量が多くて簡単には語れない。そこにある寓話性をひとつひとつ確認していっても埒が明かないので次なる機会を待ちたい。絵に描かれた中世の屋根の切妻に幾つもの巣箱が描かれているという指摘は、ありとあらゆる想像力を掻き立てる。
鳥類愛好家のホームページには、その想いを払拭するかのような断定的な見解が記されている。「害虫駆除を目的とした巣箱の原型であるこの壷は、16世紀以降の北ドイツからオランダでは、雛を捕獲して食用とするために使われていた。」と、いやに写実的な情景に読者を誘う。屋根の切妻の戸口を唐突に開けて、その屋の主であろう男が姿を現す。高みから周りをこっそりと窺がう。そして素早く壷に手を入れて、雛を取り出す。この罪状を裏打けする情報は、ネットでは容易に見付からない。しかし状況証拠は豊富である。
巣箱の目的は、少なくとも19世紀以降は中世以来盛んになった果樹園やワイン畑での害虫駆除を目的としてムクドリやシジュウカラを始終居つかせるために快適な孵化の環境を提供する事にあった。それらが食料とする害虫の駆除が目的である。それとは程遠い家屋の屋根に落下の危険を冒してまで壷を吊るのは、どう見ても可笑しい。中世の多くの人達が、あたかもジャック・タチ監督の映画「僕の伯父さん」のような風流を持ち合わせていたとは思わないのである。別な観点から見ると、繰り返し猛威を振るった黒死病の原因として、ネズミと共にこれらの鳥の巣が疑われて来た事実がある。それらに付く蚤がペスト菌を運ぶという。これについては遥か後の1950年代まで議論されていたようである。雛が巣立った後に、其処にいる蚤が家屋の方へ侵入してくるということは、現在でも注意書きとして記されている。(続く)
鳥類愛好家のホームページには、その想いを払拭するかのような断定的な見解が記されている。「害虫駆除を目的とした巣箱の原型であるこの壷は、16世紀以降の北ドイツからオランダでは、雛を捕獲して食用とするために使われていた。」と、いやに写実的な情景に読者を誘う。屋根の切妻の戸口を唐突に開けて、その屋の主であろう男が姿を現す。高みから周りをこっそりと窺がう。そして素早く壷に手を入れて、雛を取り出す。この罪状を裏打けする情報は、ネットでは容易に見付からない。しかし状況証拠は豊富である。
巣箱の目的は、少なくとも19世紀以降は中世以来盛んになった果樹園やワイン畑での害虫駆除を目的としてムクドリやシジュウカラを始終居つかせるために快適な孵化の環境を提供する事にあった。それらが食料とする害虫の駆除が目的である。それとは程遠い家屋の屋根に落下の危険を冒してまで壷を吊るのは、どう見ても可笑しい。中世の多くの人達が、あたかもジャック・タチ監督の映画「僕の伯父さん」のような風流を持ち合わせていたとは思わないのである。別な観点から見ると、繰り返し猛威を振るった黒死病の原因として、ネズミと共にこれらの鳥の巣が疑われて来た事実がある。それらに付く蚤がペスト菌を運ぶという。これについては遥か後の1950年代まで議論されていたようである。雛が巣立った後に、其処にいる蚤が家屋の方へ侵入してくるということは、現在でも注意書きとして記されている。(続く)